「貨幣経済って何なんだろう？」

　時季も時期、春の兆しを太陽光線に感じて、さぞかし畑をすれば仕事も進んだであろうが、今日は確定申告のための帳簿に向かう時間に多くを費やした。出荷と出荷の準備、そして畑仕事にはさまれて、どうにも確定申告に集中できなかったのだが、ほかの仕事を投げ打てば、あとはインターネットで電子申告をするのみ、にまでなった。去年の帳簿をさぼったつけは意外に大きかったが、そのしくみができていることの恩恵はありがたいものだ。

　さて、確定申告で帳簿が済ませていなかったことの一つに、ガソリンなどの動力光熱費がある。レシートを見ながらパソコンのデータベースに入力していくのであるが、きっちりと単価とリッター数まで入力していくと、去年のガソリン価格の異常さが一目瞭然である。去年の一月から三月までは意外に値が高く、一リッターあたり１４５円前後だった。それが四月は１２０円台になり、五月に入るといきなり１５５円台前後に跳ね上がる。六月から八月いっぱいまでは１７０円台をキープして、軽トラック満タンで５千円近いという信じられない時期であったのだ。九月から下がり始めたガソリン価格は、今は１００円程度の水準にまで達して、底を打った印象だ。

　貨幣経済というのは、物の値段を通貨で価値を決め、外国との貿易も通貨と通貨の価値の相違によって成り立つ、というようなものであろう。経済学者でないので専門的なことは分からないが、現在の日本の大不況の原因の大きなところはドル安円高だという。この仕組みが厄介だと思うのは僕だけだろうか？物の価値が、物がどれだけ必要とされるかによって決まるのであればまだわかるのだが、物の価値の前に、通貨の価値が変動相場制によって変化していくという制度があるのだ。そこにマネーゲームのマネーゲームたる所以が存在する。

　ガソリンの価格が上がる、あるいは下がるということが、石油の埋蔵量の見通しに左右されるのならば理解できるところであるが、どうもそういうことではなかったらしい。巨大な企業や不透明な政治を動かしている一握りの人たちが、頭のよさそうな人たちを選りすぐり、結果として地球市民を右往左往させている。一時的な表面的な良い世界を宣伝し、ドバイの都市のような夢物語を地球全体で謳歌しようとしていたが、常に恩恵を受けるのは一握りの人たちである。

　僕たちは、例えば１２０円のほうれんそうを２１人の人に１袋ずつ売って２５２０円を手にし、２５００円の５ｋｇ入りの玄米を買う。これは、物々交換に似た、貨幣経済の単純なしくみである。それを発展させると、僕たちが１２０円のほうれんそうを２１人の人に１袋ずつ売るかわりに、あなたが毎日その分量を買ってくれるなら２１人分のほうれんそうをまとめて１５００円で売るから、あなたが自由にほうれんそうを売ってくださいな、ということになる。売る手間が省けるので、その分生産に時間をかけることができる。１００円で売ろうが１４０円で売ろうがあなたの勝手であり、そこに商人の力量も見えてくるし、面白みも出てくるであろう。その場合も、単位は円であり、価値として変わるものではない。通貨の価値が変わると、通過を通貨で売り買いすることになる。そこには、生産というものが存在しないのである。こうして、現代の机の上の大不況が出来上がった、と言うと言い過ぎであろうか？

2009年2月12日　寺田潤史

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