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「小さな幸せを喜ぶ」



 11月も中旬になって、ますます秋は深まるばかり。あの夏の暑さと長さを思い出してみれば、今のこの時期は夢の中にでもいるように感じる。そう、それは部屋の中にいてはわからないこと。部屋の中では、エアコンを使わなくて良い、とか、蚊や蟻やゴキブリに悩まされることがない、ということぐらいしか違いがわからないのだから。

 畑に出ると、夢のような世界が待っている。いやいや、畑仕事は、やらなければいけないことが相変わらずに山積みされている、という意味で変わらない。肝心の野菜や虫や草たちのことである。実に素晴らしい。9月に種を播いた大根だけはほぼ壊滅状態だったのだが、そのほかの白菜やカブ、葉物類が今年は生き残っているものが多い。

 例年、9月に種播きをするものは、大抵は虫に食べられてしまう確率が高い。しかし、大根などは虫にやられても、そこそこは生き残り、自家用には十分確保できる。それが今年は暑かったせいなのか、大根のシンクイムシを一通り手で潰していったはずなのに、99%が消えてしまった。欠株が多かったので、そこに春菊の苗を植えておいた。すると、春菊は大いに育ってくれた。もちろん、大根はその後たくさん種を播いた。毎年、10月中旬に播いた大根が冬の主力となる。そして、その抜き菜である葉大根が全盛を迎えつつある。

 葉大根は、何度も種を播くので、約半年間ぐらい収穫でき、それがまたよく売れる。当然、外葉の欠いたものは大量に家の食卓に登る。葉大根を食べるのも好きだけれど、収穫することには幸せを感じる。天に向かって旺盛にイキイキとみずみずしく育ってくれる大根の、どれを残して成長させるかを考えながらの収穫は、現在と未来が交錯してなんとも心地よいのだ。

 9月に種を播いた小蕪も、今年の第一弾は全くだめそうだ、という雰囲気だった。それでも一度はシンクイムシなどを潰す作業をしておいた。それがここに来てぐっと大きく育ってきたのだ。白菜もしかり、小松菜や水菜などもしかりである。そして、それらの間には草の数々が地面を覆ってくれているのだ。夏は、草を生えるに任せておけば、野菜を凌駕してしまう。しかしこの時期になると、草の背丈も短く、地面を守ってくれて、微生物たちが喜んでいるだろう、と思えてくる。生物の多様性は、虫の大発生も抑制してくれるのだ。

 今のメインの畑である「とーと畑」は、土が入れ替えられて埋め立てられた場所だ。草が何もない状態のところを畑にしたのだ。その畑が、今は草も味方にできるくらいになって、野菜がいろいろと育つ場所になってきた。今は、畑を見て回るだけで幸せになれる、くらいの季節だ。その幸せを味わいながら収穫作業ができる、そのことが嬉しい。

 うちの畑の11月は、例年、一番野菜の少ない時期である。10月頃に台風が来て野菜が皆無になり、次の野菜が育つ間の時期でもある。台風が来なくても、虫にやられる可能性が高い時期なので、今年の葉ものがたくさんある状態は珍しい。小蕪の塩漬けも美味しいし、春菊のごま油和えも、もちろんサツマイモの素揚げもよい。本当は、出荷をしないで畑仕事ばかりをやっていたいところだけれど、幸せは小分けしないとね。

2025年11月17日



 葉大根
葉大根

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