業務日誌(2005年5月その1)

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5月14日 無線LANアップグレード(事務所編)

 昨年の引っ越しの際に、事務所のネット環境は光ファイバー化したのですが、肝心の無線アクセスポイントは2002年に買ったこいつのままで、遅い802.11b環境のままでした。ネットはともかく、事務所内のファイル検索にもたつき、さらにはなぜかPCによっては共有フォルダへのアクセスが不安定になるなど、問題が出ていました。

 そこで、一気に問題を解決すべく、3月中にこれを買ってあったのですが、忙しいのと弁護士が増えて事務所に誰もいない時間帯がなかなかなくなったことが重なって、作業を行うチャンスが訪れないまま。ようやく昨日夜から作業を開始しました。本日も夕方から事務所に行って、ようやくすべてのPCに新たな設定をすませました。しかし、なぜか一台だけ新しい無線LANカードのインストールができないまま………仕方ない、後は週明けです。トホホ。




5月13日 取引履歴不開示の罪

 最高裁、消費者金融の取引履歴開示初判断へ
消費者金融会社が借り手側に取引履歴を開示しないのは違法かどうか――。全国の高裁で真っ二つに判断が分かれたこの問題で、最高裁第三小法廷が初判断を示す見通しとなった。上告を棄却する場合は必要がない弁論を6月14日に開くことを決め、10日付で関係者に通知した。違法性を認めなかった二審・大阪高裁判決を見直す公算が大きい。


 債務整理で、貸金業者に対し、過払い金請求を行おうとすると必ずぶち当たるのがこの「取引経過開示拒否」の壁です。とにかく裁判を起こせば開示を行う業者も多いですが、逆に言うと裁判前には「一定期間前は出せない」などと平気で開示を拒否するところもあります。

 それというのも、この取引履歴の開示は従来、金融庁のガイドラインでの定めが唯一の根拠であったため、開示を求める法律上の権利があるかというと、微妙な問題といわざるを得ず、債務者に対し、法的に開示拒否が違法かどうかというと、否定的な判断を下す裁判所が少なくなかったものです。

 しかし、個人情報保護法が施行され、自らの個人情報の開示を要求できる時代になったのですから、これからは違うはずです。最高裁の事例は法律施行前ですが、このような時代背景を追い風にしていることは間違いないでしょう。




5月9日 裁判所も捨てたものではない

 弁護士が書く文章のタイトルかよ(^^;

 という突っ込みはともかく、なんの話かというと、もう足かけ3年も続いている入学金・授業料問題弁護団の件です。4月28日に出された横浜地裁の勝訴判決を、連休を挟んで、ようやくじっくり読むことができました(28日は夕方から外出しており、全文を見ることができないままでした)。

 一番最初に、京都で出た判決を除けば、弁護団案件で、その後の判決は軒並み入学金の返還を認めてはくれないものばかりでした。

 入学金の支払期限が、大学側によって一方的に、合格発表直後に設定されているばかりに、まだ他大学の合格可能性を残したまま、やむを得ず入学金を支払っているだけなのに、3月中に辞退をしても(=入学前に辞退しても)なぜ入学金を返してもらえないのか。素朴な感覚で、おかしな話です。

 多くの判決で、入学金を返さなくていいという結論を採られたのは、もしこの請求を認めてしまうと、大量の入学辞退者による入学金収入で実質的に経営を支えている多くの大学にとって壊滅的な打撃が生ずるのではないかという、裁判官なりの「バランス感覚」が働いているとしか思えないのですが、私から見ると、受験生を犠牲にしてまで認めるべき「バランス」とは思えません。社会の悪弊を裁判所が追認しているだけのように思えます。

 何より、理屈が成り立っていません。多くの判決では、入学金を返還しなくていい根拠として、「入学金は『入学しうる地位の対価』であるから、支払うことで受験生はこの地位を手に入れているから」という点を述べます。

 果たしてそうでしょうか?入学金は、あくまで「『入学(=在学して教育を受けること)』の対価」ではないでしょうか?

 このような理屈が成り立つのなら、不動産売買契約の頭金は、「売買の対価」ではなく、「売買しうる地位の対価」ということになり、弁護士への着手金は、「事件依頼の対価」ではなく、「事件を依頼しうる地位の対価」ということになりかねませんが、明らかにおかしな話です。

 横浜地裁の今回の判決は、「『入学しうる地位の対価』などと言っても、結局は「滑り止めの対価」でしかない」「滑り止めの対価として支払われたものを、営利企業でなく公益法人である大学が返さないでいいというのはおかしい」と断じてくれたわけで、ある意味、最初の京都の判決以上に胸のすく明快な論理です。裁判所も捨てたものではない、勇気ある判決を書ける裁判官もまだいるのだ、と感じました。

 しかし、この横浜地裁、実は、昨年9月に判決を出すはずが、無期延期にして結局7ヶ月も延ばしてしまったところです。これがなければもっと完璧だったのですがねえ。




5月8日 弁護士と鞄


 しょっちゅう事件記録を持ち歩く弁護士にとって、鞄は必須アイテムです。軽くて、丈夫で、型くずれしにくくて、容量のある鞄が必要です。

 私がずっと使ってきたのが、サムソナイトブランドのナイロン製の肩掛け鞄(写真左)でした。実はこの型、大学生時代からずっと使ってきたもので、だいたい2年くらいでよれよれになってしまうため、そのたびに同じものを買い換えてきました。写真に写っているのはたぶん6代目くらいです。

 この鞄のいいところは、上述のような条件を兼ね備えているところ。ナイロン製なので軽く、しかし型がきちんとしていて容易には崩れません(写真のは、その崩れにくいものを酷使しまくって、崩してしまったものですが………)。そして容量も大きく、パソコンに加えて事件記録を2冊入れるくらいはへっちゃらです。

 弁護士業界で、この鞄を見かけることは意外に多く、けっこう多くの人が愛用しているようでした。

 ところが………このサムソナイトブランドの鞄は、エースという国内業者がライセンス生産をしていたものなのですが、昨年秋に、このエースが、ライセンス生産の終了を決めてしまったため、あえなくこの鞄も生産中止になってしまいました。

 さあ困りました。なにせ10数年も使い続けてきた鞄です。どのポケットに何が入るのかまで体に染みついています。簡単に他の鞄には乗り換えられません

 そうはいうものの、使っている鞄は日々老朽化してしまい、ついには肩ひものクッションの役目をしているゴムパッドが破けてきてしまいました。こうなると時間の問題です。

 仕方なく、本日デパートの鞄売り場をさまよったあげく、後継品を買ってみました(写真右)。同じエースの鞄ですが、厚みが調節できたりするギミックがいろいろついているようで、その分微妙に重くなってしまいました。手になじむには数ヶ月かかるような気がしますが、とりあえず使い始めることにします。




5月5日 スピードと安全

 JR西日本福知山線の脱線事故、報道を聞けば聞くほど「暴走列車」だったようで、ご遺族の方の無念は察するに余りあります。

 またJR西日本の事件以来の迷走する対応も、かつての雪印事件等を思わせるもので情けないものです。想定しているトラブルなんかは危機管理の範疇ではありません。想定外の事態が起こったときにどう動くべきかが本来のコンプライアンスの要のはずですが、上は社長から下は事故列車に乗り合わせた職員まで、想定外の事態には全く対処するすべを持ち合わせていなかったようです。

 それはそうと、マスコミの方も、事件以来、JR西日本を「安全性よりも定時運行、スピードを優先させた」企業というキャンペーンを貼るのに血道を上げているようですが、事件までは外国と比べた日本の鉄道の定時運行への優秀さを褒め称え、新幹線、在来線のスピードアップを無批判に賞賛してきたのも同じマスコミであったことを忘れてはならないのではないでしょうか。

 分刻みのスケジュールで動く現代人を支えるべくして、安全マージンを削りに削り、結果大惨事を起こしてしまったのだとすれば、JR側のみが責められるべきなのか、多少忸怩たる思いにとらわれます。




5月2日 IBM→Lenovo

 連休中にあっさりThinkPadシリーズの身売りが実行されていました
 旧IBM ThinkPad NotebooksのHPも、URLは同じながら、「Lenovoノートパソコン」というページタイトルがしっかり表示されていて、IBMではなくなってしまったんだなあ………という感慨を思い起こさせます。

 当面、何も変わらないと喧伝されていますが、個人的に悲しかったのは、旧ラインナップのThinkPadの製品ページの残骸がすべて整理されてしまい、消えたこと。お引っ越しを機に、無駄なものを捨てたということなのかもしれませんが、淋しいですね。