業務日誌(2002年11月その2)

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11月20日 コンプライアンス(2)

 日本信販の総会屋に対する利益供与事件ですが、総会屋に「顧問料」を支払い、毎年総会を平穏に乗り切ると「成功報酬」の趣旨で顧問料をどんどん増額していったとか。

 いやはや、呆れてしまいます。

 8月13日の日誌でも言ったことですが、コンプライアンス(法令遵守、遵法経営)のかけ声だけではなんの意味もないという証左ですね。

 従業員の言い分として報道されているのが、「引継で、昔は総会屋だったが、今は違う。経営コンサルタントだから問題ないと言われていた」というものです。

 たぶん、担当部署の従業員も、多少の後ろめたさはあったものと思います。だからこそ、「今は経営コンサルタントだから問題ない」などという理屈をつけたのでしょうね。

 でも、具体的にその経営コンサルタントが何をしてくれているのか、なんの対価として顧問料を払っているのか、きちんと考えてみる人がいれば、明らかにそんな言い訳は通用しないとわかったでしょう。

 担当部署の従業員にそこまで求めるのは無理です。仮にパンドラの箱を開けてしまえば、その総会屋と縁切りをする役目が自分に回って来かねません。

 経営者が責任を持たねばなりません。

 3年ほど前、経団連のそうそうたるメンバー会社の法務部の方々と、「社内弁護士」制度の採用の是非を巡って意見交換をさせていただいたことがありました。私を含む弁護士側の出席者が「社内弁護士の独立性の確保」に懸念を示しているとき、ある会社の方から「企業を、放っておくと法令を守らない犯罪者集団扱いするのか!少なくとも、日本の大企業に会社ぐるみで犯罪を犯すところなどない」と苦言を呈されてことがあります。

 でもねえ、その後、三菱自動車のリコール隠しはありました。雪印、日本ハムの偽装はありました。東電の検査記録偽造がありました。そして、今回の、もはや絶対になかったはずの利益供与を堂々と続けていたメンバーの登場です。

 残念ながら、私は企業性善説には立てません。違法行為が発覚したときのリスクをきちんと図れる経営を徹底するしかないと思ってます。




11月18日 (プチ日誌)

 ここのところ週末が忙しくて床屋に行けません。このHPの冒頭にある顔写真(これも1年以上前の写真だ(^^;)は結構短髪ですが、本日現在まとまらないほど長くなってきてうざったいことこの上ない。

 今週末が事務所旅行なんでその前にいっときたかったんですが、もはや無理です。弁護士登録したてのころにいた事務所は暇で、日中に抜け出して散髪に行っていたのが夢のよう。




11月15日 判決書を書かない裁判所

 8月31日に有罪判決を食らった刑事事件の件ですが、控訴した後、2ヶ月以上経ってもまだ手続きが進みません。

 なぜかって?理由は簡単です。有罪判決を宣告した原審の裁判所が判決書を完成させないのです。

 法廷で理由を付して判決の宣告をするわけですから、一般人から見ると判決書は既に出来上がっているように見えますが、ところがどっこい、刑事裁判ではまだ判決書自体は書き上がっていないことが多いとか。

 それにしてもひどすぎます。判決が出てから2ヶ月半ですよ。その間、被告人はずっとなしのつぶてで収監されているわけです。

 もっと言えば、この事件、検察官の論告も、弁護人の弁論も、わずか1ヶ月で提出させたくせに、裁判所は結審から判決言い渡しまで5ヶ月の期間をもらい、なおかつ2ヶ月経っても書面が書けていないのです。いかに未完成な状態で判決言い渡しが行われたか、察しがつこうというものです。

 司法の迅速化が叫ばれ、2年以内の裁判を義務づける法案も準備されていると聞いていますが、裁判所の現場は司法の迅速化など全く意に介さぬようですね。




11月14日 (プチ日誌)

 夕方から三崎口まで打ち合わせに行ってきました。要は京浜急行の始発から終点まで乗ったことになります。片道約1時間半で、自宅に帰ってきたのは午後11時半。電車に乗りすぎてお尻が痛い………おかげでハリーッポッターの新刊を全部読み終えてしまった(ますますドラクエ化してきましたね)。




11月13日 (プチ日誌)

 日経の夕刊に扶助協会の予算が底をついた記事が載ってました。マスコミを使っての予算獲得のアピールでしょうか。

 扶助協会の援助基準自体には以前から述べているように異論もありますが、それはともかく活動が止まってしまうと困るのは国民です。にもかかわらず、補正予算のめどはありません。

 社会的弱者へのセーフティネットの構築には予算がかかります。予算がかかることについては政府は消極的です。これでは単なる弱肉強食の国になってしまいそうですねえ。




11月12日 (プチ日誌)

 いずれ時間のあるときに詳しく述べるかも知れませんが、東京弁護士会が会員に公益活動の義務づけとポイントによる評価制度を検討中とか。当番弁護士出動1回で1ポイント、委員会活動全出席で1ポイント、とかいうものらしい。でもって、ポイントの少ない人は特別会費=罰金徴収だそうで。

 罰金をどんどん上げて、法律扶助協会の収入にでもすればいいかも。




11月11日 ロースクール私見(3)

 10月27日の日誌の続きです。

 日本型ロースクールは、予備校教育による弊害が起こらず、実務や臨床重視の教育により、より法曹として求められる能力を得られるようになるバラ色の制度なのかどうか?という問題提起で終わっていました(笑)。

 まず、はっきり言って、今の日本では、受験制度をどういじろうが、競争がある限り、予備校はなくならないと思われます。

 この辺が、ロースクールを推進する文部科学省のお役人、大学教授、そして弁護士会の中高年世代がどうしてもわからない部分のようですが、予備校だって営利企業ですから、自らのマーケットが失われるのを座して見ているわけではありません。当然、新たな制度には新たなビジネスチャンスを求めて新規業務開拓に力を注ぐでしょう。

 結局、司法試験受験のための予備校だったものが、ロースクールに入学するため、ロースクールでよい成績をとるためにも利用されるようになるに決まってます。現在の20代は、塾通いが当たり前の世代です。受験があるから塾に通うのではありません。塾があるから塾に通うのです。それくらい学校教育は信用されていません。

 中学、高校と受験生に全く信用されなかった学校が、大学院段階になって突如若者の信用を勝ち得ることがあるでしょうか?まあないでしょう。

 こればっかりは予言してもいい。司法試験予備校は今よりももっと勢力を拡大こそすれ、なくなりませんよ(それがいいとは申しませんが)。

 (またまた続く)