いやはや、ここまで乾いた九月は初めてではないか?一週間前の雨と台風以外に雨がない。ここ数年は、九月の中旬から雨の多いことが多く、まわりの田んぼでは、八月下旬から稲刈りが始められるように作付けしている農家が多いが、もう中旬を越してしまうところだ。先週植えつけた葉ものがカラカラに乾いて瀕死の状態になってきたので、昨日から井戸水を出し始めた。今日は、葉ねぎやナスに井戸水を流して元気を促している。多湿が禁物のサツマイモですら、乾ききって芋を太らせるにいたっていない。この分だと、サツマイモに秋に水をやるというきわめて珍しい事態になりそうだ。
井戸水を出すということは、いろいろとそれに付随するこまごまとしたことを考え合わせなければならない。秋冬作の準備で、畑は耕してあるところが多い。そこへ井戸水がたっぷりしみ込むと、ある程度の日数はトラクターなどの機械が入れなくなる。たとえば、先週に植えつけた葉ものに井戸水を畝間潅水するとなると、下からの底面給水となるから、畝の上まで水がしみ込むほどの状態は、葉ものの畝だけならずに隣接畝にまで水が行き届くということになる。すなわち、隣接畝には機械を入れることができないことになるのである。すると、隣接畝にも作付けを終わらせてからでないと、井戸水を出すことが出来ない。ここが、大地という物理性の特徴の一つである。人間の得意とする、例えばコンクリートで区切るような、周囲との切り離しができる世界ではない。あくまで、すべてがつながった世界だ。そういう世界から決別した世界が、水耕栽培だといえるだろう。水を管理できるから合理的だと考える人も多いが、あれははっきり言えば工場だ。無菌室で育てられているようなレタスをいただいたことがあるが、その軟弱の極致といえる薄い葉っぱを見て、無菌の意味がよくわかった。葉が重なれば簡単に腐敗し始めること請け合いだから、菌があってはならないのだ。実際には、無菌ということはありえないが。
話が少しそれた。高温で雨がないということが、どれほどに野菜の生育に影響するかを、農家でなければ存じ上げないというのが実情であるが、周年栽培している葉ねぎなんかは、そのもっとも影響のでやすい野菜だ。葉ねぎは地下水で作る、というくらいに葉ねぎの産地は地下水位の高いところが多い。高温にも弱い。乾燥と高温、その両方に見舞われて、作付けても葉の伸びが遅いのである。だったら、ずっと井戸水を出せばいいじゃないか、と思うが、前述のごとく、秋は秋冬の作付けが集中して、畑の準備もしなければならずに、機械を入れることが出来ない状態を避けたいという理由があって、なかなかに思うようにいかない。こういうところは、多品目農家の欠点であろう。単品目に近ければ、そんなことお構いなしだ。しかし、僕たちは、常に多品目を要求されている。工場生産と違うのだから、天候の加減で無理なものは無理なのだが、それでもできるだけ要望に沿いたい。
毎年のように、九月は畑に機械を自由に入れることが出来ない事態になっていたから、逆にここまでの乾燥を想像できなかった。難しいものだ、天候不順のエスカレートにどこまでも追随していくのは。出来ることをするほかはないですな。
2005年9月22日 寺田潤史
井戸水を右端最上部の葉ねぎの右側畝に潅水。
2畝左の手前下にまで水が染み渡る。
葉ねぎにもようやく井戸水
(すべて無農薬無化学肥料栽培です)
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