はじまりの都市

20年代には、現代へとつながる都市生活の諸相が揃い踏み。日本では「都市計画法」が公布され、いよいよ本格的に近代都市建設がスタート。

建築の東京
都市美協会編/昭和10年(非売品)
品切れ中
Condition;函付、カバー破れアリ

震災復興を祝したイヴェント「大東京建築祭」を記念して作られた写真集。テキストページ(本文)が最初に52ページあり、そのあとの図版ページでは、震災後から昭和10年の間に建てられた東京の建築物約500が収録されています。当時の主だった建築物のほとんどが収録されている大変貴重な建築写真集です。付図として掲載された建築物の位置を示す地図、最後に建築関係機関一覧が名鑑として掲載されています。30.5cm×22.5cm、本文52p、図譜236p、附図1枚、名鑑32p。くわしくは、→こちらへ。


考現学採集
今和次郎・吉田謙吉/建設社/昭和6年
品切れ中
Condition;函欠

「考現学」の総元締・今和次郎と舞台美術で知られる吉田謙吉により昭和5年に出版された「モデルノロジオ(考現学)」の第二弾。前書よりさらに客観的・分析的な解説と、いまだったらストーカー行為と間違えられるであろう尾行追跡による詳細な人物行動調査は、まさしく「よくぞやってくださった」の世界。たとえば「靴下のシワはどの辺が多いか」を図表化して分析、「御馳走陳列のぞきの時間」では如何なる人が何分間程思案して最後に如何に決意したか、など、究極の「時間の無駄遣い」により生み出された貴重な風俗資料。26p×19cm、324p。


商店界 第七巻第一号
商店界社/1927年1月
price;¥4,500
Condition;赤えんぴつ朱線少アリ、その他は良

「成功秘伝公開号」として編まれた本号。倉本生の巻頭言「万物更新の気溢るるの時、古き店よ、暫く若き人々の感激に其店運を委ねるだけの闊き心となれ」と始まり、アメリカの大服装店の店主の成功談「靴磨きから身を起こして」、「洋菓子店不二家の成功秘伝」、「東光園は何故成功したか」などを写真とともに紹介。また新興文学・芸術家などが集った“南天堂”の「店舗譲りたし」の広告が正面写真と内部風景の写真とともに掲載されているのも興味深いです。また、ところどころにあるユーモラスな広告も楽しみの一つ。25.9cm×18.7cm、148頁。


商店外装建築図集
永原與蔵/日本工藝学会/昭和2年
品切れ中
Condition;編年イタミ 染み少

著者の永原は、木工芸家で家具の研究で知られる人で、さらに商店建築の研究にも携わり、本書では建築の概観図と内部平面図が掲載されています。これらは、震災で倒壊した個人商店の改築や新たに営業を考えている人のために、最も適当と思われる例を選んだもので、あらゆる商店に応用できる、と書かれています。とくに個人経営の商店は改築といっても莫大な費用がかかるので「外装建築」こそ相応しいとしています。22.7cm×15.4cm、56頁。くわしくは、→こちらへ。


建築世界 第二十八巻第三号
建築世界社/昭和9年3月
price;\2,200
Condition;背破れアリ

表紙はドイツの建築家が設計した「成長する家」。図譜として「日本劇場」、「下谷産院」、東京帝国大学部附属病院外来患者診療所」、「日比谷映画劇場」などを豊富な写真で紹介。そのほか論文「第二次産業革命と住構築」、「成長する家(1)」などなど。専門的な内容のようですが、このころ刊行されていた建築雑誌は会員頒布が中心だったにもかかわらず、この「建築世界」は、広く一般を対象にしていたものらしい。広告ページを眺めるのもまた楽しいです。26p×18.7cm。


新版大東京案内
今和次郎編/中央公論社/昭和4年初版
品切れ中
Condition;函ナシ

考現学の今和次郎が編集したモダン都市東京徹底ガイド。最近「ちくま学芸文庫」から再刊されたようですが、こちらが原書。 「今日の東京は、実に過去の東京ではない。全然跡形なく変ってしまったと言える程に。(中略)現在の東京を一人の頭で敏速に体得しようと欲したならば、その無謀者は破滅するであろう」(序曲より)。19.3cm×13,2cm、380頁。


大東京写真案内(復刻版)
博文館編集部/博文館、博文館新社/1991年
price;¥1,800
Condition;良、函付き

昭和8年に航空写真で大都会東京を撮影して紹介した労作の復刻版。函に記された解説文より−「省線、地下鉄、デパート、そして電話やラジオといった近代的都市生活に欠かせないものが普及し始め、都市生活という概念が出来上がっていった時期でもある。いわゆるモダン。現代東京人の原風景とでもいうべきものがそこにある」。26.2cm×19cm、160頁。


ル・コルビュジェ作品集
スタモ・パパダキ編/美術出版社/1957年初版
品切れ中
Condition; 函欠け、表紙少破れ

スタモ・パパダキ編で1948年にフランスで出版されたものの邦訳で、当時としては、日本においてのコルビジェ紹介の粋だった本。巨人コルビュジェの多面的な相貌を的確にとらえた好書です。24.5p×18.8p、132頁。→more 


知られざるル・コルビュジェ展
東京国際美術館/大成建設/1991年
品切れ中
Condition;並

20世紀建築の先駆者コルビュジェの、画家としての一面を紹介した展覧会のカタログ。生誕100年の1987年にスイス・ローザンヌ美術館が初めて公開したもので、大成建設が所有することになった素描・水彩・コラージュなどを紹介しています。25.1p×24p。→more 


フランク・ロイド・ライトと日本展
財団シーボルト・カウンシル/1997年
price;¥2,500
Condition;良

伊勢丹美術館などで開催された展覧会のカタログ。アメリカの世界的建築家フランク・ロイド・ライトは、大正時代に来日し、「帝国ホテル」や自由学園の「明日館」などの設計・建築に携わりました。また、日本美術に深い関心を持ち、鑑識のある蒐集家でもありました。多数の帝国ホテルの設計図や建築写真やライトの代表的な建築とともに、彼が生涯をかけて収集した”幻の日本美術コレクション”が掲載されています。個人的に残念に思うのは、「帝国ホテル」に関しては豊富な図版により紹介されていますが、ライトが日本で建築した「明日館」や「ヨドコウ迎賓館」、その他にもあまり知られていない作品がいくつかあり、それらも紹介してほしかった。29.7cm×22.4cm、167頁。


50FAVORITE ROOMS BY FRANK LLOYD WRIGHT
Dian Maddex/smithmark publishers/1998年
品切れ中
Condition;良

テキスト英文。20世紀の最も偉大な建築家の1人フランク・ロイド・ライトが設計した建築物の内部写真集。個人の邸宅を中心に50の作品が紹介されています。リビングルームやスタジオ、ダイニングルーム、ライブラリのほか、彼の名を知らしめたグッゲンハイム美術館やジョンソンワックス社ビルなどの内装も紹介されています。ちょっと装飾過剰とも思えるライトの「有機建築」は、やっぱり人間の温もりを感じさせ居心地よさそう、と思わせてくれる一冊。28.5cm×26.7cm、128頁。


ワルタア・グロピウス
ワルターグロピウスほか/美術出版社/昭和29年初版
品切れ中
Condition;函付き(少ヤケ)、本文は良

1950年に復活再刊した「国際建築」に、国際建築家選第1集としてグロピウスを特集、本書は、それを改訂増補して一冊の本にまとめたもの。目次から−蔵田周忠「グロピウス素描」、 野生司義章「ヨーロッパ時代のグロピウス」、グロピウス「『全体劇場』の構想」「ハーバード大学における建築」 、野生司義章「アメリカのグロピウス」などなど。興味深いのは、いまや押しも押されぬ大建築家のI.M.ペイの若かりしころにグロピウスから指導を受けて成った華東大学案が掲載されていること。そういえばグロピウスは学校建築の嚆矢ともいえる「バウハウス」を設計した当人ですものね。24.8cm×18.6cm、119頁。


建築写真類聚 商店建築 巻二
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正13年
品切れ
Condition;図版2枚欠

大正4年から昭和18年にかけて刊行した「建築写真類聚」。この号では震災前の商店建築写真50枚(この本では2枚欠)が紹介されています。83枚〜100枚まではドイツの表現派的な商店建築が紹介されていて貴重です。なお、この「建築写真類聚」シリーズは一頁一頁が取り外し可能になっているため、落丁していることが多いようです。19.1×13.3cm。


建築写真類聚 文化住宅の家具 巻一
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正15年
品切れ中
Condition;良

本集では、居間の家具一式を公募して寄せられたものから、文化生活に適したものを編集したもの。ですので写真集ではなく、家具を配した内装概観及び家具デザイン図集です。一等に当選した佐藤静雄氏の作品は新しいスタイルを採りいれて考案したとありますが、ちょっと住み心地悪そう。私個人の見解ですが、二等の加藤正長氏のものが適度に雑然としていてかえって落ち着きそうです。19.1×13.3cm。


建築写真類聚 理想の台所
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正14年
品切れ
Condition;良

こちらも公募して寄せられた理想的な台所の図案集。平面図と家具、料理出し口から調味料入れまで細かく配置を考えた案が掲載されています。19cm×13.2cm。

 


建築写真類聚 寝室及化粧室 巻一
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正10年
品切れ
Condition;良

こちらはおそらく欧州と思われる寝室と化粧室の写真集50図が掲載されています。こういった洋風の寝室が当時の理想だったのでしょう。19.1cm×13.1cm。


建築写真類聚 寝室及化粧室 巻二
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正11年
品切れ
Condition;良

巻一に続いて、欧州の寝室と化粧室の写真50図が掲載されています。19.1cm×13.1cm。


建築写真類聚 家具 巻一
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正15年
品切れ
Condition;良

こちらもおそらく欧州のものと思われる家具の写真が50図掲載されています。デザイン的にも面白いものが多く、分離派的傾向のものやアールデコ様式のものなど、かなり興味深いです。ただ、これらの製作者などが記されていないのが残念。19.1cm×13.1cm。


建築写真類聚 家具 巻二
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正15年
品切れ
Condition;良

家具巻一の続きの50図が掲載されています。こちらは編者が意識していないと思いますが、はでやかな家具が多いように感じます。19.1cm×13.1cm。


建築写真類聚 家具 巻三
建築写真類聚刊行会/洪洋社/大正13年
品切れ
Condition;良

この「家具巻三」には刊行趣旨が載っています。それによると独仏米の最近のものから集め、巻中表現趣味のものは各国最近の傾向で清新淡雅、なるべく邦人向けに選んだ、とあります。なるほどこちらは表現主義的なものが多いように感じます。50図掲載。19.1cm×13.1cm。


参千円以下で出来る趣味の住宅
納谷松蔵/鈴木書店/大正14年12月第10版
price;¥1,800
Condition;経年傷み、函欠け

大東京市の人口の急激な増加にともない、住宅の不足が重大な問題になっていたこの時代。そういった要求にこたえるべく編纂された本書は、時代の要求に適合する理想の住宅を容易に得られるよう参千円以下で建てられる住宅案を、平面図などを多用して紹介しています。22p×15p。


MADORI 間取り 日本人とすまい6
朝倉摂、島田雅彦ほか/リビングデザインセンター/2001年初版
品切れ中
Condition;良

リビングデザインセンターでおこなわれた「間取り」の展覧会のカタログ。1994年にオープンしたリビングデザインセンターOZONEは、当初からの企画だった「日本人とすまい」のシリーズ展を展開、この『間取り』は、第六回目のもの。日本のすまいの変換を、ただ建築学的にふりかえるだけでなく、文学的、民俗学的な要素も取り入れて、紹介しているなかなか面白い本。たとえば「ナオミと暮した『痴人の愛』に見る文化住宅」などのコラムなど。“文化住宅”“朝日住宅”“同潤会アパート”などの写真も満載。25.7p×18.3p、152頁。