先週に、早生種の一部の葉を食いちぎられているのを見つけていたから、その被害が広がっていないかをチェックした。大丈夫であった。中生(なかて)のターザンという品種も大丈夫。晩生の貯蔵種のもみじ３号は、と、端から見回っていくと、見つけた。苗土が盛り上がっている。七本から十本前後は、食いちぎられている。そのほかは、大丈夫のようだ。土に埋め込まれているネットの裾をめくって、顔を苗に近づける。細い棒を持ってきて、その盛り上がっている苗土の場所のトレーの穴を穿り返してみた。いない。虫がいない。何箇所か、食いちぎられた場所のトレーの穴を穿り返してみる。いない。おかしい。苗床はトレーごと土に埋め込まれているために、虫の隠れる場所は、土の中だけのはずなのに。あきらめかけたが、どうしても気になって、もう一度一つずつトレーの穴をしらみつぶしにあたってみた。いたっ！いたいた、夜盗虫の小さいのが。土の盛り上がっていないように見えるトレーの穴に、こっそり隠れておった。指でつまんで、鶏たちのところへ行って、夜盗虫を投げた。ぱっと、当たり前のように一瞬にして鶏はついばんだ。

　苗床のネットの裾に、鍬で土を載せて修復して、やれやれ、これで一安心。一年分の玉葱を、来年の春に収穫するには、今のこの時期のこの作業が欠かせない。この娘たちをしっかり育て上げたなら、玉葱は八割方収穫できたようなものだ。トレーを土に埋めないで苗を育てたときは、トレーの下に、夜盗虫は逃げ込んで、葉を食いちぎること食いちぎること、そりゃもうどんなに玉葱の発芽率がよくても、結果的にはまばらな苗の状態になった。農薬を使わないということは、虫を皆無にするなんてできないわけだから、できうる限り、虫にやられる確立を減らすほかはない。この娘たちを虫や病気から守り、収穫という成人を経て、出荷という嫁入りまで面倒を見ていくのが、僕たちの一つの仕事である。秋の空の下、気持ちのいい空気を吸って、娘たちは今日も天に葉を伸ばす。

2005年10月20日　寺田潤史

玉葱苗を守るネット。

青空と蜘蛛。

今週の野菜
(すべて無農薬無化学肥料栽培です)

	新着	野菜	品種名	科	種播き日	収穫開始日
1		なす	黒陽、万寿美	ナス科	2005年1月12日播種	2005年6月20日から収穫
2		ピーマン	京波	ナス科	2005年1月12日播種	2005年6月23日から収穫
3		ししとう	つばきグリーン	ナス科	2005年1月12日播種	2005年6月26日から収穫
4	New	玉葱	ターザン	ユリ科	2004年9月25日播種	2005年5月25日から収穫
5	New	葉大根	耐病総太り	アブラナ科	2005年9月20日播種	2005年10月25日から収穫
6		ニラ	スーパーグリーンベルト	ユリ科	2004年2月2日播種	2004年4月6日から収穫
7		じゃがいも	メークイン	ナス科	2005年2月22日播種	2005年5月23日から収穫
8		葉ねぎ	わかさまパワー	ユリ科	2005年3月29日播種	2005年7月25日から収穫
9		インゲン	黒種衣笠	マメ科	2005年2月27日播種	2005年5月23日から収穫
10	New	春菊	さとゆたか	キク科	2005年8月28日播種	2005年10月12日から収穫
11	New	フリルレタス	グリーンウェーブ	キク科	2005年8月28日播種	2005年10月11日から収穫
12	New	さつまいも	紅東	ヒルガオ科		2005年9月27日から収穫
13	New	サニーレタス	なんそうべに	キク科	2005年8月28日播種	2005年10月16日から収穫
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22		卵	赤鶏	平飼自然卵