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7月29日 教える者の責任 昨日深夜、館山から帰京し、本日久々に出勤です。仕事が溜まりに溜まって消化に明け暮れた一日でした。 「業務日誌」といいながら、まだ頭が「館山モード」ですので、雑感です。 水泳部の合宿でも、後輩を指導する中心は大学生であり、私のような社会人はお手伝い、という立場ですが、最近何となく感じているのが、教わる側も教える側も気迫が何となく薄くなったなあ、ということです。これは社会全体の傾向なのでしょうが。 教える側について言うと、言うことを聞かない生徒に対し、身体を張って怒声を浴びせるような気迫を感じることはほとんどなくなりましたし、教わる側について言うと、怒鳴られる経験が少なくなったことから、なまじ怒鳴られると萎縮してしまったり、拗ねてしまうばかりで、「なにくそ!」と奮起してくれる者は少なくなったのかなあと感じざるを得ません。 実は私も直接怒られるのは苦手で、生徒時代は結構萎縮してしまう性質でした。しかし、10年たって振り返るとき、不思議に怒られたことの方が自分自身の形成に役立っているような気がします。 こう書くと、「子供の人権だなんだと言って、教育の現場を萎縮させて先生が怒れないようにしたのは弁護士じゃないか!」という批判が聞こえてきそうですが、個人的にはこれはちょっと筋違いではないかと考えます。 いくら教育とはいえ、相手の人格を無視した行動が非難されるべきは当然であり、「子供の人権」論は、そうした人格無視の管理教育に対するアンチテーゼとして登場したのです。教育の場に立つ場合、常に相手の人格とのせめぎ合いの中で、教育活動を行っていくのはむしろ当然のことでしょう。 「子供の人権」論だって、身体を張った教育を否定したわけではないはずですが、実際は教える側の気迫がどんどん減退しているのではないかと思います。自分の持っているものを伝えようという情熱が続かないと、社会は衰退していくのではないかと危惧されるのですがねえ。 7月26日 OFF in 館山 7月24日から再び館山に来ています。今年は中学1年生向けの水泳学校と水泳部の合宿の日程が分離してしまったため、延べ3週間にわたり大学生は現地に駐在していることになり、断続的に私も手伝いに行くため、今回は29日まで館山に居残りです。 こんな一銭にもならないボランティアになぜ毎年行っているのかと聞かれると、自分でもあまり人を納得させる説明ができません(笑)。 しかしながら、もう13歳のころから毎年夏場は1週間以上館山に来て水泳部の宿舎に泊まっているため、身体がこのサイクルを覚えてしまい、来ないと何か体調が落ち着かないような気になってしまいます(人間、習慣というのは恐ろしい)。 合宿に来ても、遊んでいられるわけではなく、けっこう肉体的には重労働だったりするのですが、普段とは違ってストレスが後に残らない作業ですので、精神的には相当リハビリになっているようです。あとは頭脳労働、というべきものはあまりありませんので、脳細胞の休息にもつながっているかもしれません(笑)。 実際、宿舎について1日もすると、条件反射的にもはや活字を読んだり難しいことを考える気力が全くなくなってしまいます(身内ではこれを「館山モード」という)。ところが今回は、ついに仕事の区切りがつかず、パソコン、事件記録を持ち込んで館山入りする羽目になりました。昨日ようやく書面を完成させて事務所に送りましたが、館山で起案をするのは非常に苦痛でした。。。 7月21日 ETCとアクアライン 一昨日と昨日は、恒例の水泳部合宿のための脚立(飛び込み台)立てを手伝いに、館山に行っていました。 今年は梅雨明けがずれ込んでいて、天気も悪く海も冷たい中で、こんな用事でもなければ絶対に海に行く気はしない気候でしたが、それでも行ってしまえばそれなりに楽しいものです。 それはそうと、引っ越したために館山までのルートが、これまでの京葉道路経由から、湾岸→アクアライン経由に変わったのですが、アクアラインの料金にはびっくりしました。 いえいえ、高いということではなくて(前は4900円と本当にべらぼうな値段でしたから)、通常3000円のところがETCだと2000円らしいんですよね。 おまけに帰りは同乗者を送るために浮島から409号沿いの作りかけの首都高に乗ったのですが、これも通常料金600円に対して、ETCだとわずか300円だとか。 ETCの普及をもくろんで、こうした「割引」をしていることはわかりますが、はっきり言って露骨すぎ、姑息すぎませんか>道路公団殿。 本来、1000円のところをETCだと800円に割り引き、くらいならわかりますが、アクアラインも川崎の首都高(開通距離が短くて、600円は明らかに高すぎ)も、通常料金が「ぼったくり」で、ETCの割引価格でやっと利用者から見て妥当な値付けという感じなのですから。 もしJR東日本が、「Suica」普及のため、Suica定期券以外は割引中止!などというキャンペーンをやったら、「不公平!」と利用者から抗議が殺到するでしょう。交通の公共性を謳っているのなら、特定の路線に特定の利用者を優遇する措置を取ること自体が自らの公共性を否定していることに気がつかないのでしょうか。 民間企業だったら同じETC普及のためでも、もう少しスマートなキャンペーンをやるような気がしますが。 7月16日 二つの勝訴判決 本日、私の属する二つの弁護団に関連して、それぞれ勝訴判決がありました。 一つは、前から折に触れ取り上げている入学金・授業料問題弁護団の大阪弁護団が提訴していた京都女子学園の事件について、弁護団側の主張をほぼ認める内容の勝訴判決です。 まだ全文を入手していませんので、確実なことは言えませんが、少なくとも@大学に入学、在学する契約について消費者契約法の適用がある、A授業料ばかりでなく、入学金も返還の対象になることを認めた点で画期的だと思われます。 現在のところ、毎日新聞の解説が詳しいです。 前納金返還訴訟:困惑隠せぬ大学側 「常識が裁判所を動かした」――。大学などの前納金返還を求めた元受験生らに、実質勝訴を言い渡した16日の京都地裁判決は「入ってもいない大学の学費をなぜ払わなければならないのか」という市民の素朴な疑問に応える内容。原告らは表情をほころばせた。「返さないのは社会慣行」と、かたくなな姿勢を崩さなかった大学側は今後、厳しい対応を迫られる。 前納金返還訴訟:消費者契約法で状況一変 今回の判決は、そうした変化の流れの中にあるだけでなく、「契約について事業者が守るべき基本的な規範」として同法の広い適用の道を示し、大学側の「常識」に司法からノーを突き付ける格好となった。 もう一つは、法友全期会の先輩宮岡弁護士が自ら原告となった「宮岡税務訴訟弁護団」。所得税法56条(簡単に言うと家計を同じくする配偶者に対する支払いは経費と認められない旨の規定)適用の不当性について争った事件です。こちらは私はほとんど名前だけの参加なのですが、本日東京地裁で勝訴判決を得ました。所得税法56条が機械的に適用できなくなると、適用を争う納税者は増えると思われ、大きな影響があるものと考えられます。 これも毎日新聞かな。 判決:妻への顧問税理士料は経費 税金返還を命令 東京都の宮岡孝之弁護士(47)が、妻の税理士に支払った顧問税理士料を必要経費に算入して税務申告した是非が争われた訴訟で、東京地裁(藤山雅行裁判長)は16日、「夫婦が独立して事業を営んでいる場合、労働の対価として支払った金銭は経費と認めるべきだ」として、経費と認めなかった国と都の課税方法の違法性を認め、徴収し過ぎた税金計42万円余を返還するよう命じた。 え?要は両方ともお前は直接活躍していないじゃないかって?はい、そのとおりです(^^;が、弁護団の一員としてうれしかったのでご報告しちゃいました。入学金・授業料東京弁護団については、一応働いていますので、東京弁護団提訴案件の勝訴判決が出た際にはもっと高らかにご報告させて頂きます。 7月15日 少年の可塑性 長崎の12歳の少年による触法事件でマスコミが沸騰しています。 鴻池議員が「親は市中引き回しだ」と言ったそうですが、それで問題が解決するならば、これほど簡単な話はありません。 事後的にマスコミが騒ぎ立てて、事前の問題行動をあげつらうのも簡単ですが、事件発生前にわからなければ何にもなりません。 この事件の悲惨さ、遺族のやりきれなさは察するにあまりあります。 しかし、加害者の少年を、例えば死刑にすれば何かが解決するのでしょうか。最近のマスコミの論調は、被害者の保護の名の下に、単なる「応報感情」を短絡的に満足させようというものが多すぎます。 日本には「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があったはずです。犯した罪は憎むが、その罪を犯してしまった人間に対しては、更生の可能性を信じる精神が現れている言葉です。 少年犯罪には特にその精神があてはまります。発達途上の少年は、ちょっとした精神のアンバランスから、規範に反する行動に走りがちです。しかし、少年時に問題行動を起こしていても、その後立ち直っていく例は成年の場合よりはるかに多いのです。少年に可塑性があるからこそ、少年法があるのです。 もちろん、人を殺してしまったような場合、当該少年が立ち直ればそれでよし、というわけではないでしょう。しかし、立ち直って人間らしい心を取り戻した一人前の大人にならなければ、被害者が納得する償いの心も持てないのではないでしょうか。 7月13日 プチ日誌 例の刑事事件の控訴趣意書がようやく仕上がりました。 でもって昨日から今日は法友会の旅行総会に動員されて、お疲れです……… (この日誌、一度誤って消してしまい、復元が完全にできていません。あしからず) |