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「短い?秋が来た」



 十月の第2週も半ばになって、本格的な秋が来た印象だ。この頃は、9月までが夏のようなもので、気温30度を超す日が多かった。気候が変わってしまった、ということは時代が変わったくらいの衝撃がある。海水温が5度も上がるほどに、地球の表面の様相が変化の嵐を呼んでいる。都会だけにいるとわかりにくいかもしれないが、日の長さが同じなのに生態系が適応し始めている。

 ファーマーズマーケットに野菜を出荷しに行っても、野菜が不足していることは一目瞭然である。りんごなどが並んでいるけれど、緑の葉ものの割合が極端に少ない。虫にすべて食べられてしまった、という生産者が多いとのこと。高温、大雨、虫の大発生は、農法が違っても大変な状況に変わりはないということか?

 僕達は、先週半ばからの雨のない日々を心待ちにしていた。とはいえ、それまでの大雨で畑はぬかるんでいるので、トラクターで耕すことができない。前回耕してから、草はどんどんまた伸びてきているので、蛾などの虫たちの住処になり始めている。畑を耕さなければ、葉ものを植え付けることもできない。苗は苗床にずらりと並んで、出番を待っているのだ。

 今日は、出荷と収穫のあとの僅かな時間にトラクターに乗ることができた。明日はもっと仕事が進むだろう。この秋らしい気候というものが、具体的には一日に気温15度から25度の間を推移する晴天の日々のことだが、これが葉ものの成長には一番なのだ。すっと葉を伸ばしてくれるのだ。大根がまだ葉大根である時でもある。乾いた風とお陽様が土も乾かしてくれて、土寄せするにも気持ち良い気候だ。この土寄せの作業がまた、僕にとっては格別の時間である。

 これだけこの時期に秋冬の準備が整っていないのは、何年か前に台風が十月上旬に直撃して以来のことかもしれない。気温はまだ28度まで上がって、そう簡単には秋は終わらないかなと期待しているのは、この遅れた秋冬野菜の準備を取り戻すことができるかもしれない、という淡い期待からだ。確かに、僕達はいつだって諦めないできた。たとえ早く冬がやってきて、衝撃的に秋が短くなったとしても、きっと僕達は諦めないだろう。秋が進めば、虫たちも自然にいなくなるので、僕達にとっては作業しやすい環境になる。常に、やりやすさとやりにくさは表裏一体の関係にあるのだ。何かがやりやすければ、何かがやりにくくなる。どんなに虫が少なくなったところで、冬になれば気温が下がって、野菜は成長速度を落とすのだ。

 昨夜で、地元の秋のお祭も終わった。それは一大行事で、槇の木の剪定や草刈り草取りを雨の合間にやっておく必要があった。四女は、東京へ行って二年間をお祭り無しで過ごしたが、今年はどうしてもお祭りに出たい、と八連勤をこなして帰省し、今朝帰京していった。本当は長男もお祭りに出るつもりでいたが、足をけがしてギブスでは出られない。三女も仕事があるから来たいのに来られなかった。そういう意味で一大行事なのだ。お祭り後の短い秋が、どこまで長引いてくれるかはわからないが、仕事を進めますよ。

2024年10月14日



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