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「もう走り出しているようなもの その4」



 2月のはじめに味噌仕込みをした。去年は味噌の仕込みをしなかった。ここのところ、2年に1回の仕込みが続いている。子供たちが5人とも高校生以下の頃は、毎年14kgの大豆と糀を仕込んでいた。大釜は15kgの大豆を茹でることのできる釜である。この頃は10kg程度の大豆を仕込んでいる。大豆を10kg、米10kgを糀屋さんに持ち込んで立ててもらった糀に、自然塩5kgという材料だ。

 あらかじめ、パソコンのカレンダーに味噌仕込みの予定を書き込んでおいたが、横浜に住む三女がその予定に気付いたようで、連絡をくれた。ちょうどその日は休みで、予定が入っていなかったので「私も味噌仕込みをしたい」と。パテシエの仕事が忙しいというのに、せっかくの休日を日帰りで味噌仕込みに参加するというのだ。

 始発の新幹線に乗ってきても、最寄りの駅についたのは朝八時前。少し薪運びなどをやってもらったタイミングで、三女の友達がやってきた。一時間ほど二人で会話して、友達は帰ったのだが、こちらはすでに朝早くから大豆を大釜で茹でていて、九時過ぎには薪を足すのをやめて蒸らしの工程に入っていた。ちょうどサッカー寮から帰っていた長男と、家にいる次女も加わって、茹でた大豆をミンサー経由で潰す作業が賑やかに始まった。

 おかげで僕と連れ合いは、野菜の収穫ができた。味噌仕込みの時には出荷を休むか減らすのが通常だが、子供たちが大きくなったということ、幼い頃にもこの作業をやっていたということ、それらのことが実として僕達を助けてくれるようになったのだ。彼らの50年後に、このようなことを思い出してくれるかもしれない。思い出すということは、誰かに語るということだ。それが人の生きてきた歴史の意味の一つになるのだろう。などと、感慨に耽るのはこのように時間が経過したあとのこと。味噌仕込みのような小さな家族イベントがあると、仕事と相まって当日はドタバタなのである。

 もう35年も前のこと、有機農業仲間のSさんが味噌仕込みをやるというので見学に行き、うちでも翌年から仕込みを行うようになった。大釜がうちにあったからである。昔はどこの家でも味噌仕込みをやっていたのかもしれないが、僕の子供時代に味噌仕込みの記憶はない。そのようなことをまた復活させて、30数年を繋げた。僕達の代でもしかするとこんなことは終わりになってしまうかもしれない。僕達のように、僕達の孫世代が引き継ぐ可能性だってあるわけだ。この仕込みを、子供たちは手を使い、茹でた大豆を頬張り、その五感に記憶したことは間違いない。そのこと、そのアナログ的なことにこそ意味があるのだろう。

 三女は、夕方五時頃の新幹線で横浜に帰っていった。一人暮らしをすれば、いろいろなことを考えるはずだし、忙しく都会で働いていると、このようなまた違う現場に行きたくなるのかもしれない。パテシエの地道な同じ繰り返しの手作業、そのこと自体が好きで中卒で頑張ってきている。ほとんど走りっぱなしの人生は、親も子も変わらないものなのか?走りっぱなしでも、大きな尺度でゆったりと構えて自分の道を行ってくれ。

2025年2月17日



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