「１６回目の結婚記念日」

　先月２３日の雨以来、１０日ぶりの雨が朝方まで降った。９時間ほどで４４．５ミリ。相変わらずにザンザン降りの雨である。静岡市方面では９０ミリもの雨が降ったようだ。それでも前日までに、早生玉葱を５０００本ほど植え付けることができて安堵だ。エンドウ類の種も播くことができたし、ラディッシュの種も播いた。この一週間、風邪気味で体調不良で休養を多く取り、ようやく本調子を取り戻しつつある。

　今日は、まる１６年目を迎える結婚記念日である。数年前までは、この時期に１週間ほど休みを取り、子供の保育園や小学校を休ませて湯治に行っていたのだが、この頃は子供も大きくなり、そうそう休ませるわけにもいかなくなって取りやめている。子供が巣立ったら、また再開したいなと思う。連れ合いの恭さんにプレゼントもないから、１６年間を振り返ってねぎらおうと思う。

　恭さんが２５歳の時に出会って、２６歳で結婚したが、もう４２歳だ。その間に５人の子供を生んでいる。これは、恭さんにとって激しい動きのあった時期と言っていいだろう。４人の娘と息子を産んでくれたこと、これは感謝してもしきれないほどのことである。子供が欲しくても恵まれない家庭もあるわけだから、子供を育てることは社会的使命と言っていいのかもしれない。結婚したばかりの頃に流産も経験したが、その頃に大倭紫陽花邑を訪ね、今は亡き矢追日聖さんに「子供っていうのは多いほうがいいんでしょうか？」と僕は尋ねた。矢追さんは、笑いながら「そりゃ子供は多ければ多いほどいい」と答えた。その言葉を僕たちは真に受けたし、今も真に受けている。

　今も子育ての真っ最中であるが、育てることは難しいことではないけれど、その間の環境は大変な状況であることに違いない。まだ、あと１０年ほどは大変な状況が続くと考えていいだろう。これは無農薬野菜栽培の近年の秋作の状況に似ている。暑さが半端でなく秋に深入りし虫が大発生する、そして突然冬がやってくる、大雨や台風におびやかされる、この状況を２０年も続けるようなものだ。そのかわりに、彼らには笑顔や泣き顔、歓声、悲鳴などのような表情があるからね。恭さんも、台所や風呂の薪場を大車輪している時には怒ってばかりだが、ひと段落つけば子供たちや犬と遊んでいるし、何より畑に出ている時は生き生きとしているからね。

　恭さんのライフワークには、洋裁がある。服を作ることである。ここのところ、ほとんど手を付けられないような状態だったが、今年は型紙を購入して張り切っている。あとは如何に時間をひねり出すかで、眠気との勝負だ。この頃は、ようやく腹筋運動や歩くことなど生活の中に取り入れて、からだのケアにもようやく乗り出した。バスケットボールをやっていた頃に戻ることはできなくても、それなりの動きができるようになると、少ない時間をやりくりできるようになるかもしれない。僕のように睡眠を削ってしまうと、からだに支障が出てくるだろうし。

　出かけることが大好きだった僕たちが、出かけることのほとんどないような生活を続けている。子供がもう少し大きくならないと、気軽に出かけることもできないだろう。二人で軽トラックでひょいとあちこちへ行けるような、そんな日を夢見ている。

2010年12月3日　寺田潤史

早生玉葱は雨を受けて大喜び

バックナンバーへ

ご意見、ご感想、お問い合わせは、下記よりどうぞお寄せください。

★　ひらく農園の野菜の入手方法

☆　このページの最初に戻る