いろんな事情

<病気事情>

ミルのカルテ1:臼歯の異常 〜健康な歯を持つ子へ

先日、斉藤ラビットクリニックの院長、斉藤先生によるROC(rabbit owners conference)に参加させていただきました。
そして「歯」について見直すいい機会を与えていただきました。これまでの経験を元に少しまとめてみたいと思います。


歯の異常は、先天性のモノが殆どだと思っていました。
ところが、これは〈まれ〉だという、ビックリ事実。
それじゃ、原因はナニ?つまり、環境が引き起こす疾病であると言うことになります。
うさぎの生活環境、食事内容、食べ癖、遊び癖、思わぬ事故など、常に可能性を秘めると言うことになります。

今、大丈夫なら、ずっと大丈夫?
そうではありません。歯の異常を認める好発年齢は、1歳と4歳がピークだそうです。
成長期の1歳児は、遺伝要素や、食事状況から生まれますが、4歳児は、高齢と共に、歯、歯肉が弱ってくることに因ります。
しかし、ここで、もっと驚いて欲しい!!!
なんと、8歳にして、初めて歯の異常、治療を要した症例があったのです!
統計上の数字は、「ウチの子」にとっての安全値にはなりません。
健康な子の歯が、異常を示す確率、生涯1/2であると私は思うのです。



危険因子をチェックしよう

切歯の異常に繋がる要素
*切歯:下顎2本 上顎4本(重歯目) 2mm/week伸長 上下の長さ1:1が正常

ケージを噛む ケージを噛んでも、すぐ近寄らない。構わない。餌をあげない。噛んでもいいことはひとつもないよ。と、分からせてあげましょう。
どうしても、噛み癖が治らない場合、噛めない工夫をします(内側に、板や、網を張るなど)
ケージそのものを、新しくする(なるべく違うタイプのケージを購入)記憶をリセットさせ、一からやり直し。
うさぎの遊び環境の中にも、同様なことがあれば、撤去、あるいは防御しましょう!
顔面強打 うさぎは、突然パニックを起こすこともあります。また、高いところから、うっかり落ちてしまう事故に遭遇する危険もあります。そして、床、壁に顔面を強打すると、うさぎの歯に、多大のダメージを被ることに・・・
万が一にも、このような事故にあってしまった場合、怪我の受傷箇所ばかりに目が行きがちですが、歯(口腔内)のチェック、経過観察を忘れずに。
先天異常(まれ) 切歯は、飼い主が毎日見ることが出来ます。
伸びてきてはいないか、かみ合わせはどうか、曲がっていないかなど、観察しましょう。
早期であれば、矯正(カット)で治る場合があります。条件は、若年齢であること、早期の内に発見されること、繰り返し治療すること、です。
切歯の、不正咬合による過長症は、2〜6週間隔で切断していく治療法が成されます。
しかし、歯随(神経)までもが一緒に伸びてくると、麻酔無しでの切断は不可能ですし、
その後の疼痛も想像を超え、遂に抜歯するに至ります。
とにかく予防!先天性がまれならば、後天性はゼロにしたいモノです(願)


臼歯の異常に繋がる要素
*臼歯:下顎10本 上顎12本 1mm/month伸長

臼歯は、飼い主がのぞき込んでチェックすることができません。
検診などで、病院を訪れた際、その都度状況を把握しておきましょう。
真っ平らな健康歯を持ち合わせている個体は少ないようで、少しナナメになっている子が多いようです。
臼歯を削る初期治療?の第一は、牧草です!!
先天異常(まれ)
小型品種は素因あり
小さいモノを好む日本人に合わせ、小型品種の改良が進んでいます。
小型(ネザドワ、ホーランドロップなど)のうさぎは、骨格をどんどん小さくしていくことで、体型を縮小しますが、骨格の縮小速度に、歯が追いつかないのだそうです。小さい口腔内に、大きな歯。当然歯列に問題が生じ、異常が発生します。
チェックポイント

*口をくちゃくちゃさせる
*急に食べなくなる
*食べにくそう
*急に痛がる、痛そう
*食べる量が減る
*涎が出る
*涎に血が混じる
臼歯の異常は、尖ってきた歯が、舌や顎を傷つけることにより、深刻になります。
自然に傷つけるよりも、何かの瞬間(歯を、食いしばったときなど)に、舌や顎に歯が刺さり、急に痛そうな表情をしたり、突然食べなくなったりします。
その変化を見落とさずに、迷うことなく病院へ。
臼歯の研磨、切断は、「痛くなったらやりましょう」だそうです(^^;;
あるいは、ミルのように麻酔無しでできるのであれば、危険回避の内にしていただきましょう。
臼歯の尖りは、まるで針のように鋭利で、あっという間に傷つけます。普段の、歯の状態を熟知していれば、経過を見ることなく、歯のせいだ、と、わかるでしょう。
飼い主ができること とにかく、乾草!牧草がおいしいと思える子になって欲しい・・・
固いフードは避ける
うさぎの歯は、歯肉にルーズに治まっています。
固いモノ、大きいモノを、臼歯でガリッと噛む圧力で、歯が思わぬ方向へ曲がったり、変形します。
ペレットは、砕いて食べるモノなので、固いほど大粒なほど影響があります。
また、固い野菜は、一口大に切るよりは、大きいモノを自分でショリショリ囓って口に入れる方がいいのでは・・?
あるいは、薄くスライスした方が歯に優しいのでは・・?工夫してみて下さいね。
歯根膿瘍 臼歯に異常が生じることで、問題になるのは、口腔内を傷つけ、痛みで食べられないこと。
原因を除去することで、一時的に回復します。放っておくと、涎が出続け、皮膚炎を形成したり、鼻涙管狭窄に至ります。早期に治療していただきましょう。
しかし、歯肉、歯随にまで問題が及び、膿瘍を形成してしまったら・・・
9割方完治は望めません(T.T)
食べられない状況も続きます。多剤の治療も必要です。外科的排膿も必須です。最悪、膿が全身に回るとショックを起こします。
健康なうちに、軽症なうちに、歯を守ってあげましょう。
とにかく予防!歯は、予防の医学です。

朗報? うさぎに虫歯はないそうです。よかったねー(^^) この上虫歯のめんどーまで診れません(^^;;
でもね。ペットになって、いろんなおやつが発売されたり、ニンゲンのお菓子を上げちゃったり、
間違った選択をしていく中で、いつかそんな日が来てしまうのでは?との懸念もあります。
でも、虫歯菌がなければ、大丈夫なのかな?(^^;;
のびのび育って欲しいけど、溢れる情報を上手に取り入れて、とにかく健康に、元気に暮らしていってほしいですね。
すべての意見は、表裏一体。知識を咀嚼してバランスをとってあげられるのは、飼い主です。
むずかしーよね〜 一生五体満足なんて(^^;;
でも、ニンゲンもうさぎも、それが生あるモノの願いです。


悲しいかな、牧草を食べれば大丈夫と言うわけではありません。しかし、予防の手だてがそれしかありません。
日頃、診察の度に、説教されてますが、これ以上、どーしろってか?(笑)
願うことは、今健康な歯を持つうさぎ達。一生その歯が、守られていきますように。
そして、今治療に耐えているうさぎ達。少しでも食べられて、少しでも苦痛なく、少しでも安楽な経過を辿りますように。

参考資料: 第15回ROC「歯の病気の治療と予防」講師;斉藤ラビットクリニック斉藤久美子院長 (03/06/28)
著書;臼歯の不正咬合(うさぎの本ペット新聞社) 著者;斉藤ラビットクリニック斉藤久美子院長


「歯」を学ぶ、お勧めサイト これを期に、健康な歯を持つうさぎの飼い主さんも、是非目を通してみて下さい。
うさぎの歯科疾患の処置 斉藤ラビットクリニック、斉藤先生による講演資料より
歯の病気の治療と予防 
ROCからの報告レポート by Yukkoさん
うさぎの不正咬合 
やなぎはら動物病院 画像つきでわかりやすい
Rapeti Hei 
うさぎと牧草のサイト。牧草の好きな子が増えますように
他にも、検索でうんざりするほど参考ページが探せます(^^;; 「個」に合った、良い情報が見つかりますように・・


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