業務日誌(2003年2月その2)

 2月11日 2月12日 2月15日
 2月17日 2月18日 2月19日
 一つ前へ 一つ後へ  日付順目次へ 分野別目次へ トップページへ


2月19日 プチ日誌

 本日から事務所の所長の由岐はロースクール視察のためシカゴに出張中。
 この機会を利用して、会議室の書庫の整理を敢行しました。
 法律事務所の「顔」とでもいうべき、大会議室の書庫ですが、最近はだんだん秩序がなくなり、秩序がないためにさらに本が所定の場所に戻されないという悪循環状態でした。事務局まで総動員して、1時間30分。何とか形になりました。事務局には「ほこりまみれになるのならエプロンが欲しかった」とすこぶる不評でしたが(^^;




2月18日 プチ日誌

 民事訴訟の訴状や準備書面などがようやく電子メールでもよくなるかも

 法務省は17日、民事訴訟の訴状や準備書面の交換など書面に限られている訴訟手続きについて、電子メールでも可能とするなど、IT(情報技術)化を進める方針を固めた。裁判所に保存する文書類も、電子化する方向で検討する。

 でもねえ、司法界は、裁判所のファクスが5時で止まるとか、IT化どころかOA化すら取り残されている世界ですので、法文はできても運用はどうなることやら。「午後5時以降のメールによる準備書面提出は受け付けません」とか、本気で起きそうで怖い(^^;




2月17日 事前研修&司法修習

 本日は司法試験合格者に対する研修所入所前の任意研修(事前研修)の一つ、裁判傍聴会でした。

 私は昨年まで東弁法曹養成センターで数年この事前研修の企画実行を担当しており、今年はスタッフからは外れましたが、助っ人として裁判傍聴会の案内人兼講師を担当しました。

 最近から司法試験の科目で刑事訴訟法が必修になった(以前は民事訴訟法と選択)ことからか、合格者の質問や意見もかつてと比べると、心なしかレベルが上がったようです。わりと専門的な質問が増えました。

 それはそうと、事前研修が始まったころ、最初は知らんぷりを決め込んでいた検察庁でしたが、予想外に参加者が集まるのを見て、慌てて翌年から「傍聴後の質疑応答に立会検察官も参加させろ」と言ってきました。しかし、今年はなぜか検察庁での手配がうまく行かなかったらしく、傍聴が5班に対して、検察官が出席したのは2班だけでした。ロースクールへの対応で最高裁、法務省が忙殺されている中、事前研修なんかはもうどうでもよくなってしまったのかも知れません。現金なものです。

 ここ2週間くらいは、東弁の司法修習委員会の方でも、修習生の模擬裁判の準備におつきあいして、週のうち2日は夕方から夜中まで時間を取られてしまい、仕事が溜まりがちです(言い訳にはなりませんが………)。そこへもってきて、事前研修の担当まで重なり、今週は全然仕事にならなそうです。

 まあ、私は未来の法曹養成制度を巡って空中戦の議論を展開しているより、いま足下の後輩の面倒をこつこつと見ていくのが性に合っているようです。農民型とでも申せましょうか(笑)。





2月15日 プチ日誌

 本日は朝から東京三弁護士会主催の破産管財人研修。
 私としては久々に参加しました。
 東京地裁では、ついに通常管財も少額管財と同じ簡略方式になり、「少額管財事件」というカテゴリ自体がなくなったそうです。




2月12日 弁護士の矜持

 先日、友人の弁護士と話していた際、その弁護士が事務所内の後輩の弁護士に独立心がないことを嘆いていました。

 何でも、自分の親族などから来た案件を、「自分一人では自信がないので、」とボスのところに「事務所の事件としてもらえませんか」と頼みに行くのだそうです。

 弁護士は自分の力量一つで世の中と勝負する。いざとなれば、ボスと喧嘩して自分一人で道を切り開いていく(アメリカの法廷小説にはそういうプロローグが多いですね)。それがプロフェッションたる弁護士の矜持であると思ってきたのですが。

 もうすでに、渉外事務所に入所する弁護士たちは、多くがサラリーマン感覚で働き始めます。しかし、ごく普通の一般民事の事務所でも、サラリーマン的発想の弁護士が増えだしたら、どうなっていくのでしょうか。

 自分の知り合いからの頼みであれば、経験の少なさから来る多少の失敗も許してもらえます。自分の力量を鍛える天がくれたチャンスではないでしょうか。事務所ではなく、自分個人を頼ってくれる顧客を持つことがうれしいのではないかと思うのですが。

 法曹人口を増やしても、サラリーマン的発想の弁護士が増えるだけなら、世の中は帰って悪い方向に進みかねないなあ、と思っています。





2月11日 司法改革の焼け太り

*酔っぱらって書いていたのでこの日の日誌は筆が滑って不正確でした。国会議員について「司法試験を経ないで」という内容はありません。司法修習を免除するという内容だそうです。といっても、国会議員の経験がなぜ司法修習に代替性を持つのか不明ですが。

 政府が提出する司法改革法案には、副検事や簡裁判事、国会議員の一定年数(5年)以上経験者に対し、司法試験・司法修習を経ないで弁護士資格を与えるという内容が含まれているようです。

 弁護士の数的充実を図るため、ロースクールを作ってより大規模な法曹養成を図る。これは賛否両論はあるにせよ(私はどちらかというと冷ややかですが)、論理一貫はしています。

 しかしながら、新たな養成制度を作って新時代の弁護士を養成しようとする一方で、なんだかよくわからない他職種からの資格転換が同時に導入されるのは全く筋違いではないでしょうか。

 正直言って、最高裁・法務省・そして国会の我田引水、利益誘導的な議論の底が透けて見えます。国会議員の資格に至っては論外。国会でまともな論戦もできない、論理的な思考もできない国会議員を弁護士にしてみたって、口利き屋のようなしょうもない弁護士がはびこるだけでしょう。

 司法改革で目指されているのは、国会議員の過半数はもともと弁護士資格を有する、つまりあまねく政治のリーダーには法律的素養がある人がつくというアメリカ型社会ではないのでしょうか。弁護士資格を有する人が議員になるのではなく、議員に弁護士資格を与えようとする逆立ちした議論をするところが、日本の司法の貧困さを表していると言えましょう。