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「食事考2024」



 うちでは新聞を届けてもらっていない。東京時代から毎日新聞をとっていた。代わりに、今は毎日新聞デジタルを有料で読んでいる。毎日新聞は、昔から書評欄が楽しみだった。そこで見つけた本は何冊も読んだと思う。しかし、毎日新聞デジタルで書評欄を探して読む気にはならない。うちでは、野菜セットの野菜を新聞紙で包む。その新聞紙は、野菜のお客さんからいただくものが多い。その中に、毎日新聞がある。野菜を包むときに、書評欄があると別に外しておいて、あとから読む。もちろん、朝日新聞や静岡新聞などの書評にも目を通すが、なかなか僕の読みたいものは見つからない事が多い。

 毎日新聞の書評は、「今週の本棚」である。なかでも中村桂子さんの紹介する本は、興味深いものが多い。先週には、十月五日の記事で「『土と脂(あぶら) 微生物が回すフードシステム』=デイビッド・モントゴメリー、アン・ビクレー著、片岡夏実・訳、(築地書館・3520円)」の書評を読んだ。これは久しぶりに農業関係で読みたいもの、というか自分自身を検証されているような他人事でない内容に違いない、と感じた。早速アマゾンで検索して注文しようとしたが、こちらもデジタル版があったので、試しにサンプル版を読んでみた。久しぶりにiPhoneのKindleアプリを使ってみたが、知らない単語を指で長押しすると辞書が出てきて意味を教えてくれる便利さは快適だった。本の注文はしないで、結局デジタル版の「土と脂」を買ってしまった。快適さついでに、夕食の後などに、大画面テレビにiPhoneの「土と脂」をミラーリングして読むと、姿勢を正しながら楽に読めるのがいい。

 食事の話をするはずが前置きが長い。中村桂子さんの書評の一部を紹介すると、「有機物が充分存在し生きものたちが活動する土でできた作物は、植物が身を守るため生成する二次代謝物質で、抗酸化作用などがあるファイトケミカル(ポリフェノールやカロテノイドなど)が多い。ウシの乳と肉に含まれるさまざまな脂肪の割合は、飼料でなく牧草を食べた個体の場合によい状態になる。健康の根源は、生きている土で育つ健康な作物を食べるというあたりまえの所にあるのだ。イギリスのE・B・バルフォアという女性が、慣行農業と有機法で栽培した作物を食べた動物の健康状態の比較実験を重ね」というようなこと。

 まだ全部を読んでしまったわけではない。わかりやすく言えば、人間は土でできている、という日本の身土不二という言葉を証明するかのような内容なのだ。長い年月を掛けて土壌成分の検証を行ってきた結果、僕達が育てている野菜のようなものの栄養が、化学肥料や農薬を使った野菜の何倍もの栄養があるとし、それだけでもなく人の腸内にまでも深く影響を及ぼす土壌の微生物の力が、健康に大いに関与するというような内容かな。

 僕達自身がうちの畑の野菜をふんだんに食べて、今も毎日動き回っていることができるのだからね。自分たちが育てたわけではないけれど有機大豆を使った自家製味噌、毎日ではないがウルメイワシの干物やバターくらいがタンパク質で摂っているもので、あとは自家製パンやごはん、そばくらいの食事でも、毎日働けるありがたさ。

2024年10月28日



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