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「短い?秋が来た その2」



 今朝は、気温13度を割った。天気予報が当たった。去年もこの時期に気温が同じように下がったことがあった、と記憶している。当然ながら、これで一気に冬になるわけではない。まだまだ暑い日は来るだろう、と予測はできる。一昨日は28度程度の最高気温で、最低気温も22度だった。昨日から突然涼しくなって23度までしか気温は上がらなかった。空気が乾燥して風も吹くから、体感温度はさらに低く感じる。虫や草木も適応するのが大変だろうな。一昨日には、車で移動中に桜の花が咲いているのを目撃した。気温の乱高下がこの秋の特徴。

 気温13度は、僕たちにとっては重要な温度である。畑のサツマイモを収穫して貯蔵する時の最低適応温度付近だからである。ただし、まだ成長中のサツマイモであれば、気温10度でも大丈夫であることは、経験から理解している。それらのことは、品種でも違ってくるし、気温ではなくて地温が重要になることは言うまでもない。うちのメインのサツマイモは、ナルト金時系の自家採種版で、この地への適応性も良いだろうし、品種の持つ耐寒性も高い芋だ。それでも気温13度と聞けば、サツマイモのことが気になってしまうのは農家の性だろうか。

 そしてその気温に対して、もう一つの懸念が、アブラナ科の花芽形成の境目となる温度であることである。冬から初春の頃の、葉物にはかなり影響を与える温度、ということになる。それらは一瞬の温度ではなくて、何度以下などの積算温度を野菜自身の遺伝性によって自ら計算し?花芽を形成していくわけだろう。自身のカラダを大きくすることと子孫を残すことを、計算高く達成してきた植物たちの、それぞれの結晶であろう。それを解明しようとしてきた人間たちも偉いが、それらのことは完全に解明されているかどうかはわからないくらいの深遠な世界である。人として、そのような精緻な生き物の一つである野菜や草花と対話できることこそ、農家の宝物の一つである。

 先人たちが、人間が食べて大丈夫なもの、美味しいと感じるものなどを選抜し、掛け合わせながら多くの野菜の品種を残してきたこと、それもまた偉大で重要な歴史のひとつだと思う。僕たちのような有機農業に関わるものは、気候や虫の生態にもより大きく左右される。冬に灯油を炊いて温めるハウス栽培や、一年中温度管理をされた密閉空間のような工場野菜とは違うのだ。この有機農業の世界もまた、長く続けることが困難なのかもしれないが、長く続けたなら必ず土や天候、草や虫とのバランスが少しずつは改善されてくるものである。100%はありえないけれど。

 この有機農業の世界に、僕の妹の次男が飛び込んでくることになった。彼は、虫の世界の人で、特に蜂に関しては浅くない見識を持っている。就職浪人中で、たまたま、僕の30数年来の有機農業仲間H農園のところで欠員が出そうだからと、声を掛けてくれたのだ。昨日、東京から来た甥を連れて、久しぶりにH夫妻を訪ね、面接してもらって、この冬から働くことになったというわけだ。しっかり働くことができるのかどうかはやってみなければわからないが、この気候変動の中で虫たちとの関わりもまた興味深い。

2024年10月21日



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