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「普通に生きるとはどういうことだろう?」



 気がつけば11月。時間も月日も怒涛のように過ぎていく。よく連れ合いが言う。「お父さんはギリギリでしか生きていけない人生なのよ」というようなことを。時間もギリギリ、経済もギリギリ。妙に俯瞰した見方をしていることがあっても、目の前のことは常にギリギリでどったんバッタン。

 標題の「普通に生きる」とはどういうことか?これは多分に人生観に関わることで、定義などないのだろう。週五日働いて、丸二日間休養し、ゴールデンウィークや盆正月の休みもあるような、現代人の典型的な憧れる普通というものも存在するだろう。その場合には、親という存在がどのようなものであったか、あるいは親を反面教師として、そのような普通が構成されていくのかもしれない。

 僕の場合には、親が最初は農家であったし、僕が10歳ごろから親は農家を辞めて起業したわけだが、それを見て親への反発は10代にかなりあった。しかし、結果として親と同じように、サラリーマンを一度もしたことがなく、土日も普通に仕事するのが常となった。もしかすると、音楽をやっていた20代が一番普通だったのかもしれない。大学卒業後、週4日あるいは5日を夜勤で働いて、あとはひたすら音楽だった。夜勤は仕事柄、車で通うことも多かったが、電車通勤の時には、読書もできた。今は、読書すら朝食時にするくらいの体たらくだ。

 僕の現在における「普通」の感覚は、畑のあるいは自然界の植物と同次元にいることであろうか。そこに存在することだけを考えれば、何千年何万年の歴史とも相入れることができる。しかし、実際には現代に生きているわけで、当然だが人との関わりは大きい。その中でも息子のサッカーを観戦する時には、人と同じ気持ちになれるような気もする。サッカーに集中している時には、それほど感覚に違いはないのかもしれない。それは、サッカーが自然界の一員である人対人が芝生の上でやっているゲームだから、ということもあるのかな?

 話を戻すと、「普通に生きる」ということは、計画されたことを遂行しながら時間をうまく使って定時に終了する、という繰り返しをよしとする、というのが現代の感覚の一つと考えられる。ところが僕たちは、この天候不順の中で野菜の成長具合によって、時間の使い方を左右されることがほとんどなのだ。相手は機械ではない。それでも、その収穫された野菜を、人様のところに持っていくのが僕たちの仕事である。自然界と人様の間の調整を旬として行う、という言い方もできるかな。連れ合いがサツマイモを収穫してくると、即座にコンテナへの収納方法と保管方法が最重要事項として僕の頭に出てくるのはそういうことの一貫である。

 こう書いてみると僕たちは常に普通に生きている。僕たちの中の普通に対してである。そこにはやはりギリギリの時間しか存在せずに、やらなければいけないことができたら、後回しにされることが増えるというだけのことである。普通に生きるとは、時間の解釈をどのようにするか、その時間を使ったことに対して満足できるか、ということなのかもしれない。仕事でも何事でも、その時間を使ってよかったね、と言えたらいい。

2025年11月3日



 富士山は少しでも雪があると違うね
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