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   その3 ボラボラとの別れ、そしてタヒチへ。

 最後の夜、マンタは桟橋にやって来ませんでした。
 それだけで、私はなんだかとても寂しい気持ちになってしまいました。
 思えばたまたま最後の夜に催されたカクテル・パーティーに出掛ける前、ボラボラの海があまりにもキレイなのが悲しくて、私は思わず海に背中を向けました。明日になれば私はボラボラを去らなければならないというのに、海はいつものように穏やかで青い。それがほんの少し寂しくて、つい拗ねてしまったのです。相手は自然だというのに、馬鹿みたいですね。私は自分で自分が可笑しくなり、すぐにまた海と向き合いました。
 拗ねて海に背を向けるなんて本当に馬鹿馬鹿しいと思いました。とりあえず今日はまだ、この海は私のものです。
 いつも午後になると、眩しかった部屋の中。海に降り注ぐ太陽の光が乱反射して、バンガローの部屋の中はまるで海の中みたいにゆらゆらとした光が踊っていました。
 その中にいた時間を私は忘れたくないと思いました。いつか、記憶が薄れていってしまうことを思うと、時間を止めてしまいたいと思いました。

水上バンガローの部屋の中
いつもブラインドから洩れて入ってきた光の反射

 そして夜、マンタに会えずがっかりして部屋に戻ると、ベッドの上に緑色の包みとカードと封筒がありました。

プレゼント
最後の夜、枕もとにプレゼントが・・・

 封筒の中には、明細と一緒にまた手紙のようなものが入っていました。
「Ia Orana!たいへんおなごり惜しいですが、もう最後の夜ですね・・・」
 すべて読み終えた私は、静かに決心しました。「いつか、絶対また来よう」

その1
ボラボラへ。
そしてホテル・ボラボラとの出会い。
その2
私がボラボラでやったこと。
その3
ボラボラとの別れ、そしてタヒチへ。
その4
タヒチ、旅の終わり。
◆タヒチこぼれ話◆

 翌朝、いつものように早起きし、朝食を食べ、海を眺めました。
 していることはいつもと同じですが、しばらく(本当に長くなりそうですが)戻っては来られないと思うと、朝食を食べても食べ納め、海を見ても見納めと思ってしまいます。
 もう写真など飽きるほどに撮ったような気がしていましたが、それでもまだ足りないような気がしてきました。何を撮りたいという訳でもなく、カメラを持ってうろついてしまいます。

桟橋から見た水上バンガロー
桟橋から振り返って見た私のバンガロー

 そうやって別れを惜しんでも、時間は無情に過ぎて行きます。やがてポーターが部屋に荷物を取りに来て、私達も船着場へ向かいました。
 船着場ではまたSさんご夫妻と一緒になり、大分打ち解けてきた私達はタヒチに行ったら何を食べたいかとか、次の旅行は何処へ行くとか、そんな話をしました。Sさんご夫妻は12月にアマンプロに行こうかと考えていると言っていました。
 そんな話をしながらボートを待っていると、ホテルの日本人スタッフの女性がラグーンを指してマンタが来たと言いました。見るとラグーンになにやら大きな魚の影のようなものが見えました。「お別れを言いに来たのかも知れませんね」。そう言われるとそんな気になってしまいます。さよなら、マンタ。また会おうね。

船着場からの景色
船着場からの景色

ラグーン
マンタがいたんだけど写真は間に合わなかった・・・






★アマンプロ
アマンリゾートが誇る白砂のビーチリゾート。フィリピンのパマリカン島というところにある。
明細と一緒にここのパンフが入ってたんだよね。「次はココへどうぞ!」って感じか。

 ボートに乗ると、コレを海にまくんだよとお花を渡されました。そういう意味があるのかどうか知りませんが、「また来られますように」と祈りながら青い海に花を投げました。
 ボートが船着場を離れると、ボートの上から遠ざかるホテルに向かっていつまでも手を振り続けました。ホテルの船着場で手を振ってくれているスタッフもやがて見えなくなり、夢のような日々を過ごしたホテル・ボラボラはどんどん小さくなって行きます。
 何処からか香る花の香り。静かな海に揺らめく強い陽射し。澄んだラグーンと濃い島影。すべて大好きになりました。いつかまた、きっとここへ戻って来ます。

海にお花を
ボートの上から海にお花をまいた

遠くなるホテル・ボラボラ
ホテルが見えなくなるまで手を振った




★「・・・いつまでも手を振り続け・・・」
ホテルに手を振る写真に写っているのはSさんの奥さんの手だよ〜だ。

 ボラボラの空港に着いて後ろを振り返ると、こんな場所でさえもこんなにも海はきれいです。ボラボラは本当に美しい島だと今更ながらに改めて実感してしまいます。

空港から見た海
空港に到着して振り返った景色

 さて、いつまでもボラボラとの別れの余韻に浸っていても仕方ない、今日これから行くタヒチで、どんな楽しいことが待っているかわからない・・・そう自分に言い聞かせ、感傷的な気分を追い払い、無理矢理モード切替です。浸るのは日本に帰って写真を見た時にしよう、そう思いました。
 タヒチにはルロットやマルシェが有ります。大型のスーパーマーケットもあるし、ボラボラとは違う楽しみが待っていそうで、なんだかわくわくします。
 日本を離れて5日目、正直言ってそろそろアジアンチックな食べ物が食べたい頃です。和食なんて贅沢は言わないけれど、せめて中華が食べたい・・・そんな欲求が急に沸いてきました。そう言えば、Sさんの奥さんも昨日あたりからやたらとラーメンが食べたいとしきりに言っています(残念ながらラーメン屋はなさそうですが・・・)。
 そんな私達の期待と食欲を乗せて、機体はタヒチのファアア空港へと飛んで行きます。






★ルロット
パペーテの港前の広場に18:00頃になると出現する屋台。30店くらい?
イタリアン、中華、デザートなど。

★マルシェ
食料品、民芸品(2F)などがいっぱいの市場。
月〜土曜 7:00〜17:00
     (土曜は一部休み)
日曜 5:00〜9:00(民芸品は休み)
商売っ気がないのか17:00になると客がいても構わず店を片付けるぞ!!

 タヒチでは、インターコンチネンタル・ビーチコンバー・リゾート・タヒチというホテルのラグーン・ビュー・ルームに一泊+デイユースの滞在です。ラグーン・ビュー・ルームという部屋は、ランク的には下の方のカテゴリですが滞在日数を考えると充分かと思います。何しろタヒチでは部屋でじっとしている時間は少ないと思うのです。

ビーチコンバー
到着したビーチコンバーのエントランスからの景色。遠くに見えるのはモーレア島

ラグーン・ビュー・ルーム
ラグーン・ビュー・ルームのベッド

ラグーン・ビュー・ルーム
部屋のテラスはこんな感じ

洗面台
バスルームの洗面台

★インターコンチネンタル・ビーチコンバー・リゾート・タヒチ
タヒチ島ファアアにあるホテル。
ポリネシアンダンスのショー、バーカウンターとつながっているプールなどが人気。モーレア島が見えるのも良い感じ。

 何処へ行ってもお約束で、落ち着いたらとりあえずホテル内を散歩です。

ビーチコンバーのプール
プールの前のパレオを売るお店

プールサイド
メインのプール付近

ラグーン
人工的に作ったラグーンなのかな?魚がいっぱいいる

 そうやって散歩をするうちに午後の陽射しは夕方のそれに近付いて来ました。いよいよ、楽しみにしていたルロットに行くため、パペーテに出発です!

「その4 タヒチ、旅の終わり。」へ続く。