東京 ことば悦覧 2008年4月   home 

  岩堀 未来(ヒデキ) ことば悦覧 2008 4月16日  3時間ほど

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 その06 

佐藤:インタビューと聞いてどんな感じしましたか
岩堀:主旨みたいなものは龍光寺君からたしょう聞いてたんで、イメージ出来ていた。でもインタビュー受けるというのは自分としては初めてなので、

佐藤:私もつい先日始めたばかりで、自己流ですからね 迷惑をかけてしまいます。俺が説教に来ているみたいな雰囲気にもなっているけど、共に笑い 
岩堀:自分の考えをインタビュー形式で喋るっていうのが 初めてだったから 何か面白いというか こういう事なのかな〜と 。 人のインタビューは色々読んだりとか、聞いたりするんですけど、自分でやったらどうなるのかな?っていうのがあった (わらう)

佐藤:他人に会うというのは危険な行為なんですけどね 出会ってしまうと 何からの影響でお互いが変わってしまうので。いままでの岩堀が変化してしまうんですよね。 聞いてる私としては虐待しているような気分になったりもするわけですよね 
岩堀:うん、うん 

佐藤:聞く方としてはそうなんだけど、聞かれる方としてはどうなんですかね、こういう拷問もいいか〜みたいな

岩堀それはありますね 喋らなきゃならないというか、喋った事で自分があるていど人から見られてしまうという 結構 恐いな〜と 
佐藤:言葉は他者に発しつつ自分にも発しているので 恐いんですよね、やらないほうがいいんだけどね

岩堀:うはははあっははは 
佐藤:言葉は両刃の剣だけど、使い方を練習した方がいいと思うので。無理にでも聞きだそうとしているんですけど  こんな長い時間 俺の興味に岩堀さんを巻き込んでていいのか〜と 思いながらなんですけどね
岩堀:ははあはははは、自分の考えがインタビューされてまとまるというのは、往々にしてあるから いいんじゃないですかね〜 

佐藤:初めて出会って聞いているんだけど、気分悪い!と言って席を立つ人はいませんでしたね むかついたり 意味があったり と思っているので長い時間付き合ってくれるんだと思うんです 

岩堀:単純に興味ありますよね、同じ年代の建築家が何を考えているのか?というのは 
佐藤他の建築家の体験は僕の体験だという乱暴な考え方で行動している。僕の行為も建築家に共有されてしまう で積極的に共有出来るような素材にしてしまう。恥も外聞もなく晒してしまう。

 岩堀さんは難波さんを消化して 離れてからがスタートのような感じに受けとめました 岩堀的胎動期をへなければいけないんだろうな〜と


岩堀:さっき言ってた話も、そう考えて作ったわけじゃないんです。振り返って今自分が作ったものを、そうだったのかな?と。
佐藤:その情報源は難波さんだっったり メディアの情報だったり だから今度は自分たちが発信した情報を加えると もっと複雑に変わって行くと思う

岩堀:そうですよね
佐藤:あとはどうなるのでしょうか?は5年後のお楽しみでいいだね、そういう事で終わりましょう。



岩堀:
僕は体育会系ですよ山岳部 高校は弓道だったです
佐藤:どちらも精神性を中心においたスポーツですよね 

岩堀:おもしろいんですよ、精神性を獲得するためにプロセスとか 科学的に追求されていると言うか。例えば弓道なんかは 的に当てるとかそういう目標が設定されていて でそのためにもの凄い体の動きとか、弓の扱いとかそういったものが、かなり合理的に出来ているですね。 合理的に突き詰めていった時に全然意味の判らない精神性みたいなのがあって、それが結構 建築に近いというか 山も同じで 

佐藤:日本に近代がやってくる以前からあるものだ 日本に近世期にあった精神性の上に難波さんが載っかったと。それに対する反発 

岩堀:頂上に登るって仮の目標があるんだけど その目標事態にあまり意味はないですね でその頂上に登るために、もの凄い、気象の知識があるとか 山の食べ物の、水の知識とか 地形の知識とか もの凄い 
佐藤:雷きたらどこに隠れるとか 山に登るって本当に危険だものね 

岩堀:それを突き詰めていく処に その先になにか 言葉 ふふふふふふ 何だったんだ?みたいな 

佐藤:月山信仰ってわかりますか
岩堀:ああ僕行きましたよあれ

佐藤:
湯殿山、羽黒山、月山の出羽三山 修験者の方から聞いたことあるんだけど 太陽信仰と月信仰 権力と反権力の構造があって  春秋分の日だと思うんだけど、生まれ変わりの儀式があって 山を駆けめぐり、南蛮で燻して 自分の潜在てき意識力を拡張する 荒行があるので 女人禁制らしい  粗っぽい業をやりつつ飢餓状態で南蛮で燻してトリップする そのような危険な行為をしても精神性を獲得したいと言っていた ものは作らないんだよね 岩堀さんはそちらの系が好きなんでしょう

岩堀:そうなんでしょうね  
佐藤:難波さんは滝に打たれたり、山を駆けめぐったり、南蛮燻しの荒行は勧めないだろうから、融合してしまっている 岩堀さんから面白いものが生まれる可能性があるよね  無理矢理他力本願でハイブリットされちゃっているから 
岩堀:あははあはあはは

佐藤
:精神性をとるか合理性をとるか いつか悩む時が来そうで おもしろいな〜
岩堀:凄い矛盾だらけですね 
佐藤:山登りによってつくられる空間、弓道によって作られる空間、。それらの空間性というのを理解して 主体なのか客体なのか判らないけど それらを建築的に消化し直して 難波産から受け継いだ合理性と、相反するのもを 同置して建築を拓く可能性はあるよね それは岩堀さんしか出来ないじゃないの。

岩堀さんの心は近世ふうかもしれないし 難波仕込みの近代が載ると面白いね。 ふふふふふ 岩堀さんが難波さんの主体客体を転倒させてしまったという建築は 岩堀さんの経歴を聞くともっともだね、と膝をうってしまうね はあははははは


岩堀:中学の時は 将棋がすごい好きで 今全然やらないですけど 中学校のときはオジサンとか集まっている処で 3段とかは負かしていた。やっていた頃は随分強かった。 それも建築の設計と似てて コマの配置ってあるじゃないですか。コマの配置の仕方で最も有効に配置しかたを持続したほうが勝つ。それが一手さすと体系のバランスが崩れて そのなかでバランスが崩れながら なおバランスをとって行くと そこが似ているんです
 
佐藤:そのとおりだわ 基礎訓練が将棋で出来てるんだ 
岩堀:王将とるのが下位の目的みたいな
佐藤:そうだね 建築を設計し続ける行為と似ているね 
岩堀:そうですね 

佐藤:最初の配置に必ずもどされてまたスタートする 建築設計行為と同様だね
岩堀:そういう感じはありますね 将棋も勝負事ですからふつう勝敗に興味があると思うのですけど 僕としては、そっちの例えば コマの配置によって盤面全体の均衡関係が徐々に変わっていくみたいな そういうプロセスが面白かった。 将棋まもともとはインドで出来たんですけどね お城将棋というのが江戸時代にあって将軍の前でその時の名人が将棋をさしてみせる。

佐藤:その記録も残っているのですか
岩堀:残っています。 コマの動きだけでその人の人となりが判る。  

佐藤:岩堀さんのお父さんが建築設計をし 中学時代に将棋に取り組み そのご 弓道から山登り、そして建築へ至 その話に接してなんとなく 岩堀流思考法がわかってきたように思いました 初建築を手に入れて そこらあたりとの感想は 考えはどうでしたか

岩堀やっぱり矛盾が多いですね だから何処かを進めると何処かが 変になったり、進んでいるんだけど後退する処もある、そういう矛盾があって それと似てるな〜っていう事なんですよ。 だから設計も同じで 自分としては何かを達成したって感じはあんまりなくって、結構 矛盾のあるものだな〜と。ただ人に設計するためにそこから 後付している


佐藤:たのしみな初建築の話は 建築を尋ねてそこで伺うことにしますので、達成感が無いという 感覚をすこし話していただいて 雑誌に発表はされたんですか

岩堀:まあそうです 何か意外ではありましたね 
佐藤:意外とは?

岩堀:載ったらうれしいな〜って感じ、単純な気持ちがあるんですけど 。自分でもよく判らなかったというか 。雑誌を観てテレビ局とか電話があったりとか。

佐藤:テレビには出たんですか
岩堀御施主さんが出たくないって。残念ながら新しい施主は発掘出来ませんでした。 (笑)

佐藤:依頼者と出会うっていうのはとても難しですよね、それからクライアントとのズレはどうしているんですか
岩堀:クライアントの要望を聞いて その先に自分の考え方っていうのを加えて 

佐藤:難波さんへの対案を出すということ
岩堀:それは作っているうちに 
佐藤:最初から意図的に設計したんじゃなくって、何かやっているうちに 難波さんに違和感を感じていて、それを取り除いていった結果そうなったと

岩堀:そうです それも、出来た時もハッキリしていないところもあって。出来てから雑誌に発表するまで 半年以上は期間があったんですけど 雑誌に出すんだったら文章書かなければいけないし 「何を書こうか」っていう だから考えたんです「何なんだろうな〜」って それで徐々に徐々にさっき言った事が 

佐藤:岩堀主義は初建築を見てから確認するとして なんとなくルールのなかで身を任せ発見していくかのような そこら当たりをもう少し自覚的に行うとより鮮明になるように思いました 
岩堀:あああ

佐藤:後付の説明が鮮明になって他者との境界も鮮明になる 目的主義でもいいし目的主義外しでもいいし 将棋を指すように遊戯できるでしょう。

かなり面白いものが出来るな 大いに期待できますね〜 これから5年のあいだに固まってくるでしょうから大いに期待しましょう 将棋や山登りの中にある形式のようなもの、岩堀建築を発見してうち立ててくれると面白いですね。それを他の建築家も使い込んでいけるような事になると大変面白です

5年後 またお会い いたしましょう 今日はありがとうございました楽しいね 話していると

岩堀楽しいです



以上岩堀未来 (ミキオ)さんの2008年のインタビュー記録は終わりです
続きは2013年までお待ちください 文責 佐藤敏宏