「事務仕事」

　まだまだ冷え込みは続く。ほんの２，３日、平年並みの寒さになった。最低気温が一度程度、このくらいの気温で冷たい風が吹かなければ仕事ははかどる。野菜も成長の気配を見せる。ところが、すぐにまた厳しい寒さになった。途端に畑仕事は遅々として進まず、この時とばかりに事務仕事を片付けた。事務仕事と言えば、確定申告ももうそろそろ手をつけなくてはいけない。

　確定申告は、ここのところ電子申告で済ませている。市役所発行の住民基本台帳カードに電子証明書が含まれているが、この電子証明書は有効期間が３年である（住民基本台帳カード自体の有効期限は１０年）。パソコンにカードリーダーを付けて、住民基本台帳カードを差し込み、公的個人認証サービスソフトを立ち上げて有効期間を確かめた。もう既に切れている。市役所（支所）に出向いて、電子証明書の更新をお願いした。相変わらずに利用している人がほとんどいないようで、ベテラン職員も専門職員に教えを請いながら、更新手続きをしてくれた。手数料￥５００である。これだけ普及の遅れている住民基本台帳カードや電子申告であるから、すべての手数料を無料にして普及させないと、巨額の投資は回収されないと思うのだが…。

　確定申告にはまだ手をつけていない。帳簿はほぼ作成できているので、計算して記入すればいいだけである。計算だって、パソコンがやってくれるわけだから、帳簿の入ったデータベースを操作するだけだ。パソコンを導入する前、つまり１０年前までは計算すらそろばんを使っていた。電卓よりもそろばんのほうが手慣れていたからだが、今ではもう後戻りできない。９年前に死んだ親父は、確定申告終了間際になって領収書を計算していたが、パソコンを早くから導入した割には、確定申告には活用していなかったのだろう。僕の兄貴は、パソコン類の操作が得意で、１０年前に僕がパソコンを導入した時には、エクセルで野菜の伝票を出力できるようにひな形を作ってくれたし、確定申告の減価償却費の計算表も作ってくれた。近くにパソコンに詳しい人がいると、初心者が覚えるのも早いものだ。

　帳簿や配送伝票の事前印刷、通販サイトの管理などの事務仕事のほかに、データのバックアップやハードディスクの管理なども事務仕事と言える。ハードディスクに保存されたデータを、ほかのハードディスクにも保存しておかないと、当該ハードディスクが故障した時に大変なことになるからである。つい先日は、失敗もした。ＬＡＮ接続のハードディスクのファームウェアをバージョンアップしたのだが、一番大事な出荷データを記載するエクセルを開いたままアップデイトしてしまったのだ。結果は、その週の出荷データと、年末の２週間分の出荷データが消えるという事態になってしまった。

　これには焦った。一部のお客さんに納品伝票の値を電話して聞いたり、前日の出荷データを思い出して記載したりもした。幸い、年末の出荷データはアクセスに移植してあったので、手作業でそのデータを一つ一つ拾い直してエクセルに戻したが、時間を費やしてしまった。データ保存の利便性と、相反する煩雑さは、現代特有のものだろう。誰に何をどれだけ販売したか、これを記載し保存することは、簡単なようで簡単なことではない。

2011年1月27日　寺田潤史

井戸水は朝には凍るところも

植えられたばかりの玉葱

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