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「秋の農繁期2025 その2」



 農繁期というもの、四十代五十代の頃までは、食事もそこそこに出荷や種播きなどの農作業をこなしていた、と思う。その分だけ雑な仕事になるけれど、とにかく仕事を進めることに躍起になっていたのではないかと思う。それが65歳ともなると、少し変わってくる。朝の足のマッサージや、食事の後の掃除に加えて、上半分の入れ歯の手入れまで丁寧にやるようになった。野菜の仕訳や農作業すら少し丁寧になるわけで、とにもかくにも時間を費やすことこの上ないのだ。

 僕達の仕事は、野菜の種を播いて育て、収穫したものを買ってくれる方々に届ける、というものである。そのどれもが欠けてはいけない。収穫した野菜は、半端物の自家用野菜以外は、人様に届けなければいけない。つまり、野菜の収穫に合わせて仕事や生活をしていることになる。しかし、植物には、時期というものがある。その時期にやらなければ育たない、というようなものだ。そこにジレンマは生じる。野菜の収穫がたくさんあると、種播きや世話ができない、という事態に陥るのである。そしてまた、秋は、どんどんと日が短くなっていくのだ。

 このことに加えて、息子のサッカー観戦がある。出荷も忙しい、農作業も目白押し、であるのに、サッカーを観に出掛けるわけである。そのためにまた仕事を詰め込む。そこにも僕の65歳という年齢が関わってくる。いつまでサッカーを観ることができるかわからないから、観ることができる時に観るのだ。なんて馬鹿な奴らだ、と自分でもそう思う。

 週末は東京まで出掛けた。その日の仕事は、オクラの収穫と苗の水やりだけ。この時期は日のあるうちに試合が組まれている。暑さを避けてのナイター開催ではないのだ。そうなると出荷を済ませてから出掛ける、という詰め込みができない。前日の出荷にすべてを詰め込むのである。まあ、それでもできることしかできない、という諦めも少し覚えた。

 今回は、東名高速道路の御殿場から富士山の横を抜け、中央道の富士吉田線から大月に出て、そこから中央道で東京入りした。厚木方面は混んでいるから、という理由もあったが、たまには違う道、違う景色を見たかったからだ。サッカー観戦のための道中の景色を楽しむ小旅行、という位置づけも僕達にとっては重要だ。この道は、なかなかのんびりした感じでよかった。反対車線は混んでいたので、時間の組み込みがちょうどよかったのだ。

 会場に着くまでに時間に余裕があり、深大寺にも寄った。深大寺蕎麦のお店に、どこも行列ができていた。深大寺周辺の雰囲気も十分に楽しめた。肝心のサッカーでは、全く予期せぬことに、息子が今季公式戦初得点を挙げた。試合にも勝利したけれど、息子の調子はそれほどでもなかった。先週のお祭りで騒ぎすぎたのだろう。しっかりとした体調管理をしなければ、フル出場でよいパフォーマンスなんてできるわけがない。そのことを身に沁みてわかってくれたと思う。おまけに相手選手の足裏がお腹に入り、腹筋は傷だらけだった。まあ、それでも平気な顔をしているのだから、カラダはできてきたのだろうけれど。直後に交代。まだまだ精進しなければいけないね。僕の仕事は息子に小言を言うことだ。

2025年10月20日



 東富士五湖道路から見た富士山
東富士五湖道路から見た富士山
深大寺蕎麦には行列
深大寺蕎麦には行列
深大寺そのものは空いている
深大寺そのものは空いている

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