業務日誌(2004年3月その3)

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3月30日 裁判所も間違える

小樽の夜景
 本日は、私が参加している入学金・授業料問題のA班の判決期日でした。

 この種の事件の判決が既にいくつか出たこともあり、マスコミによる法廷撮影も入らず、判決言い渡しも通常通り主文のみという簡略化されたものでした。

 しかし、主文が言い渡された直後から、弁護団内部では「?」のささやきが。

 一連の裁判の流れからは、入学金は「入学の対価」として返還請求を認めず(弁護団としては、この判断には納得していませんが)、授業料等の「入学金以外の部分」の返還のみを認める判決が多く、その場合でも入学辞退の時期によって、返還請求が認められないことがあることから、弁護団としてはこの点の判断を注目していたわけですが、原告の1人について、返還請求が認められた額が、「入学金以外の部分」のさらに一部の金額だったからです。

 「どうも計算が合わないなあ??」という疑問を抱いたまま、弁護士会館へ。15分ほどして弁護団の代表が書記官室から判決正本を入手してきて、さらにこれを弁護団の数だけコピーし、言い渡しから30分ほど経ってからようやく判決文の中身の研究に取りかかりました。

 入学金についての判断は、他の判決を踏襲したもので、取り立てて新しい要素はありません。さて、問題の「入学金以外の部分」です。

 ?? 先ほどの「入学金以外の部分」のさらに一部の金額が認容された原告について、特に認容額を一部に限定するような理屈は判決理由中に見あたりません。おかしいなあ。

 そして、読んでいくうちにさらにおかしな点が。理由中で、他の請求が認容された原告と同列に扱われ、文脈からはどう見ても請求が認容されていそうな原告1人について、請求が全額棄却されています。

 この判決、原告数が多いことから、主文は「別紙一覧表参照」となっており、一覧表で請求認容か棄却か、認容の場合の認容額が示されています。ひょっとして、一覧表作成の際の単純ミスでは?としか思えなくなってきました。もし単純ミスで請求認容のはずが棄却になっているとしたら、大変なことです。

 なぜか成り行き上、私が裁判所に電話して問い合わせることになり、おそるおそる裁判所書記官に電話して事情を説明しましたが、書記官は事の重大性がわかっていないらしく、結構冷たい対応。「とにかく更生決定の必要があるかも知れませんので裁判官にお伝え下さい」と説明して電話を切りました。

 実は私はここまでで、所用のため弁護団会議を早退してしまったのですが、このあとさらに弁護団の武闘派(?)弁護士が直接裁判所に出向いて再度確認したところ、裁判官も単純ミスの事実を確認したらしく、ただちに更正決定を出すと約束したとか。

 マスコミにも既に最初の言い渡し資料が流れてしまったため、マスコミにも更正の事実
がわかってしまったようですね。

東京地裁が判決を訂正 敗訴が勝訴に当初の判決は勝訴となるべき1人を敗訴とし、他の被告への返還額も一部間違っていた。判決は午後1時15分に言い渡され、午後3時半ごろ弁護団が誤りを指摘して同地裁が誤りを認めた。

 裁判官も人間ですから、単純ミスを責めるつもりはありませんが、合議事件で3人の裁判官による判決だけにさすがにちょっとお粗末かも。




3月29日 ウイルス恐るべし

 本日夕方から、私のパソコンに謎のメールが大量着信。変な添付ファイルがついていて本文が文字化けしている点はいかにもウイルス臭いが、件名に(  )内に私のメールアドレスがついていて、メール不着のエラーメッセージのようにも見えます。

 アンチウイルスソフトにもひっかからないし………ひょっとして自分のパソコンが知らないうちに感染して勝手なウイルスメールを送信しだしたか?とまで疑心暗鬼になりましたが、ふと思いついてアンチウイルスソフトのアップデートをしてみたら、何だ、やっぱりウイルスメールじゃないか(^^;

 それにしても、アンチウイルスソフトのアップデートが間に合わないほど素早くウイルスがやってきたのは初めてで、ちょっとびっくりしました。Netskyの亜種らしいという情報を確認できたのは、もっと後の話です。


判事自殺、過労が原因?2001年4月から大阪高裁刑事部判事となった平沢さんは、翌02年から仕事が増加。同年10月ごろからは、毎月の仕事時間が300時間を超える生活が続いた。

 お気の毒に………と思いますが、裁判官に時々お見受けする「真面目すぎるタイプ」だったのかな、と思います。手抜き判決を量産する裁判官も困りますが、ノルマを果たすことに追われる裁判所の態勢を何とかしないといけません。


遺伝子スパイ事件、身柄引き渡し認めず高裁決定は、逃亡犯罪人引渡法と日米犯罪人引き渡し条約の趣旨は、「人権保障の見地から、引き渡される者が、請求国(米国)の裁判で有罪とされる見込みがあるかどうかを被請求国(日本)で審査することにある」との初判断を示した。

 法務省は、同じ条約の趣旨を「国際捜査協力」ととらえているようです。自国民保護と捜査協力の合わせ目をどこに置くかの判断基準の違いでしょうが、意外とリベラルな判断を下した高裁をちょっとだけ見直しました。




3月28日 小樽出張


小樽
 3月26日から、水泳連盟の日本泳法研究会出席のため、小樽に行ってきました。

 この忙しい時期に行事が当たってしまって、後ろ髪を引かれつつ参加しましたが、行ってしまえば小樽の極上の海の幸の虜で毎日食い倒れ状態でした(行く前ちょっと胃炎気味だったのだが、なぜか食い倒れているうちに治ってしまった(^^;)。









3月23日 プチ日誌

イスラエルのヤシン師暗殺
 例えば地下鉄サリン事件当時のオウム真理教団は間違いなくテロリストだったと思うが、その当時の村井氏暗殺は、まぎれもない「殺人事件」だ(犯人は捕まっていないが)。同じことを国家がやるとなぜ「自衛権の発動」になるのか、法律家としては説明が思いつかない。法律家が説明を思いつかない事態まかり通る世界は法治主義ではないとすると、少なくともイスラエルとアメリカ合衆国は法治主義ではないことになる………。




3月21日 八丈島相談

欠航航空券
 3月19日午後から、法友全期の法律相談企画(この日誌の企画の流れ)で、八丈島に行ってきました。

 八丈島の相談会も、昨年度は結局3回行われ、今回が4回目ということになります。私が行くのは初めてでしたが、4回全て行っている相談センター事務局長のT先生が引率し、自らレンタカーを運転して島内案内までする力の入れようでした。

 八丈島といえば、アシタバ(そう言えば、東京駅八重洲地下街にはなぜか、アシタ・バーというアシタバ野菜ジュースを飲ませるカウンター・バーがある)と、クサヤですが、初めて食べるアシタバ料理の数々(おひたし、天ぷら、果てはアイス)も、久々に食べる本格的なクサヤ(苦手な人が8割、大好きな人が2割)も、とても美味しく、満腹中枢には大満足な旅でした。

 が、天候は最悪。

 昨日昼過ぎから風雨が段々ひどくなり、5時半の帰りの飛行機に乗るため空港に行ってみると、あえなく欠航に(;;)飛行機はエアーニッポン便が1日4便しかなく、1つの機体を往復で使い回しているため、羽田発の便が八丈島空港の着陸をあきらめて帰ってしまうと欠航するしかないのです。地元の人に言わせると、この程度の天候なら着陸できるはずだということですが、機長の腕にもよるそうなので、軟弱な機長だったのでしょう。

 あわてて宿を探しましたが、土曜の夜と言うことで、昨日泊まった宿は満室、数件あたってようやく民宿に泊まれました。そんなわけで、昨日夜の帰京のはずが、本日昼前にようやく帰ってきたわけです。