業務日誌(2005年4月その2)

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4月27日 自動アップデートというリスク

 代表的なウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」の更新ファイルのインストールでPCが起動不能になってしまうという23日の事件ですが。

 このような事件を見ると、PC関係の自動アップデートという機能の便利さと裏返しの怖さを思い知らされます。「自動」は便利ですが、人的要因によるミスが介在してしまえば、ただの凶器です。

 Windows95以後にPCを触るようになった人たちのかなりの部分にとって、PCは家電製品と同じように「完成された箱」であって、内部的なハード、ソフトの仕様はブラックボックスの状態です。それがいいのか、悪いのかは別にして、メーカーもそのような売り方をしています。

 起動しないからと言って、PCメーカーサポートに電話をし、原因の切り分けができないままにサポートのアドバイスの言うままにHDDを初期化してしまった方の記事が新聞に出ていましたが、起動しなかった場合のデータの救出の方法も知らない方がPCを持つのがいいことなのか、あるいはそのような方法を教えられないサポートというものがサポートの役をなしているのか。

 しかし、「利用者の復旧費用」のみ上限付きで補償するトレンドマイクロの方針、果たして通るんですかね。損害賠償請求をされた場合にはそこで上限を画することなどとてもできないと思われますけれど。




4月23日 災害時法律相談研修

 本日は、目黒法曹会の企画した「災害時法律相談研修」なるものに参加してきました。

 講師には、阪神大震災の直後から法律相談の事業に尽力した兵庫県弁護士会の竹本弁護士を迎え、同弁護士の体験談から始まり、法律相談の体制作りや具体的な相談内容に至るまで聞くことができました。

 大震災のような災害の後、最も紛争になるのはやはり、借地借家関係のようです。借地上の建物が倒壊してしまったり、借家の対象たる建物が倒壊してしまった場合、契約関係はどうなるのかというのが典型的なものです。

 これに関しては、罹災都市借地借家臨時処理法という、昭和21年に制定されたカビの生えたような法律が震災に適用されることが決まったりしていますが、この法律、もとは空襲で家を失った借地借家人の保護のために制定されたものですので、なかなか中身が強烈です。

 たとえば、借家建物が焼失してしまった場合、借家人は、2年以内に土地所有者に申し出るときには、相当な条件で借地権を得ることができるという定めや、借家の建っている土地が借地である場合には、同様に借地権の譲渡を受けられるという定めなどは、よくよく考えると、借家権が借地権に置き換わってしまうわけで、借家人にとっては「災い転じて福となす」とも言うべき、すごい内容です(逆に貸し主にとっては大変な事態かもしれません)。




4月21日 会館費用

  東京は霞ヶ関、東京地裁&高裁合同庁舎と東京家裁&家裁合同庁舎の間にそびえ立つ、大理石外壁の17階建てビル、それが弁護士会館です。ここに日弁連と東京の3つの弁護士会の事務局が入居しているわけですが、このビルの建設費&維持費は、いったい誰が負担しているのでしょう?

 答えは当然ながら、東京の3つの弁護士会の会員です。会館が竣工したのは平成7年の秋。私はまだ司法修習生で盛岡にいました。

 翌年から東京で弁護士登録する新入会員は、会則により130万円の会館建設費用を負担させられることになりました。しかし、薄給の司法修習生にそんなお金があるはずもなく、上記制度は始まると同時に、登録後最大10年間の猶予と5年分納が認められるようになりました。それでも修習生にとっては、目の前にぶら下がった130万円の債務というのは結構プレッシャーで、大手渉外事務所が「会館費用を事務所で出してあげるよ〜」というオプションを殺し文句に修習生をリクルートしてたりしました。

 そういう私も今年で弁護士登録10年目。期限いっぱいを使って、5年目から5年分割で26万円ずつ支払い、先日ようやく債務を完済(?)しましたが、そうした矢先にこの会館費用に関する新しいニュースを耳にしました。

 いわく、いつの間にか昨年あたりから、新入会員の負担金は130万円から110万円に減額されていたそうです。そしてさらに、今後段階的に減らしていく方向で、とりあえず数年かけて90万円まで減らす案が東京弁護士会の常議員会で可決されたとか。

 たぶん理屈は三つあって、一つは司法試験合格者の増加に伴い新入会員の数が増えて、一人あたり負担額を減らしても余裕があること、二つ目は現会館もだんだん経年劣化していくわけで、新築当初に使っていた会員と同じ費用を徴収するのは不合理だということ、そして三つ目は、純粋に会館費用の会計が実はだぶついていることでしょう。

 しかし、真の理由は、足並みをそろえるべき第二東京弁護士会が、抜け駆け的に自分のところだけ勝手に新入会員の負担金を減らしてしまったからです。二弁はときどきこういう無責任な抜け駆けをする傾向があるようです(東京の三つの弁護士会の体質については過去にも書きましたねえ)。




4月20日 X32

 IBMがThinkPad Xシリーズに、X31を出してから早2年。2003年暮れにはX40が発売され、併売態勢になったものの、目立ったバージョンアップもしてもらえず、モデルチェンジもないままでした。2チャンネルに「X32の発売を待ちわびるスレ(タイトルはどんどん変わるので不正確。最新スレはこれ)」までできてしまうほど野ざらしでしたが、本日ついに!幻かと思っていたX32が発表されました。

 しかーし………一時噂のあったSonoma搭載ではなく、ほぼ一年前に発売されているDothan搭載、しかも最上位機種でもPentiumM745(1.8MHz)とはちょっとがっくり。

 Sonomaが相当発熱量が大きく、電気食いのChipsetらしいため、これを回避したと考え直せばまあ納得いかないでもないですが(でもX41には載ってます)、実質的にはChipsetレベルの大幅な変更を避けたマイナーチェンジ版のようです。それにしては出るのが一年遅いような。

 もっと納得がいかないのが、USモデルにはPentiumM755(2.0Mhz)の搭載機種があるのに国内ではないこと。どうも日本IBMは、日本のThinkPadフリークの気持ちを読み違えているような気がします。Lenovoになったらよくなるんでしょうか、もっと悪くなるのでしょうか………




4月19日 個人情報保護法の悪用

 立法趣旨はわかるが内容的には相当訳のわからない状態の個人情報保護法が全面施行されて半月ほど経ちましたが、これって悪用されると弁護士業務に相当支障が出そうだ………という話がちらほら。

 最初に具体化しているのは、やはりというか(笑)クレサラ債務整理分野でのサラ金の対応。業者によってはご丁寧に、弁護士が受任通知を出して過去の取引履歴を要求する際に、突然「委任状」を要求し出しました。委任状だけならまだしも、「依頼者の印鑑証明」とか「弁護士の身分証明」とか、要求はとどまるところを知らない。おいおい、弁護士登録された事務所のファクスから通知を出しているのに、当方が弁護士かどうか不安があるのなら、身分証明だって偽造くらいできるんじゃないの?と突っ込みを入れたくなるところです。

 これって、このサラ金がコンプライアンスに目覚めたのではない証拠には、弁護士側が強い態度に出ると「(履歴を)3年分だけ出す。後は委任状が必要」とか、変な妥協案が出てくること。個人情報保護のために必要だと確信しているのなら、1年分だろうが3年分だろうが個人情報は個人情報です。なーんだ、やっぱり単に利息制限法引き直し計算に抵抗したいだけじゃないですか。相変わらず体質は変わっていませんね。

 そもそも、個人情報保護25条によれば、個人情報取扱業者は本人から保有個人データの開示を求められた場合には遅滞なく開示を行う義務を負っているのであって、サラ金が同法を盾に開示を拒否できると思ったら大間違いなのですが。。。




4月17日 CLIE NX-80V

 
 昨年秋にザウルスに手を出して失敗して以来、2002年に買ったCLIE NR-70Vを後生大事に使い続けてきましたが、一度落として以来液晶の右端が写らなくなってしまい、また最近は電池が相当へたってきてしまいましたので、いよいよ後継機種を探す必要に迫られていました。

 この間、生産中止になってしまったsigmarionVを中古で入手したりしたのですが、これもハマりました。

 予定表の操作で、Windowsで当たり前のカットアンドペーストができない!WindowsベースのPDAなのにどうしてなのかと訝り、よくよく説明書を見ると、sigmarionVのスケジュールソフトは、独自開発のものらしいのですね。。。外見はOutlookそっくりですが、中身は違うようです。わざわざ使い勝手の悪いソフトに載せ替えてくれるとは、どういうことでしょうか(怒)。

 そんなわけで、結局残る選択肢は、やはりPalm機しかないのか………と逡巡しているうちにSonyもPDA撤退発表後、いつのまにかNX-80Vの生産を中止しており、中古で手に入れることになりました。

 このNX-80V、NR-70Vに比べると、一回り厚く、重いです。CCDカメラを大きくしたりしたことにより、肥満してしまったのは残念。