業務日誌(2003年9月その1)

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9月9日 プチ日誌

 本日午前中は、例の入学金・授業料問題弁護団の事件の一つの裁判があり、地裁103号法廷に行きました。この103号というのは、オウム事件等大規模な事件にだけ使われる特別な法廷で、傍聴人が最大100人収容できるようになっています。ですが、次次回期日を裁判官が決めようとして「法廷の開いている日がわからないので………」ということになり断念。共用法廷なので、単独で予定を入れてしまうわけに行かないそうでした(笑)

 もう一つ、例の刑事事件(過去の業務日誌で何度も述べた例の件です)の当方の控訴趣意書に対する検察官の答弁書が来ましたが………こちらの100ページ以上の書面に対し、答弁書はわずか2ページ!!こんなもんで高検検事がつとまるのだから、世の中いいですねえ(弁護人がこんな書面出したら懲戒もんだよ)。




9月8日 プチ日誌

 6月13日に嫁さん用のThinkPad 600EのACアダプタがいかれた話をPersonal Load Testに載せましたが、今度は私のX20のアダプタに同じ現象が。
 会議室で使っていて、ふと電源メーターを見ると全然充電されていない。どうしてだろうと思って電源コードを見ると、明らかに椅子で踏んづけたか何かして断線している部分を発見。。。
 あわててClub IBMで注文しようと思ったら、何と品切れ状態です。がっくり。




9月6日 司法改革の焼け太り(2)

 司法書士、というのはもともと登記申請業務の代理権を主目的とする資格です。しかし、同時に民事裁判用の書類の代書権(代理権ではなく、本人名で作成だけしてあげること)も有しているため、事実上この書類作成に付随して法律的な相談も受けている方が多いようです。

 こうした司法書士の方々にとっては、単なる「代書権」ではなく、「訴訟代理権」を手に入れることはある意味悲願だったのでしょう。まして最近は、登記業務のオンライン化が進められ、近い将来一般人でもネット上で登記申請ができてしまう日が来る可能性が高いと思われます。そうすると、司法書士の本来の業務は先細りという危機感があってもおかしくはありません。

 現在の司法改革で「身近な弁護士が足らん!」という非難の声が上がったことは、そうした司法書士会にとって、千載一遇のチャンスと写ったようで、「簡易裁判所の代理権を我々に!」という強力なロビー活動が繰り広げられ(政治献金も相当されたようです)、先頃これが実現することが決まっています。

 ついに弁護士の訴訟代理権の独占の牙城を崩した司法書士会が次に狙ったのが「簡裁事物管轄額の引き上げ」です。これまで簡易裁判所は、請求額が90万円までの事件を扱う(それ以上は地方裁判所)とされていたのですが、この額の引き上げを運動したのです。城を一つ取ったら今度は領地を広げよう、という感じでしょうか。

 ただ、これは論理的に考えるとちょっとおかしな話です。司法書士会が簡裁代理権を獲得するために張った論陣が「少額の市民の紛争は我々にも解決できる」というものだったはずですが、今度は「少額の訴訟だけでなく、もっと多額の事件もやらせろ」と言っているだけですね。そのために簡裁の事物管轄をもてあそんでいるように見えます。

 すったもんだの末、簡裁事物管轄は140万円に引き上げられることになったそうですが、これはどう見ても、司法改革のどさくさに紛れて簡裁管轄の範囲が焼け太ったように見えます。

 そもそも簡易裁判所は、審理が「簡易」だからこそ、判事も司法試験を合格していない書記官出身の裁判官が行えたりできることになっているのです。簡単に簡裁の管轄範囲を引き上げることが市民のためになるとは言えないはずです。

 それに、実は現在の簡裁の訴訟事件の大半は、サラ金等の起こす貸金請求事件です。つまりサラ金の強制執行の切符を発行する場となっているのですね。東京簡裁なんかは現在でも相当な事件数が来ます。30分間の間に20件ほどの弁論が入っていることもまれではありません。このような状態ですから、裁判自体も審理が充実しているなどとはお世辞にも言えません。簡裁の現在の態勢のまま、事物管轄を引き上げるなんてのは誰のためにもならない(司法書士の飯のタネが増える以外は)ことは明らかだと思うのですが。


 例えば多重債務者の債務整理のために良心的に頑張っていらっしゃる司法書士の先生方が数多くいる(特に地方で)ことは事実です。ですから司法書士と縄張り争いの話はしたくはないのですが、今回の件はちょっと姑息だなあ、と言う感が否めません。




9月3日 IT弁護士会時代到来?

 ITなんて言葉もほとんど死語になりつつあるのかも知れませんが、ようやく弁護士会も少し時代に追いついてきたようです。

 その1は、日弁連のフロアで無線LANのホットスポットが開設されるとのこと。もちろん弁護士だけが利用可で、一般の方は無理ですが………。

 これで会議中に内職でメールの送受信ができます(^^;でも日弁連にいる時間よりは、東弁にいる時間の方がよほど多いんだよなあ。東弁も早く見習ってくれると吉。

 その2は、東弁は東弁で、弁護士相手の研修講座のストリーミング配信をはじめたとのこと。早速さわりだけ視聴してみましたが、なかなか画像も綺麗で音声もクリアで品質良です。これなら弁護士会館まで聞きに行かなくてもOKだ、とも思われますが、いつでも視聴できるとなると、昔のNHKラジオの基礎英語を録音して結局聞かなかったのと同じ罠にはまるおそれもありますかね。




9月1日 小笠原法律相談

練習風景
 長らくご無沙汰していましたが、この間小笠原父島・母島の離島法律相談会担当として出張していました。

 仕事以外の旅行記はこちらに譲るとして、とにかく1週間に1往復しか船便がない小笠原諸島に行くので、必然的に5泊6日(うち船中泊2日)の旅程にならざるを得ません。

 しかも小笠原は、ドコモの携帯こそ何とか通じるものの(ほかの2社は不可)、データ通信は不可のため、パソコンを持ち込んでもメールの受信もできません(一般電話回線からのダイヤルアップ通信は可能ですから、ホテルに頼み込めば可能でしょうが)。そのため、本日帰ってきて何百通と溜まったメールを受け取る羽目になりました。

 さて、肝心の相談会は、母島で2時間、父島で2回合計4時間のはずでしたが、母島では2時間相談室で待ったものの、誰も現れずじまい。父島でようやく2件の相談を受けました。役所の担当の方によると、6月から弁護士会の相談体制が整い、毎月の相談会が定例化されて当初の需要がはけたことと、先日NPOの活動による相談会が開かれたので、今回の相談者が少ないのではないかということでした。

 おかげで、というべきか父島での2日目の相談は日程自体なくなり、解放してもらいましたので、当職は潜りに行けてラッキーだったのですが。

 それにしても、相談さえ受けられないという事態からは大きく前進していることは喜ばしいことですが、裁判所もない島では、仮に裁判になれば東京までいかねばなりません。それを思うと、裁判によるべき相談案件が現れた場合、相談担当者としてどのように対処していくべきか、まだまだ悩まねばならない課題は多いように感じます。

(写真は父島での相談会会場の地域福祉センター)