恋する20年代

蒼ざめた月

華やかな都市生活のかたすみで、20年代の深層を見つめた人たち

水の面に書きて
堀口大学/ 籾山書店/大正10年初版
品切れ
Condition;良、函付(紺紙白銀刷り版画アリ)、蔵書印アリ

この詩集は、堀口の詩作の第一期を代表するものの一つ。 当時リオデジャネイロに住んでいた堀口大学は、フランスにいた長谷川潔へ装丁と装画を依頼しました。外函には水面に浮かぶ白鳥とその影を表した紺紙白銀刷りの版画、表紙は裸婦の立像と果物を入れた籠の図、裏表紙には表紙の背景と通じる装飾模様、扉には帽子と果物、その対向ページには翼を広げた鳥、巻末には雲・鳥・花を組み合わせた木口木版がそれぞれ挿入されています。19.5cm×14,1cm、164頁。→more


里見勝蔵画集
里見勝蔵・外山卯三郎編集/建設社/昭和5年
品切れ
Condition;傷み、カバー背破れ、蔵書印アリ

カラー図版4枚、モノクロ図版24枚、その他デッザンあり。里見勝蔵論では、外山卯三郎「里見勝蔵論」、宮坂勝「僕の見る里見勝蔵君」、川口軌外「ムッシュー・サトミ」、三岸好太郎「里見の肖像画」、小島善三郎「APSANT」、林武「里見勝蔵」が掲載されています。 24.3cm×18.7cm。


生誕100年 安井仲治 写真のすべて
渋谷区立松涛美術館/共同通信社/2004年
品切れ
Condition;良

松涛美術館で開催された安井仲治の初の本格的な展覧会のカタログ。時代の深層を洞察し、生の不条理にまで切り込んで写真表現にすべてを捧げ、38歳の若さで病に没した安井の全貌を伝えるカタログです。29p×22.5p、321頁。→more


安井仲治 モダニズムを駆けぬけた天才写真家
飯沢耕太郎、中島徳博/新潮社フォトミュゼ/1994年初版
品切れ中
condition:良

安井仲治の没年(1942年)に50部発行された遺作集をのぞいて、このフォトミュゼが、初の安井の主要作品集だったようです。20p×15p、103頁。


野島康三とその周辺
渋谷区立松涛美術館ほか/京都国立近代美術館ほか/1991年
品切れ中
Condition;並

松涛美術館で開催された、日本の近代写真の誕生と展開に重要な役割を果たしてきた野島康三の展覧会のカタログ。大正期の絵画主義写真時代の作品から、昭和初期の『光画』発刊後の「写真・女の顔20点」などの代表作が紹介されています。29.8p×21p、175頁。


谷中安規の夢 シネマとカフェと怪奇とまぼろし(再入荷)
渋谷区立松涛美術館/2003年
品切れ中
Condition;良

2003年に松濤美術館で開催され、話題を呼んだ展覧会のカタログ。「夢を食い、夢を吸う」と言われたその作品は、谷中でなければ創造できない異様なもので、神話的・仏教的な世界も表現しながら、モダニズムの香りを放つことも忘れていません。彼の奇行も有名で、1927年には榎本憲阿の妹に失恋して寺の本堂で踊り狂ったり、永瀬義郎の家にたびたび現れてはダンスを披露したりして、「踊る版画家」とも言われています。このカタログでは、そうした彼の創造した世界を余すところなく紹介していると言っていいと思います。25.5cm×18.2cm、284頁+谷中安規文集84頁。→more


シュールレアリスムの世界展 フランス芸術誌『ミノトール』の作家たち
毎日新聞社/1982年
price;¥1,500
Condition;ヤケ、シミあり

日本橋三越などで開催された展覧会のカタログ。シュールレアリスム勃興期に刊行された『ミノトール』に集まった34作家の作品を紹介。24p×25p。


幻想文学24 夢みる20年代―永遠少年と絶対少女
矢川澄子ほか/幻想文学会出版局/1988年
price;¥2,000
Condition;良

シリーズ「日本幻想文学誌」の第三弾。大正から昭和初期にかけてのメルヘンとファンタジーを特集しています。タルホや賢治らの「永遠少年」、吉屋信子らの「絶対少女」。微熱が出そうなほどのハイカラな時代が誌面に溢れています。私が個人的に興味がある村山籌子(村山知義夫人)が紹介されているのも、うれしい。21cm×14.8cm、207頁。


魔術的芸術
アンドレ・ブルトン/河出書房新社/2003年
品切れ中
Condition;良

20世紀最大のカルト本「魔術的芸術」を完訳して、97年に出版されたものの普及版。いささか、“うさんくささ”がただようカルト本と思って読み出すと、とんでもない壮大な本だと気づき圧倒されてしまいます。先史時代から現代までの美術史を、徹底的に踏査しなおして、一大シュルレアリスム芸術史にしてしまっているのですから。収録されているたくさんの図版にも驚嘆。22p×17.4p、270頁。


ユリイカ 総特集・ダダ・シュルレアリスム
巖谷國士編/青土社/1981年
品切れ
Condition;ヤケ激しい

「共通の基盤をもってはいるにせよ、ダダとシュルレアリスムは別物であり、しばしば感動的な交叉点をつくったと考えるべきである」(巖谷國士の解説より)。22cm×14.2cm、422頁。


大正生命主義と現代
鈴木貞美、中村雄二郎、山折哲雄ほか/河出書房新社/1995年初版
price;¥2,000
Condition; 並、背少汚れ

これまで「生命の神秘」とされてきた領域に、科学技術が関与しうるようになった現代、かつて『生命』が重要な概念として提示されていた時代がありました。この本では、それを「大正生命主義」の時代として、さまざまな執筆陣が論考を寄せています。中村雄二郎「大正生命主義研究のいま」、山折哲雄「大正期の宗教と生命観」、稲垣直樹「『近代スピリチュアリズム』の受容」、関井光男「性愛と生命のエクリチュール」、正木晃「大正生命主義と仏教」、などなど。


精神科学 人間奇話全集
文化普及科学会/共益社出版部/大正13年初版
品切れ中
Condition;良、函付き

この本から下は、上に紹介の本とは、ちょっとおもむきが変っていることを、おことわりしておきます。さて、本書は、「精神科学」と銘打ちながら、また、「文化普及科学会・編集」などと、やたらと“科学”にこだわりながらも、内容は、科学的とは思えないものです。しかし、相当の努力と執念がなければ、これだけの実話蒐集や研究考察は、できなかったでしょう。この「〜科学会」の方々は、ちょっと常人とは違った能力があって、それを世間一般の人々も、同じように能力を持っていると、錯覚していると思われる記述が、多々見られます。たとえば、「昼間どうしても解けなかった数学の問題を、夜眠ってから夢の中で見事に解くということは、学生時代に我々の往々経験するところである」、とありますが、こんなこと“往々経験する”ことではない。また、「自殺の心理」の項目では、“どんな人が自殺をするのか”に対して「詰まらぬ者が自殺する」と言い切ってしまっている。「心霊現象の研究」が詳細に論じられていると思えば、「使用人採用心理」などという項目もあり、とにかく畏れ入ってしまう大著です。19.3cm×12.5cm、933頁。


心霊現象研究
有馬純清/警醒社書店/大正13年
品切れ中
Condition;函欠け

著者は、心霊学の研究に長い年月をかけ、オリバー・ロッジらの探究のあとを訪ね、さらに交霊会などにも参加して、心霊現象を見聞きし、死後の世界を確信するに至ったそうです。この本には、霊の顔や手足が現れたり、空中から声が聞こえたり、テーブルが動いたり、浮遊したり、といった心霊現象が多数紹介されていますが、これらはすべて、厳格な試験によって、事実が明らかになっているものなのだそうです。なかには、有名文士らの体験談も載っていて、「小山内薫の見たる幽霊」なども記されています。18.8cm×12.5cm、494頁。


現代之心理学
速水滉/不老閣書房/大正13年20版
price;\2,300
Condition;良、函付き

当時の心理学全般について、一般の人々にも分かりやすく説明した本。といってもかなり専門的なことも書かれているようです。人間の心理研究には、大きく分けて「構成的心理学」と「機能的心理学」と「行動中心説」があるというところからはじまり、「変態心理学」、「動物心理学」、「児童心理学」、「個人的心理学」、などを論じています。22cm×15cm、408頁。


変態心理と犯罪 近代犯罪科学全集4
中村古峽/武峽社/昭和5年
price;\2,300
Condition;函ナシ

「変態心理」という言葉から、今日の人々が持つイメージと、この時代とでは、だいぶ異なっていたようです。 このころでは、精神病、またはそれに近い症状、さらに心霊現象などを言っていた模様。本書では、二重人格や憑霊現象、モルヒネ中毒者などのいわゆる変態心理の科学的解説。さらに催眠術についてや宗教妄想者など。そして、それらと犯罪の結びつきを、実話を元に論考しています。19.4cm×12.8cm、505頁。


信仰生活の諸現象
栗山信次郎/日本精神学会/大正12年初版
品切れ
Condition;図書館蔵書票アリ

「宗教家の宗教論には飽き飽きした」という“はしがき”から始まり、信仰現象が、実際生活に及ぼす意義を解こうとした書。著者は、いずれの宗教にも属していないらしく、それだからこそ各宗教の「種々の矛盾」を明らかにできるとして、本書を記したとあります。雑誌『変態心理』に掲載されていたものに、修正を加えたものらしいです。19p×12.8p、366頁。


運命判断 手相の神秘
永島眞雄/実業之日本社/1928年10版
品切れ
Condition;良

手相の原則をさまざまな実例を挙げて、わかりやすく述べている本。面白いのは、高橋是清、菊池寛、大倉喜八郎、粟島澄子などの“掌”が写真で掲載されていて、それぞれの手相を著者が解説していること。思わず自分の手を見て比べてしまいます。菊池寛が「序に代えて」を寄せています。17.8p×11p、169頁。