ひらく農園レーベル事業部より草子のＣＤ「草子2007水たまり」2007年4月1日発売！！
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週刊てーて　ひらく農園から

「生きている」

　生きている、それは目の見える僕にとって、外界の存在が見えることだ。
　生きている、それは呼吸をしていることに気がつくことだ。
　生きている、それは悪い夢から覚めたようなものだ。
　生きている、それは家族への愛が残されている、そういうことだ。

　雷がとどろき、雨が音を立ててこの古い家を叩いている。
　きっと、畑は大洪水の様を呈しているだろう。
　畑の野菜は、水を得た魚のように、ここぞとばかりにあの長い乾燥の大地に張った根から水を蓄えていることだろう。
　彼らは強いのだ。
　僕は弱い。

　弱い者は吼える。
　点滴の針のあとをいくつかと、充分な睡眠は、この数ヶ月を振り返るには、充分すぎるほどの時間をくれた。
　からだが戻って、肩で風を切ると、また吼えるだろう。

　生きている、それはパソコンに向かって何か書くということができるということだ。
　生きている、それは携帯音楽プレイヤーの音楽を聴くということだ。
　生きている、それはすすんで肴に箸が伸びるということだ。
　生きている、それは僕の変わりにいつもよりも何倍も働いてくれた恭さんに頭を垂れるということだ。

　より一層、雷はとどろき、雨の音はより激しく聞こえてくる。
　この日曜日の朝、家族の寝静まった部屋の隅で、この記録を書いている。
　まだ、時々咳の出る肺を気遣いながら、しかし、脳みその後ろのほうがすっきりしていることにも気付いている。

　生きている、それは生きようという力が自然と湧き上がってくることだ。
　生きている、生きているってそれだけでラッキーなことだ、としみじみ思う。