業務日誌(2003年5月その1)

 5月2日 5月4日 5月6日
 5月8日 5月10日
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5月10日 プチ日誌

 個人的な話ですが、実は来週末に引っ越しを控えています。
 連休後半から少しずつ準備を進めていましたが、今日あたりから本格化で、もうへとへとです(^^;
 というわけで、来週はまたまた更新が滞るかも知れませんが、ご了承下さい。




5月8日 取り調べの立会権

 ヨルダンで毎日新聞記者が爆発物所持で逮捕された事件について、騒がれていますが、私が驚いたのは全く別の観点です。

 報道によれば、同記者の取り調べは弁護人立会の上で行われているとのこと。

 これは驚くべき事実です。少なくとも、この点に関しては、ヨルダンの刑事司法制度は我が国より数段進歩的だということになります。

 以前の業務日誌で触れたとおり、日本では被疑者の都合などお構いなしに、密室で相当長い時間の取り調べが平気で行われています。狭い密室で、権力を持った怖い相手(それも複数)に、数時間どやされ、責められ続ける。こんなことを数日にわたって続けられたら、たとえ暴力をふるわれていなくとも、誰だって苦痛に耐えられなくなります。

 ところが日本の裁判官殿は、往々にしてそんな簡単なことがわかりません。捜査段階での検察官の作文とも言うべき供述調書が、弁護人の反対にもかかわらず平然と証拠に採用されます。密室で行われた取り調べによって作成された密室での調書に、どのくらい証拠価値があるのでしょうか?

 取り調べに弁護人立会権を認めれば、虚偽の自白や事実に反する供述調書が作成される危険は大幅に経るはずですし、自白調書の信用性を巡る法廷での不毛なやりとりもなくせるはずです。

 日本の裁判所は、戦後ずっとこの問題にほおかむりしてきましたが、司法改革の嵐の中で、ようやく重い腰を上げるかも知れません。というのは、最近取り調べの可視化を提唱する裁判官の論文等が発表されているからです。




5月6日 引き継ぎをしない裁判官

 4月は裁判官の転勤の季節………それとともに、後任の裁判官に前任者から引き継ぎがされていないという「悪夢」に見舞われるのもこの季節です。昔もありましたね、この話題

 本日、事務所に着いてみると、裁判所書記官からファクスが。

 ふむふむ、何かな?
 
 「頭書事件について、下記期日までに書面を出していただくことになっています。早く出してね。」その下には「提出物:当方の主張を書いた準備書面 提出期限 5月8日」との文字が。

 ひええ!宿題を忘れていたかぁ!!と、連休明けのぼけた頭は一瞬パニックに陥りましたが、よくよく考えてみると、この事件の前回期日でそんな約束をした覚えはありません。事件記録の手控えを見ても、そんなことは書いてありません。確か、前回の期日では、前任の裁判官が「私は転勤してしまうので、今後の進行は後任の裁判官と相談してください」と言い残し、何も決まらずに終わったはずです。

 とりあえず、書記官に電話して「そんなことは決まってないはずですが………」と尋ねてみると、書記官は「そうでしたっけ?裁判官から指示がありましたので」とのこと。

 おいおい、書記官だって、次回に準備書面提出予定かどうかくらいは記録に残しておいてくれよ、と思いつつ、「ということは、裁判官の引き継ぎでは5月8日までに私が準備書面を提出することになっていたのですか?」と聞くと、書記官曰く「いえ、8日というのは私の判断で書きました」。

 私も書記官相手についにぶち切れてしまいました。「すると、そちらの裁判所では書記官が準備書面の提出期限を勝手に決められるというわけですか?」もうらちがあかないと思い、裁判官に代わってもらって直接事情を説明し、裁判官からは引き継ぎを誤解していたとの趣旨のお話をいただきましたが。

 それにしても、人が交代した場合に前任者の話を100%引き継ぎはできないにせよ、どうして肝心なことがいつも伝わらないのですかねえ。おまけに裁判官の誤解について、火に油を注ぐような書記官の独断行動はいかがなものか?朝から心臓に悪い一日でした。

 追記 5月12日にあったこの事件の期日では、後任の裁判官から非常に丁寧な訴訟指揮がなされ、争点の整理も的確であったことを念のために記しておきます。




5月4日 X20→X31

X20&X31
 4月21日の日誌で「品薄だぁ!」と、嘆いていたThinkPad X31の最上位モデル(2672-JHJ)ですが、連休前にあっさり通販で手に入ってしまいました。

 X2xシリーズとの対比はいろんなところでされているので、今更という感じはありますが、一応手持ちのX20とツーショットです(左がX31)。

 やはり、液晶パネルを広げると明らかにX31の方が小振りです。しかし、本体下部の絞り込みがほとんどなくなったため、厚みは逆にやや増したように見受けられます。この辺のデザインの論評はこの方がおっしゃっているとおりかも知れません。

 しかし、560からThinkPadに入った私にとっては、X20のころの「ちょっとピントのずれたような遠近画法的絞り込みウエッジ・デザイン」よりは、多少なりともコンサバな弁当箱デザインに回帰したことは、好ましく思えます。これで、後は液晶パネルの枠(厚み)が斜めに切ってあるという部分をやめてくれれば、完全なコンサバ・デザインとして賛成するのですが………。

 それはそうと、早くX20から環境移行したいのですが、既にX20のHDDは40GBと今回のX31と同じところまで換装してしまっており、そこにプロアトラスWを全データぶち込むなどしているため、いつのまにかHDDの容量の7割近くを使い切っています。ここまで余裕がないと、環境移行も苦しいため、いきなりX31のHDD換装に踏み切らねばらならないようです。

 ところが、X31のHDD内のリカバリー領域が曲者で、どうやら以前のようにPartitionMagicでは認識できない模様。HDD換装も手間暇がかかりそうです。




5月2日 弁護修習個別指導

 この3月で、4年間務めた司法修習委員会からようやく足抜けさせてもらい、司法修習生とのおつきあいもしばらくお休みのはずですが、実はちょうど4月から当事務所の所長が司法修習生の弁護実務修習の個別指導担当を引き受けており、6月末までの間、事務所に修習生が詰めています。

 弁護実務修習というのは、修習生が3ヶ月間(私のころは4ヶ月間)どこかの指導担当弁護士に配属され、その弁護士の事務所に居候して、裁判や事務所での打ち合わせなどに一緒に参加し、書面作りを任せられたりして、弁護士としての業務を実地に見習うというものです。

 ちなみに私が3月までいた弁護士会の修習委員会は、こうした修習生の配属を決定し、実務修習中の合同行事(模擬裁判、旅行、合同講義等)を企画し、また修習生の個別の相談に応じたりするサポート部隊です。

 ところが、当事務所は、この4月から所長の由岐が春秋会(小派閥)の幹事長、私が法友全期会(若手派閥)の副代表幹事、もう一人の榎本が法友会(大会派)の幹事ということで、全員閥務に駆り出され、誰がいったい事務所で仕事をしているんだ状態(爆)。特に由岐は、春秋会のほかにもロースクール問題で日弁連を牛耳っている一人のため、事務所に全然いないという日がよくあります。誰が修習生の面倒をみるんだ〜い?

 と、言いつつ、由岐のいない日は適当に私の事件におつきあいしてもらったりしているのですが。
 連休とはいえ、一週間もご無沙汰してしまいました。