業務日誌(2005年1月)

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1月14日 事務所大混乱………

 今週は散々でした。。。

 スキーから帰ってきて出勤した火曜日(11日)、事務局が私の顔を見るなり、「(ファイルサーバーにしている)パソコンが壊れました」とのこと。

 あれまあ、2003年3月以来の同じような現象です。いかれたのはT30(2366-K2J)。たぶんHDDがいかれて起動しないのでしょう。BIOS画面から先ですぐ止まってしまうので、F11ボタンによるリカバリーも無理な状態です。これではIBMに修理に出すしかありません。

 とりあえず、データを救出しようにも、セカンドHDDアダプターを家に置いてきてしまったため、この日は手のつけようがありません。

 そこで、とりあえずT30が修理に出されてしまうことを覚悟して、新機種を買いに行きました。どうせ年明けから新しい事務局が入った関係で、一台買わねばと思っていたのでまあいいや、と思いました。

 事務局をつれて秋葉原へ。とりあえず見繕ったT42(2373-J7J)を買って、事務局に渡し、私はその足で建築審査会の会議へ。

 夕方戻ってT42の立ち上げ。結局家に持ち帰ってセットアップを終えました。

 ところが12日に事務所に持ち込むと、このT42の共有フォルダがどうやっても他のパソコンから認識されない。マイクロソフトのサポートページにある対処法をすべて試してもだめです。他のパソコンからpingを飛ばすと、IPアドレスは認識されているが、名前の解決に失敗しているよう………しかし、それ以上は対策が不明です。

 結局水曜日一日、暇な時間はこれにつぎ込みましたが、解決せず、徒労に終わりました。おまけになぜか、昨日はうんともすんとも言わなかったT30がなぜか、怪しげな挙動ながら起動してしまいました(苦笑)。

 そこで、ファイルサーバーをT42に切り替えるという発想はすっかりあきらめ、木曜日の夜は事務局が帰った後、T30のHDDを交換してデータを移すことにしました。急遽HDDを再び秋葉原で買いに行くという手間も増えました。

 そんなこんなで、パソコンのトラブルで1週間が終わってしまいました。年末に自宅のT23がいかれてから、どうもついていません。最近の業務日誌、書きたくもないのにこのネタばっかりですねえ(^^;




1月13日 犯罪者の隔離は可能か

 奈良の女児殺害事件の容疑者逮捕から、怒濤のような流れで、どうやら法務省が警察に性犯罪者の個人情報を提供する運用が実現しそうのように伝えられていますね。

 マスコミ等では、さらに外国の制度を紹介して、性犯罪者の出所後の居所を地域住民に知らせるように求める意見も出ています。

 しかし、すでに指摘されているように、性犯罪者が他の犯罪に比べて明らかに再犯率が高いという統計はありません。それなのに、性犯罪の前科前歴を持つだけで、このような人権の制約が行われるとしたら、法の下の平等に反するおそれがあります。

 今、行われている議論は、性犯罪、特に今回の事件がイメージを喚起する種類の犯罪に対する感情的な嫌悪感から感情的な意見に走りすぎの嫌いがありますが、そもそも犯罪者を社会から「隔離」したり、「区別」したりして、自分たちの身を守ろうという発想は、一見合理的に見えますが、実は社会全体としてはコスト的にも到底見合わないものです。

 犯罪者を「死刑」にするか、「終身刑」にしない限りは、その犯罪者はいつか必ず刑期を終えて社会に戻ってきます。そうした人たちにレッテルを貼って、自分たちの社会から締め出したつもりになっても、そのような人たちは行き場を失うだけで、結局は国家が面倒をみること=税金をつぎ込むことになりかねません。

 今回の事件で教訓にすべきは、(まだ有罪判決が確定していませんので、容疑者を犯人扱いすることは避けるべきですが、仮に報道を前提にするとして)なぜ彼が「野に放たれていたか」ではなくて、なぜ彼が「更生できなかったのか」でしょう。

 犯罪者を区別して隔離すればいい、という考え方は、私たちの意識の根っこにある「犯罪者と正常な人間は違う、区別できる」という隠れた差別意識を反映しています。こうした考え方は、下手をすると、パレスチナとイスラエルの「隔離壁」などと同種の過ちに陥りかねません。




1月10日 全期スキー


 2年前と同様、8日から本日まで所属する東京弁護士会の若手集団(法友全期会)で、北海道にスキーに行ってました。。。本当はそんなことしてる場合じゃないですが、申し込んじゃったからしょうがない(^^;

 今回は、2年前と異なり行方不明になっちゃう方はおられませんでしたが、3日間ずっと雪が降り続いた寒い天候のせいもあって、二日目からはスキーをリタイヤして「温泉に入りた〜い」という我が儘な希望が続出。幹事さんをてんてこ舞いさせていました。






1月6日 被告人違い

 本日から私の事務所も仕事始めです。

 それはそうと、

別人に判決言い渡し:高松地裁

 は、ひどい。何がひどいって、弁護人がひどい。

 刑務官が処分されるそうですが、刑務官や裁判官にとってはよくある被告人の一人にすぎません。しかし、弁護人にとっては(どうせ国選弁護人ですが)、被告人は「依頼者」です。本当に処分されるべきは弁護人ではないかと思えます。

 確かに国選の場合、被告人からお金をもらうわけではないですから、純粋な意味での依頼者ではないかもしれませんが、被告人が人違いなのに気づかない弁護人って何でしょうか?

 これは(推測ですが)たぶん、被告人とろくろく接見もしていなかった弁護人の事件なのではないかと思われます。国選弁護人になりながら、被告人と満足に接見せず、手抜きを行う弁護士はかねてから弁護士会内部でも問題にされています。香川弁護士会は、このような事件が起こってしまったのを恥ずべきでしょう。




1月5日 3つの住居侵入事件

 正月明け早々、法律家にとっては悲しいニュース。

東京地裁の女子トイレに盗撮カメラ、司法修習生を逮捕

 修習生の不祥事もこれまではかなり守ってもらえて、表沙汰にならずにすむことが多かったですが、今流行の(?)性犯罪がらみでは立件もやむを得ないところでしょうか。

 それはさておき、私が気になるのは、この事件での逮捕の被疑罪名が「住居侵入罪」ということ。裁判修習中の司法修習生は、裁判所に立ち入る権限は与えられているはずです。まあ、一つの建物の内部でも、立ち入ることができる場所とできない場所はありますから、理論上は住居侵入罪が成立することはあり得ますが、けっこうきわどい事例ですよね。

 捜査当局によれば、修習生は被疑事実を認めていると言うことですから、最初から軽犯罪法違反で立件すればいいのに、何かこれも別件逮捕の手法を安易に活用しているように思えてなりません。
*その後、この事件は処分保留で釈放になってしまいました。検察庁が立件を断念するような証拠の不十分さがあったのかもしれません。「推定無罪」を唱えながら、裁判所が捜査に協力するくらいだから確実なんだろうな、と甘く考えて有罪を前提としたかのような記述をしてしまいました。反省。

 本来別の範疇の事件を、住居侵入罪で強引に立件してしまう手法は、昨年無罪判決が出た、立川自衛隊監視テント村の自衛隊官舎ビラ配り事件で厳しく指弾されたのに、捜査機関はこの手法に味をしめてしまったらしく、松戸のマンションでの共産党のビラ配り事件で同じ手法を繰り返しました(この事件に対しては、マスコミの論調がなぜかトーンダウンしてしまうことのおかしさはこのコラムが正鵠を得ているでしょう)。

 今回の事件では、別段表現の自由が絡んでいるわけでもないですが、捜査機関が新たな別件逮捕の手法を活用してしまった点では共通しているように思えます。このような手法での「逮捕状」を易々と発布する裁判官がいる限り、日本の「令状主義」は暗いですね。




1月1日 謹賀新年

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 早いもので、21世紀ももう5年目に入るわけですね。私が子供の頃に比べて、確かにパソコンや携帯、ネット社会、デジタル家電等は大きく進歩しましたが、一方でリバイバルを狙った企画ばかりが流行って、文化としては行き詰まってしまっているような閉塞感もあります。

 法律家の目から言うと、数年前から司法改革と連動して、「法化社会」の必要性が高らかに唱われています。しかし、社会全体に法的な素養を受け入れる素地のないまま、単に立法を繰り返したり規制緩和を実行したりすれば「法化社会」が実現するものではないでしょう。

 「憲法改正」論において、憲法が国家権力を縛る唯一の規範であることを忘れた見当違いの「改正案」が、国会議員から出てきてしまうところにも、「法化社会」の一番根底をなすべき「法の支配」が全く理解されていないことがわかります。法教育が一番必要なのは彼らかも。