いろんな事情

<病気事情>


<病気事情・ミルのカルテから>
これは、飼育本や、専門的なことよりも、ミルが実際に患った事による経験からのお話を書こうと思います。
発症の発見から、治療の経過を追っての報告です。お陰様で、ミルは大きな病気もなくすくすく育ってくれました。
そして、飼い主に教えるかのように、病気とは言えない小さな事で、悩ませてくれます。
だからこそ、これは、
「元気な我が子」と、暮らしている方に、是非読んでいただけたらと思います。


ミルのカルテ5: 悪性腫瘍


あの元気なミルが、このような病名を貰うとは、想像だにしていませんでした。
長生きすればいろいろあるとわかっていても、大往生の老衰で眠るように逝くと信じて疑っていませんでした。
でも、これが現実です。
受け止めるも止めないも、事実は変わってくれません。私はミルのため自分のために、出来ることを精一杯するだけです。。。
たとえ病に犯されたとしても、苦しまず眠るように逝ける穏やかな暮らしをしてほしい・・・・
うさぎはいつも耐えていて、私はうさぎじゃないから、わからない。
ホントはどれほど苦しくて痛いのか・・・・
それでも出来ることを精一杯、きっとミルは穏やかだと思える方向に向かうしかありません。。。。




まず・・

よろしければ
ミルのカルテ4:骨折 をご覧下さい。非常に長いので最終章運命の選択だけでも見ていただくと経緯がわかります(笑)


悪性腫瘍です・・・

ミルの足はガンだった。ガンが骨を侵してた。いったい私はどうすればいい?ミルちゃん、どうして欲しい???
道は二つにひとつ。
このままガンと心中するか・・・
それとも断脚するか・・・

病理の結果を貰いに行くに当たって、自分の中で方針を決めておかなければならない。
もう決断を先延ばしにしていてもいいことはない。とにかく決めて行かなくちゃ・・

ひとつ このままガンと心中しよう!
もしもこの道を選んだら、マズイお薬なんか使わないんだ。美味しい痛み止めや美味しいお腹の薬。美味しいサプリを楽しく選ぼう!!
もしもこの道を選んだら、もう病院へ行く必要はない。
私が薬を取りに行くだけでいい。キャリーに揺られなくていいんだよ。
寿命の長さなんてどーでもいい!!生きているその全ての時間が、ミルにとって少しでも穏やかならば・・・・
いずれにしても最後には、体中侵されて逝く関門を避けられないのだから、それまでは少しでも美味しく少しでも穏やかな気持ちで過ごして欲しい。
もしもこの道を選んだら、もう抵抗するようなコトは何もしない。
眠ったら起きなかった・・・ そんな静かな時間のゆりかごに乗せよう・・
ミルが頑張らなくていい暮らしを作ってあげたい。あの腫瘍以外のことは。。。。。
人で言うところのポスピスだね・・・・・・・・・・・・・・・・・
すでに、めいっぱい耐えているんだモン。ミルは我慢強い子だよね、昔から・・・・


ひとつ 断脚しよう!
もしもこの道を選んだら・・・選んだら???
骨折で最終的に断脚を決意するため、迷いを断ち切るために求めた見解は、実はガンだった。。。。
断脚を覚悟したはずだったのに、もう覚悟できない。。。。
転移巣は今のところ見あたらないと言われたけれど、動物レベルのチェックしかできない。あの足・・遅れた診断・・
すでに骨が融解している。悪性細胞が、血中・リンパの旅をしていないわけがない・・・・
それに、残された右足の負担はきっと耐えられない。右足が悲鳴を上げたら、もうミルは歩けない・・・
ただ・・・・

ひとつだけ心配なことは・・・
もし、ミルが頑張ってくれて、私と少しでも長く一緒にいてくれて、そんな親孝行をしてくれて、この左足の腫瘍が外に暴れ出したら・・・・
癌性侵出液や感染による悪臭、常に湿潤した状態から今以上にツライ処置をしなければならない・・・
それがどんな状況か、私には容易に想像することが出来る。
そんな日が来たら、私はきっと思うだろう「誰に言われなくたって、この足私が切ってあげる!!」と・・・・・


可能な限りの余後のイメージをしてみた。。。
このまま静かに逝く瞬間と、足の腫瘍が破綻してくるのとどちらが早いのか・・遅いのか・・
転移の苦しみが終わる時間と、足の腫瘍が暴れる時間とどちらが早いのか・・遅いのか・・
そして、私の心はホスピスの道を選びつつあった。
どちらがミルにとって少しでも楽な道だろう・・・と考え続ければ続けるほどに
もう、何もしないよ、それがいいよね・・・と思った。。。。




09/10/19(月) 証明
先日電話で病理の結果を伺いました。が・・・
その事実を頂きに、再び病院へ行きました。
もちろん、どうするのか決めて行かなければならないことはわかっていました。
診察室で結果を聞いて、また時間を下さいじゃ、いつまで経っても先へは進まない・・・・
心は、決めて来ました。ホスピスへの道。。。。。。。
病理の証明書を貰って、当面必要であろうお薬を出せるだけ出して貰って、頭を下げて帰ってこよう。
ミルをどれだけ連れ回しただろう。今日で終わりにしよう・・・

そして、最後の診察室のつもりで、中に入りました。

とにかく、私の決断のために長い時間を割いていただいたことに感謝いたします。
そして、全ての経過と結果を含め私の決断を導いてくれたことに感謝いたします。

断脚した方が、確実に安楽な日常が戻るということを理解させて頂いたことに深く感謝いたします。
ミルの足は・・切り取ることに決めました。癌よサヨナラです・・また会う日まで・・・



伝えたいこと・・・・・


ここで、どうしても書いておきたいことがあります。それは、なぜ私が断脚の道を選択したのか・・です。
それは、別に反対する人への言い訳をしたいわけではありません。
初めて断脚を示唆されたときから、それはいったいどのようなリスクを背負うのか、それに見合う結果が出ているのか、ナゼそれしか道がないのか、毎晩検索しまくりました。

発見できた情報は、数年前のHPやブログで、決まって「今後の誰かの役に立つのなら・・」と残されたモノでした。
情報量は非常に少なく、古い掲示板の一行ですら可能な限り読みました。ネコでも犬でも読みました。
私の知りたい情報は、断脚しても元気で長生き・・・の症例。けれどもそれはゼロでした。。。。
私も誰かのどこかのうさぎさんの役に少しでも立つのなら、悩む飼い主さんへケースバイミルとして残しておきたいのです。
すでに、月にいる知らないうさぎさんが残してくれたように・・・

うさぎの骨折・悪性腫瘍・断脚の選択のために

断脚と言われてショックなのは、やはり足が無くなってしまうと言う物理的客観的変化が何より大きいと思います。
それをすれば治るのに・・と言う明るい未来にはすでに盲目です。
ネットの中の獣医師も、出会った獣医師も「動物は3本足でも不自由なく暮らす」と言いました。
私は、ミルの執刀医となる獣医師とこの話をじっくりしました。なんと言っても、心はホスピスの道を選んでいたわけですから。
しかも、ミルは、断脚したからと言って、治るとは限らない・・・・
そして、私の目的はただ一つ。ミルがより安楽な暮らしです。。。

動物は断脚しても不自由ではないのですか?
「ぜんぜん」「まったく」と、断言する返事。うさぎになったことあるのかってツッコミたくなる位、へーぜんと答えました(^^;;
人間に重ねてはいけません。基本4足動物は、3本になっても器用にきちんと生きていけます。
動物は生きることが必死で、そんな手足が何本なんて、気にしないんだろうな〜・・と、何となく洗脳されていく私。。
けれども、意志は全く傾きません。
9歳という高齢で、この先、まだ麻酔をかけられ足を切られ、片足生活を強いられ転移に苦しみ・・・・ 断脚など考えられません。

このまま行けば、その足はさらにヒドイ状態になるかも知れないですよ。

ミルが頑張って生きれば生きるほどその状況も全て覚悟の上。
私が切ってやる!と思う頃にはもう手術に耐える体ではなくなっているでしょう・・


そこまでわかっているのならナゼ・・・・

・・・・・・・・・・・


前途したように、断脚した長寿うさぎさんの情報は見ることが出来ませんでした。どの子も数ヶ月で逝きました。
私は、断脚したらそれなり長生きしてくれなきゃ意味ナイ。数ヶ月しか生きられないのなら、しなくてもたいしてかわりはない。
そんなことなら、ツライ手術をして、さらなる試練を与えることなんて出来ない・・・
そう思っていました。けれど・・・


役に立たないモノ、いらないモノをぶら下げて歩く生活の意味はナンですか?
見た目揃っていた方がいいような気がするだけで、それがあることがどれほど負担だろうかとは思いませんか?
とは、厳しい逆襲(^^;;;;
事実、数日前からミルの足を見て思っていたことがある。左足が重そうだなと・・・・・・・
足はさらに膨れ上がり、もう痛くて着くこともできない状態だった。

悪性の足を持ち続ける理由はナゼですか?
断脚に躊躇する理由はナンですか?
麻酔ですか?

いいえ・・ 麻酔なら・・この子は耐えてくれると思います。
私が究極心配なのはただ一つ。残された右足です。。。すでに膿まで出ているのに・・・・・

それは、左足があってもなくても同じ。切っても切らなくても同じです。

えっ???

その先は、まるで体が浄化されていくようにわかっているようで理解できていなかったことに気づいていきました。

確かに、すでに右足は弱ってきている。このままでもダメになっていくのかも知れない。
断脚すれば、負担は倍増と思っていたけれど、あの重い足を一本持ち上げて歩く負担はそう変わらないのだろう。。。
どちらにしても、確かに同じなのかも知れない。。。。

先生は、「切らなくても同じ。切っても同じ。切ったせいで悪くなると言うことはない」と、断言されました。
今すでに、右足の裏は毛が抜けて膿もたまっている状態ですが「それはこのままでも変わらない」それより、軽くなってひょこたん走ってくれる方がずっと嬉しい、と言いました。

いろいろ話した最後に、ひとつだけもう一度と確認させていただいたこと。

もしも、断脚をすると、コトある事に「切ったせいだ」「こんなコトなら」と思ってしまいます。
たとえば、再発すればこんなコトならと思うし、右足が酷くなったり、他の合併症が出たりすれば、そのたびに「切ったからだ」と自分を責めます。
けれど、確実に、歩くのは楽だったんですね?
このまま引きずるより楽なんですね?と。

先生は大きくうなずきました。だから、
あの断脚したうさぎたちも、たった数ヶ月しか生きなくて「こんなコトなら」と思っていたけれど、
その数ヶ月は病気から解放されて軽やかだったんだと思ったら、とても意味のある時間だと思えるようになりました。

もしも、ミルが一日でも歩けたら、痛みもだるさも重さもなくなってよかったね。。と思っていただけたら嬉しいです。

私がこの決断をした後で、癌にまで冒され、足まで切られ、かわいそうに・・ナンでそこまで・・・
と言われることが、何より何より辛かった!!けれど私は教えて貰いました。そして確かにそうだと理解しました。
見た目気の毒がるのは、皆人間です。
邪魔なモノがあろうが無かろうが、日々生きるのに必死なのが動物です。ない方が楽です。。。。。。
手術というモノを受け入れられるのなら。




すでにたくさん戦った。緑が一番ピンクが二番・・・・取れたときは唖然としたね・・(^^;;;
黄色もオレンジも可愛かった(^^)
そして遂に両足になった。青い色は悲しかった。
もう充分頑張った。もうたくさんたくさん我慢した。えらかったね・・・
笑ってくれてありがと〜〜〜

I'm proud of you,love you so so so much!!!!!!!!!!!!




覚悟したこと・・・・・

「手術から帰ってこないこと」
「残された足が悲鳴を上げていくこと」
「すでに遠隔転移しているだろうこと」

どれもこれも覚悟しました。それでもこの足はない方がミルが楽だと思いました。
ナンの迷いも後悔もありません。
ミルには、頑張らなくていいよと伝えました。
もうイヤだと思ったら、そのまま眠ってしまってもいいんだよと教えました。
もしも目覚めたら、傷が癒えるまでは頑張ろうね。そしたらあれれ?痛いあんよがどこにもない。嬉しいなって思うから。


覚悟できないこと・・・・

先生へ手紙を書きました。
落とした左足がまた化膿したり再発したりする様なことだけは覚悟できません。それでは落とす意味がないからです。。。。
無事麻酔から覚めたら、傷が治るまでは痛みと戦います。
その後は、無くなってしまったバランスを調整するストレスと闘います。
右足も頑張ります。
だから、無くした左側はもうなにも苦しみをもたらさないように、よろしくお願いいたします。それが切なる願いです。


ミルの体から離すことを決めた左足。包帯の下の醜い悪魔です。理解ある方だけどうぞ→こちら




09/10/27 (火) 手術
私の仕事の都合で、ミルは前日に預けることになりました。
まる一日冷え込みが強く台風でヒドイ雨風だったのに、夜、ミルを連れていく時間だけ雨がやみました。

「足は大腿から落とします」
私は「はい」とうなずきました。私が願っていた結果でした。ミルとの別れはあっさりしたモノでした。

当日も仕事でしたが、走って走って手術時間に間に合うように走りました。
眠るまでは側にいてあげたいという願いを叶えてくれました。
頑張らなくていいんだからね・・でも・・

帰っておいでね・・・・・・・

やることもなく、病院で手術が終わるのを待ちました。
                                台風一過の素敵な青空・・・・
                             

呼ばれて、ミルを蝕んだ足を見せて貰いました。これもお願いしていたことでした。
手術日を決めてから、今日まで、毎日泣いていたのに、
これで軽くなったと思うと、ミルも私も少しほほえんだ顔になっていると思いました。嬉しかった。。。。
まさか、落とされた足を見て、こんな心境になるとは思いませんでした。

おかえりミル

そして、もう一つお願いしました。
「落とした足の爪を切らせて下さい」
ミルが入院する前に、ミルの爪切りをしました。でも、この足は切れなかった。
むこうに行って、足が揃って、またぴょんぴょん跳ねるときに、この足だけ爪が長かったら気になるだろうなと思って・・
ちゃんと4本切ったけれど、一個落としちゃった。まいっか(^^;;;

                             

右足の裏の膿も切って排膿して貰いました。
頸の後ろの腫瘤も摘出して貰いました。
そんなわけで、ミルは今因幡の白ウサギ状態・・・・・(^^;;;;;
けれど、がまの穂綿が欲しいと毎日毎日願っていた左の足はもう無くなりました。
ミルは、ホントに軽くなっただろうなぁと思いました。。。。。。。
神様、ミルを帰してくれてありがとう・・・  きっと山を越えてみせる。。。


                                                       生還→




Introduction