「世代の悩み　その一」

　旧盆の時期に、高校の同級生と飲み会をうちでやっている。旧盆だけでなく、正月やゴールデンウィークにも、恒例の行事のように飲み会をする。高校の同級生たちではあるが、大学の頃の付き合いが続いている、ということだ。それとは別に、高校の同期卒業生の、母校における事業当番が今年あった。そのために、正月にも集まって同窓会を開いた。その当番、四十九歳になる僕たちの年代は、慰霊祭という当番である。亡くなられた方を慰霊する、ということだ。僕たちの年代では、すでに三人の方が亡くなられていた。

　慰霊祭には、人数に限りあるということで、代表者が出席した。そのあとに、同窓会を行ったのだ。今年の正月に、初めて同窓会に出席し、その後、同級生の掲示板に書き込んだり、あるいは自分のホームページやブログを同級生に紹介したりした。そういう流れがあったので、この夏の同窓会にも出席した。同窓会には、一〇〇人もの人が出席した。知った顔、知らない顔、イメージできない顔、など、それはいろいろだ。クラス別にテーブルにつく方式で、隣り合う人とは話をしやすい。

　高校を卒業して、多くの人が大学に進んだ。隣に座ったＭ君は、国家試験を受けて税務大学校に進んだはずだ。国家試験を受けて合格した時に、学年主任の先生から、「おまえはもう学校へ来なくてよい。他の生徒の邪魔だ」というようなことを言われたという。ひどい学校だったんだな、と思う。ひどい学校というのは、生徒がひどい、ということではない。ひどいのはその時の先生であり、それを許す風潮である。進学校というものは、多かれ少なかれそういう側面があるものかもしれない。でも、そういうことに対して、生徒というものは心理的に一致団結するものだ。確かに、高校の頃、体育館に僕たちの学年は集められ、創立以来最低の出来の学年である、という訓示を受けた。それを深刻に受け止める人は、ぼくの知る限り誰もいなかった。その時にこそ、心理的に、団結に近いものが備わったのではないか、という印象もある。

　なぜ、こういうことを書くかというと、ぼくは一つの理由を探しているからである。

　正月の同窓会のあと、感じたことを１月の「週刊てーて」に書いている。「同窓会に行った。それだけのことであるはずだった。でも、なぜかそのあとも心の中がポカポカと暖かい。中略…これは錯覚なのだろうか？時がたてば覚めるものなのだろうか？」と。そして、この夏、いろいろな人と、短い時間に話をした。同じクラスだったＴ君に、「外国から帰国したんだって？」と聞いた。「単身赴任がいやで帰国したのに、帰国したらまた単身赴任になった」とのこと。「長男なの？」と聞くと、「そう。長男だから地元に戻ってきたけれど、それがよくなかったのかな？」と言う。３０年ぶりに会って、いきなりこの会話だ。

　これはどういうことなんだろう？同じ時代を共有した経験がある、それだけのことで、数十年たって、いろいろな違う経験をお互いが積んでいるにもかかわらず、いきなり核心に触れるような話ができる、このことの理由は何なんだろう？同窓会が終わった後、普通の生活に戻り、草取りをしながら、僕はあれやこれやと考えているのだ。

2009年8月20日　寺田潤史

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