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週刊てーて　ひらく農園から

「多品目の有機生産者って何だろう？　その三」

　今月から、畑を手伝ってくれるいわゆる研修生に、作業日誌をつけてもらうことにした。アルバイトを雇っていた数年前までは、すべて僕がデータベースに記入していたのだが、どうもこの頃は億劫でしっかりと記載していない。ブログなどを毎日のように書くようになってからは、自分の作業日誌すら書かなくなってしまった。種まき関係と、出荷関係はきっちり記載しているのだが。

　研修生に書いてもらうのは、どの畑の何の野菜の、どんな仕事をどのくらいの時間やったかを主に記載してもらう。そうして、それを蓄積して、何の野菜にどのくらいの労働力を投入したかを算出しようという考えだが、そうなると、自分たちの労働分も記載しなくてはならない。まあ、僕たちの労働は大体決まっているので、大雑把には計算しようと思えばできるだろう、と甘く見ている。

　昨日、インゲンの収穫をしていたとばかり思っていた恭さんに言った。
「なんだ、出荷の忙しい時に草取りをやっていたら出荷がいつまでたっても終わらないじゃないか」
「だって草を取らなきゃ収穫できないんだもん」
「そりゃそうだけど、新しくこちらの畝も収穫しそうだとわかっていたんだから、もっと前にＦ君に指示しなきゃ、段取り悪いよ」
と、まあこんな具合で、僕たちは大体収穫の担当も何となく暗黙のうちに了解し合っている。今年のオクラは僕の担当で、ナスやピーマン、シシトウは毎年僕の担当である。もちろん、日によっては担当を変わらなきゃならないこともあるのだが。それで、ナスやピーマン、シシトウ、オクラの畝の周りは、草を既に取ってあるのである。そうすると、収穫の時間を推し量りやすいし、樹の剪定をしながら収穫してもそんなに時間はかからない。

　そのあとの会話はこうだ。というよりも、僕が一方的に言ったのだが。
「草を取っていて2時間かかって500円分の収穫じゃ、労働時間は長くなるばかりだよ。30分で2000円分収穫しなきゃ、元が取れないよ」
　それはそうである。これはあくまで収穫だけの時間で、種をまいたり、苗を育てたり、畑に植え付け、管理し、育てた時間があるのだから。そして、収穫したあとも、仕分けをして配達するという時間があるのだ。そして、僕たちは週に一度の休みを取れるか取れないかという生活を続けるのだ。いったい、多品目の有機生産者って何だろう？と思う。それだけを取り出して考えれば、うーんと唸りたくなるような商売だ。それだけではもちろんないからこそ、続けていられるのだが。頭は使いようだと思う。