原爆ドーム |
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あった。 立っていた。 ようやく たどり着いた やっと めぐり会えた 夕刻なのに せみが耳をつんざく いよいよ出会うというとき 勝手に胸は 高鳴った 今、目の前に現れて 全身 止まる。 息を 呑む。 ずっとここにいたんだよね 当たり前、というような顔をして 立っている まるで 年をとらない初老のよう ずっとずっと見つめていたい いや、見ていなくてはいけないような気持ち いつまでも眼の中に入れておきたい カメラの中では我慢ならない かたまった全身をほぐし 歩き出す 右手に川が あり たわわに水が 流れゆく やはり ドームを振り返る 背にしたくなくて 後ろ向きに歩いたりもする |
2005年8月5日 ヒメパセリ
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