いろんな事情

<病気事情>


ミルのカルテ5: 悪性腫瘍 生還



手術当日 09/10/27

二時間位すると麻酔からも覚めていると言われたので、暫く時間をおいてミルに会いに戻ってきました。術直後より傷口もうっすら血が滲んで悲壮感が表れていました。少し立ち上がろうという素振りにビックリしましたが、獣医さんからもう立ち上がったと聞かされさらに驚きました。
けれど、それ以上は何もする気力もなさそうで、うつろな目で横たわっていました。
よく帰ってきてくれたね・・・・・お疲れさま。。ありがとう・・・・

皮下補液をしていると教えて貰いましたが、何か食べなきゃこのまま衰弱しちゃう・・・
動物の生きる力は食への執着だからと、お腹をゆっくりマッサージしました。揺られて傷が痛いだろうか?と不安でしたが、腸蠕動が止まるのはもっと怖い・・うさぎの腹部停滞は、死と隣り合わせです。食べたい本能が残されていますように・・・(祈)
どのくらいただミルを見つめて同じコトをしていたでしょうか・・・
牧草をはむっと噛んでは止まり・・モグっとしては止まり・・ホンの5cmくらいを数分かけて食べました。。。。
食べたことを先生も一緒に喜んでくれました。忙しいのに殆ど一緒にいてくれて心強く嬉しかった。何かしらボソッと話したことも、なんだか気持ちが落ち着きました。
きっとこの光景は生涯身体に染みつくような気がしました。。。。。
うさぎって、泣くんですね。。。。。。。叫ぶように・・・・・
ミルがわずか数cmでも牧草を食べたことを見届けて、病院を後にした。
ここは駅まで少し遠い。そのお陰で駅に着くまでに涙を拭ききれる。なんだかそれが日課のように、いつもいつも下を向いて歩いていました。
今日はうれし涙・・・
帰ってきた帰ってきた!
絶対傷が癒えてミルが楽ちんに跳ねるまで回復させてあげなくちゃ!
よかったね、よかったよ、うれしいね、うれしいよと一日でも思えるように・・・・・

涙は出るけど、空を見上げた。上を向いて歩こう!!


術後一日目 09/10/28

今日は、ミルの顔を見るなりビックリさせられました。
立ち上がろうとするんだよ。持ってったリンゴを食べに来ようとするんだよ(涙)
いーよ寝てなよ、いーよムリすんなって・・・・・・(TOT)
けれども、様子は昨日よりさらにヒドイ有様だった(^^;; 当然だよね。。。。。。
私はまた静かにお腹をさすり始めた。その眼に覇気がない・・ヤバイ、正念場だと思いました。
私が到着時に見せた力が、まるで振り絞った最後であるかのように・・

先生は、「便が軟らかいんだよね。ここ二日くらいは山だから」と仰いました。

私はうなずきました。山は越えよう。それしかないもの。
時間が許す限りは、ずっとこうしていたいけれど、病院はそういうわけにはいきそうもありません。
でも食べるのを見届けるまでは、どんな風に思われても帰るわけにはいかない。。。。
術後の体重は・・と聞いてみました。ミルの尊い足の重みは・・・・
けれども、ここは体重を計っていませんでした。

ミルがニンジン葉をわずかに食べるのを見届けて、病院を後にしました・・が・・・・

なんだかその日はすぐに電車に乗る気になれず、このまま帰って大丈夫なのかと不安で一杯になりました。
軟便・・・?下痢・・・・? 面会の時は、ケージをお掃除してくれるようで、ミルの糞は確認できていません。どんな形状でどのくらいの量なのか・・・ 軟便・・・ 私はこのまま帰って後悔しないのか?
気づいたら、踵を返して再び病院へ行っていました。
先生・・大丈夫でしょうか・・・・
聞かれた先生も困惑したと思います。
ただ、「なんとなくこの時しか食べていないような気がして・・・」と言ったときに先生がした表情で「やっぱり・・」と思いました。
けれど、私自身、何が大丈夫と聞いているんだと、自分に腹が立つ気分でした。
どんな返事を期待するわけでもない。大丈夫でないのはわかっている。それでも、何かを言って欲しくて・・・

そして明日が休診で面会もできないと知りました。ショック!!!!!!

よろしくお願いいたしますと、心から心からお願いするしかできません。山を登り切れるかの境目なのに・・・・・・・・・


術後二日目 09/10/29

今日は面会にも行けずなんて無駄な一日なんだ・・・・と思わず・・
ミルがいつ帰ってきてもいいようにうさぎ部屋を作らねば・・・・

介護も長引けば長引くほどに、気力体力経済力がモノを言います。
ビワの葉は保存用に乾燥させます。ティッシュと紙オムツはビュンビュン無くなっていきます。使用済みの紙オムツも、汚染されていないモノは干してみました(笑)
もともとミルはケージ以外でトイレをしないとてもいい子でしたが、さすがに病気となればそれはムリ。どこでおしっこしてもいいけど、フローリングは守らねば。ソフトカーペットを敷き詰めその上に防水シートを敷きベットパットを置き・・・と思案中・・・
ケージの床材は、バスマットに変えてアサヒペンから出ているラバーマット2種ゲット。
実際乗り比べてみました。 肌触りはどれも同じように優しいですが、体重を感じるのは
すべりどめマット>スタイリッシュマット>バスマットの順で厚さに比例。やっぱり、バスマットが一番いいのかも知れません。スタイリッシュマットも、2kg前後のうさぎなら、充分重さを吸収してくれるような気がします。すべりどめマットは、床材としてはちょとモノ足りません。
病院で、ミルが立ち上がろうとしたときに滑って踏ん張れなかったので、すべりどめを持っていって見ようかなと、トイレ用の穴を開けて準備しました。ラバーマットはどちらも穴を開けやすいので、バスマットより飼い主はものすご〜く楽になると思います。


術後三日目 09/10/30

夕方ミルに会いに行く電車の中・・・
ふと携帯を見ると、病院からの着信履歴に気づきました。えっ???

な、なに?
そのまま怖くて考えることをやめなければと必死でした。もう、私は病院へ向かっている。もうこれ以上急げない・・・・
まさかまさか・・ こんな人混みの中で、考えるのをやめなければ・・・・・・・・ やめなければ・・・・

電車を降りて走って走って・・・ でも病院の看板が見えたところで足が止まりました。ミルのいる部屋を見上げて、暫く玄関に入ることは出来ませんでした。。。

受付をしてもなかなか呼んでもらえません。勝手にミルのところへ飛んでいってそしてもうふたりっきりにして欲しい。。。
じらされてやっと呼ばれた方向は、いつものミルのお部屋とは反対側・・・なぜ・・?
開かれた扉のむこうに、タオルの上で横たわるミルと、その頭を支えている先生と・・ ドアに立つスタッフの方が、まるで絵のようで・・ 不思議だけれど、その部屋の明かりがまるで違う世界にいるミルを包む厳かな光のようでした。
その中に、私は入れるの??? なんだか不思議な気分でした。もう息が止まりそうでした。
全身が重くて・・・ 逝っちゃうって・・・・・こんなモンなの??

足は意識して出さないと進みませんでした。
ただ・・
一歩一歩近づくと・・・



ミルの白いハートのお鼻がぴくぴくしている・・・・ してるよね? 生きているんだ・・・・・



それを見届けても、向こうへ逝きかけているだろう苦しいお話が待っているとしか思えませんでした。
どんな言葉で私に告げてくるのだろうと覚悟をする前に、もう一緒に逝きたい・・そんな気分でした。
こんなチビっこいうさぎが私も連れてってと思わせるなんて、そのデカイ存在にもう潰されそうでした。


先生の・・口がゆっくり開いて・・・



帰ってもいいですよ




って・・・・
そんなに悪いの????




だいぶ食べるようになったし、もう退院していいですよ(^^)






あぁ

ああああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!(TOT)  
あーあーあーあーあー〜〜〜〜〜〜!!!!

あ〜あ〜あ〜あ〜〜〜〜!

よかっっっっっったぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

だってだって、そりゃ思うでしょ(TOT)怖くて怖くて、電話なんて出来なかったもん!
あーあーあーあーあーあーあーあーあーあー よぉかぁっっっったぁよぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!



ってことで、今夜はミルちんと一緒に電車に乗るの(*^^*)むふふぅ〜〜ん♪
 




後悔したこと

電車の中で、携帯の着信を見たときに、ミルの最期を悟らずに何を想像できたでしょうか・・・

一昨日の、あの状況です。そして昨日は休診日。もっと重症な子もいるかも知れない。。。
他の動物達に混じって、ミルだけが特別看護をされてるとは思いません。
病院には安心もあるけど限界もある。
きっと、もう、ミルだけの力では及ばなかったんだ・・・
考えまいとしながらも、涙がどんどん溢れてきます。
そして・・
あぁ、ナゼ一言「頑張れ」と言わなかったんだろう・・・・ そう後悔しました。

ミルは帰ってきてくれた。わずかながらも食べる気力を見せてくれた。
頑張れと一言、大丈夫だよと一言、ミルの生きる力を信じて引っ張ってあげれば、きっと山を越えたんだ!
なのに・・ ナゼ言ってあげなかったんだろう・・ そう後悔しました。
そうさせることがかわいそうで、言えなかった。この上頑張れなんて残酷すぎて。。。
残酷すぎて・・・・・

でも、生きるってコトは頑張るってコトなんです。。。
頑張らなくていいってコトは、死んでもいいってコトなんです。。
その通り、苦しかったら逝ってもいいんだよと覚悟していたけれど、
それは、科学の道に挑んだ時点で間違っていたような気がしました。
目覚めたときから、また生きることが始まったんだから・・
傷が癒えるまでは頑張ろうって思っていたのに・・・
なぜ、私ひとりだけで山を越えようとしていたのか・・・
なぜミルに一緒に頑張れと、一緒に越えようと、どうして言ってあげなかったのか・・・
そんな悔やむ気持ちを初めて味わいました。。。。
ミルは必死に戦って頑張っていた。だから頑張れって言って欲しかったんじゃないかと・・・

断脚手術に躊躇している私に、先生は言いました。
飼い主と獣医師が同じ方向を向いて心中の覚悟で飛び込まないと治せない、と・・・・
先生は、私とミルが決めた道を一緒に向いてくれている。
そして、それはホスピスではなく生きる道だったはず・・・


こうしてミルが今、私の手の中で小首を傾げて生きている。
きっと、先生だけが「頑張れ」とミルの方角を導いていたのかも知れません。
術後の経過を診つつ、そろそろ消化器のケアをしてもいい頃と、昨日は強制給仕をしてくれたそうです。
先生だけが頑張れとミルを引っ張ってくれたんだ。私は一度も言えなかった。。。。。
生還を一緒に喜んで頂いてありがとうございます。
「よく耐えてくれた」とは、最高の最高の褒め言葉でした。。。。。





ミルちゃんのおうちだよ。たくさんたくさん頑張ったね。えらかったね。すごいね!
すごい!すごい!ミルはすご〜い!
うれしくてうれしくて・・・
嬉しくってしかたない・・・・


応援して下さった全ての方へ感謝を込めて→3本足のミル




To be continued eternally............ the rest of mil's life

                       ←悪性腫瘍      New LIFE→





Introduction