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「酷い暑さ その3」



 梅雨が明けても、雨はたまに降る。そして、何よりも湿度が高い。だから、異常に暑く感じる。今日のこの街の湿度一覧を見ると、最低でも79パーセントである。最高気温は31度程度と、最近の平年並である。昔は、めったに30度を超えなかったものだけれど、この頃の夏は概して気温が高い。来週は35度予想だ。

 あまりに暑いので、夕方、出荷を中断して、ここから東へ数キロメートル先のディスカウントショップに連れ合いと買い物に出かけた。連れ合いを休ませるためと、来週の長男のサッカー全国大会の遠征準備である。それはいい。車から降りた感覚が、そこまで暑いとは思わなかった。家に帰って、車から降りると、かなり暑く感じた。やはり、この家の敷地は湿度が高いのである。それはそうだ。買い物の帰りの道で川沿いを走ってみてもよくわかるのだけれど、うちは北側に川が東に向かって流れ、東側の大きな川に合流してすぐ南の海へと注いでいるのである。つまり、水に囲まれたような地形に敷地がある、というわけだ。

 この街の気象情報は、ここから北へ2キロメートルほどの場所の観測情報である。その場所で最低湿度が79パーセントということは、この水に囲まれた場所では数値が更に高くなるということを示している。実際、御前崎などの海に近い場所での観測地点では、今日の最低湿度が86パーセントであった。さらに、加えて、うちの敷地は樹木や笹竹、草に覆われて、一層湿度が高いのである。蚊が異常に多いのはそういう場所だからである。

 この場所は過酷な場所ということもできる。その畑で野菜が育つ。露地で農薬を使うことなく野菜が育つのであるから、うちの野菜は偉い。胡瓜なんて、本当に凄いと思う。前にも書いたが、玉ねぎを収穫したあとに、耕すこともしないで、そのまま胡瓜の苗を植え付ける。もちろん種を播いて育てた苗だ。苗と苗の間に堆肥を置いて、ネットを被せておく。3週間ほどすると、胡瓜畑は草に呑み込まれそうになる。慌てて草取りをして、グランドシートを敷いて通路が出現する。あとは芽を摘んだりして孫つる以下に胡瓜を生らせるようにするだけ。

 大雨にも耐える。不耕起で植え付けると、畑の土の中の相が壊されないので根が守られるのだろうか。今年は連れ合いが収穫担当しているので、毎日の地這胡瓜の収穫で腰が痛いと言っている。収穫した胡瓜は当然地這であるから土がついたりする。さっと洗うのだが、その洗った残りの水を胡瓜畑にまく。これは、胡瓜の表面の微生物がさっと洗われた時に水に溶けるので、それを還元するのだ。胡瓜には胡瓜の微生物、というわけである。あと、胡瓜に曲がりの割合が多くなると、木灰をまく。微量要素の欠乏を防ぐためもある。

 過酷な畑で元気にしている野菜たちを見ると、その世話をしている間は暑さを忘れる。家や納屋に戻ってくると、暑さに辟易するような感じだ。世話をして汗が出るのは幸せなことである。カラダを動かして野菜と対話し、虫や草を退治しながら、虫や草とともにある。矛盾するものでありながら、まだ生きていることを喜ぶようなものだ。それが人というものだと思うのだけど、暑いものは暑い。水浴びすると幸せが待っている。

2024年7月19日



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