








★ 「週刊てーて」+αをブログでどうぞ。 ☆ ひらく農園の野菜を入手できるお店
今日は恒例の、堆肥運搬の一日だった。県を跨いで、レンタルした4tダンプで2往復する仕事である。一年に2度か3度の往復であるから、日常とは言えないが、堆肥を畑の隅に積んでおいて、連れ合いがせっせと畑に運ぶ作業を毎日のように行っているから、日常の一部のようなものかもしれない。今日は1往復目を連れ合いと共に行き、2往復目は僕一人だった。
1往復目は、通常、高速道路を使わないで、一般道を行き峠を超える。今日は気分を変えたくて、一般道でも使ったことのない道を走った。峠を超えずに、山を大回りしたのだ。道中の景色は、いつも目にする光景とは違った。柿の樹が見渡す限り植わっているのだ。そこには紛れもなく、柿農家の日常を想像できるものがあった。それを羨ましいとか憧れるとか、そういう感覚ではない。柿の産地として地域全体でやっているんやなぁ、下草を乗用の草刈り樹でかっているんやなぁ、という眼差しである。
僕達が遠出をする時、まあこの頃は長男のサッカー観戦が主ではあるが、車窓から見える景色をあれこれ言いながら目に焼き付ける習慣があり、それが楽しみでもある。今日は、堆肥運搬という仕事でありながら、なんか得をした気分である。柿の新芽が出てそれが一面に拡がっている光景は、異世界のようにも見えた。そこには、有機栽培とかそうでないとか、そういうことは関係なく、紛れもなく農家の存在が強く感じられるのである。ああ、僕達は農民が好きなのだな、と。
2往復する中で、山には藤の花が数多く垂れ下がっていた。うちの庭にも藤棚があり、この頃は藤な花が咲き始めて熊ん蜂がブンブンとたくさん飛んでいる。しかし、 今日車窓から見たのはきっとヤマフジであろう。ウィキペディアで調べてみると、ヤマフジは「つる性の植物で、他の木に巻きついて大きく成長する。蔓は上から見ると左回り(左巻き)で、フジ(ノダフジ)とは逆である」とある。そこまでは詳しく見なかったけれど、大きな木に広範囲に巻き付いていたことは確かだ。
僕達は、畑仕事に日常で草や木々、野菜などの植物と共にあるが、外に出歩いてみると、知らない植物だらけで、その一つ一つを地域の人たちは理解している人が少なくない。植物学者でなくても、その地域では当たり前の植物や動物があって、それらとともに生活をしているのである。そのようなことを教えられるのも旅の醍醐味の一つだ。そこで地元の方と話ができればまた違うかもしれないが、話す時間も余裕もなくても、自分の目で見るだけでも大きな財産になるのだ。
去年他界した僕のおふくろは山育ちで、おじさんたち親戚の人たちはやはりいろいろな植物や動物の話をしてくれた。今でも会えばそのような話になる。人が人だけのことを会話していてもお金の話にすぐになってしまうことが多いが、草を刈る、木々を剪定するなどのことは、日常の中ではお金にならないことである。そのお金にならないことに時間をかけている人は、案外いろいろな生命を気にかけている人なのかもしれない。
2025年4月20日