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春の葉ものは混植

「生命の中の人間の日常 その3」



 明日から長男は、いわゆる社会人となり、労働して対価を支払ってもらう人の一員となる。すでにサッカー選手として、練習には参加して、公式戦も1試合だけ途中出場ではあったが経験している。しかし、働くことを続ける、ということは初めてのことになる。有機農業を営む家庭から、サッカー選手としてあるいは大きな企業で雇ってもらえる、ということを、結婚した当初は全く考えていなかった。いや、実際に娘たち4人のあとに生まれた長男が4歳になるまでは、スポーツ選手とか大きな企業に入るなんて、僕達の生活からは想像できないものだった、というのが本当のところだ。

 長男に限らず娘たちも、僕達の畑と古い屋敷で育っていて、生命の中の日常そのものを日々送っていたと思う。不思議なことに、子供たちは僕達夫婦を反面教師とするかのように、歳を重ねるにつれて体裁をよくすることに時間を費やすようになった。僕達は、子供たちに好きなことをやらせたし、今でもそうだと思う。人は生まれてきたなら、好きなように生きるのが良い。そして、好きなように生きることはとても難しく、忍耐や積み重ねも必要なのかもしれない。

 いつだって人は食べなければ生きていけないし、好きなことをするために一人暮らしをしてお金がなくなった時には、食べ物に対して工夫することを覚える。そうして、自分たちが育った食べ物の記憶を辿ることになる。その時に初めて人と他の生命と対等な位置を得ることになるが、そこを掘り下げるかどうかはその人次第だ。対等な位置、とは、生命が遺伝子などのお陰で生まれてきて、育つ環境を用意され、育っていくということにおいて対等であるということだ。野菜が育つことも、人が育つことも、虫が育つこと、木々が育つこと、動物が育つこと、植物、魚、あらゆる生き物が育つことは、まったく同じ位置にある、ということなのだ。

 人間なのだから、人の社会の中で何をやっても、自分の責任において良いわけだ。もちろん法を守ること、人に迷惑をかけないことなどの裁量の揺らぎを自分に課しながら、その揺らぎを歳を重ねることで変化させていくのではあるけれど…。しかし、同時に、他の生物も同じように生きているし、同じように育ってきたことを考えることも必要なのだ。それをあまりに考えない人が多すぎるのが現実であると思うが、それを変化させることも可能なのだ。

 長男は入社前から、寮に入ってサッカーの練習をしてきたが、そこで自炊することを少し覚えた。それだけで、例えば家に戻った時に母親の人参の切り方を見て「そうやって切るんだ」とつぶやくようになる。それが生きることであり、自分自身を変えていくことになると思う。それを飛躍させたなら、野菜が種から芽を出して、おひさまに向かって成長していくことに目を瞠るようになるかもしれない。それが子供たち本人でなくても、彼らの子供から学ぶこともあるかもしれない。そのような未来を描いて、僕は子供たちを育ててきたわけだ。長男のサッカーに関しては、僕が50歳を過ぎて長男の練習に毎日付き合うようになったのだから、人は歳を重ねても何でもできる可能性がある、ということだ。

2025年3月31日



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