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「生命の中の人間の日常」



 確定申告を終えた。どうしてこう毎年毎年、国税の計算に時間を費やさなければいけないのか?と思うのだが、終わってしまえば、そのような場所からいつもの場所に戻ることができる喜びに、もう過去のこと、と割り切る自分がいる。このシステムを変える方法を探すよりも、自分の居場所で自分たちの時間を過ごしたほうがずっと楽しいのだ。ただ、この国を形作った政治家達は、まるで経済がすべてかのように、お金の計算をすることが最優先だと言わんばかりであることが、いつまで経っても腑に落ちない。

 三十数年前に、僕が東京での音楽生活をやめて帰農を決意したきっかけは、人間とはなんぞや?という自問自答の継続であったことは、何度も書いた。その時から、音楽は人間にとってなんぞや?だけでなく、人間と生命それぞれとの関係とはなんぞや?という自問自答をずっと続けている。もちろん結論が容易く出るものでもない。わかっていることは、人間が人間自身のことを解読するにもまだまだ時間がかかるし、生命の一つ一つの種類のこともほんの一部分しかわかっていない、ということだ。そして、一つ一つのことは確実に解明され始めている。

 僕が、有機農業者として畑や竹林雑木林の類にいる時だけでなく、外出時の窓外を見ても、どういう関係、どういう繋がりの中で虫や草、樹木、鳥や獣、微生物、野菜たちと関わっているかを絶えず夢想するクセがついている。たとえ野菜が目的だったとしても、野菜やその他の生き物たちよりも人間のほうが偉いんだぜ、と思ったことは多分一度もないと思う。それはそうだ。人間のほうが偉いと思ったなら、関係性を探る意味がなくなってしまうからである。

 どう考えたって、人間は生かされているに過ぎない。人が人に生かされることは誰でも考えるかもしれないが、人は他の生物によって生かされていることを日常的に感じる人が少なすぎるのだ。昨日、納屋で野菜を包む新聞紙に、中村桂子さんのインタビューが掲載されていた。僕は多分この方の発言記事を初めて読んだのだと思う。前にも書いたが、毎日新聞の書評欄では相当昔からこの方の紹介する本の記事は読んでいたし、それがまた興味深い本ばかりを紹介してくれる人なのだ。昨年読んだ「土と脂」もその中の一冊だ。その中村桂子さんが毎日新聞の中で、生命誌という専門分野は「生きているとはどういうことか、をゲノムを通して考え日常とつなげる『知』です」と答えている。ああ、そのような人が日常とつなごうとしている。

 野菜との会話で「君たちは偉いなぁ、人は本当に浅はかで馬鹿な生き物だよ」と僕は呟く。人が一番偉いから、その偉い人間は稼ぐことが偉いんだよ、という世の中の馬鹿げた通年の外にいることこそ、人らしく生きることであり、人間以外の生物たちと一緒にいるということでもあるはずだ。人が人を殺して、平気な顔で平和を唱える政治家が神輿に担がれるなんて、他の生物たちが住む大地を破壊尽くして、恥ずかしいとは思わないのかな?

 この四季を翻弄するような激しい気候の中で、それでも四季らしくあろうとするこの地域の特性、その中で食を選び、木々や草花動植物たちと一緒に生きていくには、それがどういうことかを教えてもらいながら、探りながらの日常が必要だ。

2025年3月17日



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