業務日誌(2004年6月その2)

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6月29日 本当に終わりの始まりだった

 1年前の日誌に「終わりの始まり」というタイトルで書いてみましたが、何となく本当にそんな感じになってきました。

 どんなに体裁を取り繕っても、式典も何もなし、占領国が「抜け駆け」で主権を委譲して去っていく(まあ軍は去りませんが)、というのは、テロとの戦いに負けてしまったという以外の何者でもないのではないでしょうか?

 この戦争、最初に、民主主義のリーダーとしての「民主的手続を重んじるアメリカ」というイメージが崩れ去り、大量破壊兵器は見つからず、戦争の大義は見失われ、捕虜虐待で、自分が声高に主張する「自由」を相手には保障できないという片手落ちぶりを露呈し、挙げ句の果てに軍事的にも収拾をつけられずに「主権の委譲」でお茶を濁すという流れです。捕虜虐待事件の報道では、捕虜に対する過酷な尋問にお墨付きを与えたのは米政権内部の法律家だという話ですが、本当なら人権擁護の旗手足るべき法律家の存在意義を自ら踏みにじる行為と言わざるを得ません。

 今一度、「法の支配」とは何なのか、世界中の法律家が深刻に考えるべき時期でしょう。




6月25日 大阪出張

 本日は、大阪高裁の弁論で出張してきました。

 実は、大阪の裁判所に行くのはおろか、大阪に行くこと自体が生まれて初めてです。今まで東北方面や四国方面は仕事で何度も行っているのに、「出張先の王道」ともいえる大阪はなぜか事件に恵まれませんでした(笑)。

 そもそも裁判所までの行き方がよくわからないので、事務所のボスに聞いたとおり、新大阪から地下鉄御堂筋線で淀屋橋駅へ。そこから市役所の横を抜けて裁判所へ。雨だと困りますが、そうでなければ大した距離ではありませんでした。

 とんぼ返りしてしまったので、土産話も何もないのですが、駅のエスカレーターの乗り方で、右側ではなく左側が空いているのを見て、伝え聞いたのと同じだと言うことに納得。私は本来左利きなので(矯正されて鉛筆は右ですが)、エスカレーターを駆け上る際も、手すりをつかむ場合左手の方が力が込めやすいので、左側が空いている方がしっくりきました。関西人は左利きが多いのかね?




6月24日 プチ日誌

 昨日、私が代理人を務めたある民事事件で勝訴判決を受けましたが、今朝の朝日新聞の朝刊になぜか記事になっていてびっくり。

 第三社会面に載った「風評で内定取り消し 企業側に209万円賠償命令」って奴ですが、ま、私の感覚からすると至極当たり前の判決ですので(判決になれば、額はともかく勝つのは分かり切っているような事件なので、裁判所も被告側に和解させようとしたのですが、なぜか応じてもらえなかった事案)、突然記事になった経緯がよくわかりませんね。私に取材も来なかったし。

 依頼者の方に言わせると「尋問の時に法廷にいた人が記者じゃないか」ということで、記者が個人的に追っていた事件なのかも。だとすれば、他紙やネットでは掲載されていない理由もわかりますが。





6月21日 控訴審


 本日の台風は、すごい風ですね。家の周りではまだ突風が吹き荒れています。

 ところで最近、なぜか控訴審の手持ち事件が多くなってきました。それにつれて、いろいろな控訴審の裁判官を見ることになってきました。

 控訴審の裁判が地裁と異なるのは、全ての審理が裁判官3人の合議体で行われることですが、この合議体自体、地裁とはイメージが異なります。

 地裁の合議体は、裁判長、右陪席、左陪席の順に、明確な世代差があり、序列が感じられ、特に左陪席は司法修習終了後5年以内の「よく言えばフレッシュ、悪く言えば「世間知らずの若造」の裁判官です。これに対し、控訴審の裁判官は、左陪席も含めてけっこうキャリアのある世代であり、世代差自体があまりありません。陪席裁判官がある程度キャリアのある年代ですので、控訴審での和解協議等ではなかなか含蓄のある進行ぶりを見せてくれたりして、けっこう勉強になったりします。

 もっとも、そりが合わない場合にはただの世代違いの頑固なおっさんに見えてしまいますがね………




6月17日 ビジネスとしての債務整理

 最近、首都圏の私鉄の電車の中に、債務整理を売り物にする広告がますます増えつつあるように思います。明らかに一番広告量の多い某事務所以外にも、最近は司法書士による広告がけっこうあるようです。

 これらについて、注意していただきたいのは、大々的に債務整理を宣伝する弁護士・司法書士(これ以外は違法ですから論外)の事務所のかなりの部分は、債務整理を「ビジネス」と見て参入しているという点です。

 しばらく前までは、債務整理を売り物にする事務所は、一部を除き、「整理屋」と結託した非弁提携事務所ではないかという疑いが濃厚でした。「整理屋」がなぜはびこるかというと、貸金業者等と結託して依頼者のルートを確保している(不正な確保ですが)ことと、何より「債務整理」をビジネスとして行えば儲かるからです。

 近年、広告が解放されたことから、純粋な意味での非弁提携の割合は減っているのかも知れませんが、それでも「債務整理ビジネス」を行っている事務所は要注意です。

 確かに債務整理は、弁護士の業務の中では比較的定型的ですが、それでも1件1件個性があります。何より債務整理は、依頼者の方が、生活を再建して立ち直ってもらうことが目的ですから、どのような手法を取り、どのような改善策を講じれば生活が再建できるのか、その観点からのカウンセリングが必要です。ただ単に債権者と交渉したり、破産を申し立てても、その後依頼者の生活が立ち行くようにならなければ意味がありません。

 しかし、依頼者の生活の再建を真剣に考えていると、ビジネスとしては効率が悪いですから、債務整理専門事務所というのは往々にして、きめ細かな処理を嫌がります。その結果、無理な任意整理を選択させられたり、事情を把握しないままにおかしな債務整理を進めて結果的に再度破綻、という事例が往々にしてあるようです。

 「ビジネスとしての債務整理」より、「カウンセリングとしての債務整理」を行う弁護士に相談して欲しいものです。