








★ 「週刊てーて」+αをブログでどうぞ。 ☆ ひらく農園の野菜を入手できるお店
今から三十年あまり前だろうか、三十歳を過ぎた頃、僕は一人の少年Sを預かった。有機農業仲間のHおかあさんに、息子を預かってほしい、と頼まれたのだった。まだ独身だった僕は簡単に引き受けて、しばらく畑を手伝ってもらった。このことはこの「週刊てーて」にも書いたことがあるかもしれない。
話は遡って、僕が大学生の頃、来るものは拒まず、というスタイルで生活していた。同郷の同級生たちもワイワイと近在にいて、僕がアルバイトの夜勤からアパートの部屋に戻ると、数人の同級生たちが寝ていた、なんてこともよくあった。当時、僕のバンド仲間の一人であるベースのTが、家の事情で、僕の部屋に居候していたこともある。後に、そのTは、Tの親父さんと大工をすることになる。
話は戻って、当時16歳か17歳だったSは、1ヶ月か2ヶ月ほども畑仕事を手伝って居候していたのかな?これからどうする?ということで、Hおかあさんとも話し合って、僕はバンド仲間だったTに連絡した。事情を話し、しばらくSをそちらで修行させてくれないか?と頼んだ、と思う。そして、Sを連れて、埼玉県のTと彼のお父さんを訪ねた。快く引き受けてくれた、と思う。なにぶん昔のことでうろ覚えが多い。
その後、Sは大工として独立した。結婚もして、のちに数年して子どもも授かったようだった。しばらくは音信不通だったが、最近になってFacebook上で再会したのだ。なんとSは、48歳になった。30年あまり経っているわけだから当然といえばそうなのだが、やんちゃなSだけが記憶に残っているので驚きだった。そして、驚いたことに、僕の息子のサッカーの試合をすべて見ている、とのこと。YouTubeでの配信をチェックしてくれていたのだろう。更に驚いたことに、Sの子供の頃に親に連れられて、現在の息子チームのホームスタジアムで試合観戦をしていた、というのだ。その影響もあるのだろう、サッカーが好きかどうかも全く僕の知るところではなかったが、サッカーの試合を観ることに慣れていた、ということかな?
僕の知らない場所で、息子のサッカーを応援してくれている人がいる、ということは、もしかすると他にもそのような人がいるかも知れない。そう考えただけで、息子のサッカーに寄り添ってきたことは間違いではなかったかな?とも思えてくる。それで、僕は、自分の週刊てーてを遡って、息子の6歳の頃のものから少し読み返してみた。それはもう、今は忘れていることばかりが書かれていた。香川の所属していたマンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督が退任した頃でもある。その時、息子も小学1年生で欧州サッカーを見ていた、とある。
今から思うとあの頃は、「なんとエネルギーに満ちていたことか?」と。今、65歳のこの秋の農繁期に、これほどまでに働いて大丈夫か?と自分に問う気持ちだが、10数年前の5人の育ち盛りの子どもたちとの日々に、毎日のサッカー練習が組み合わさって、とても今ならできないな、と思う。50代ってそんなに動けたんだな、とも思う。たまには昔を振り返ることも悪くない。昔があるからこそ、今のSがあるわけで。
2025年9月29日