ことば悦覧 in 東京 2010(4/3〜4) 春版 記録集 home ベラ・ジュンさん 伊庭野大輔さん 平塚桂さん 藤井亮介さん 佐藤敏宏 ベラ・ジュンさんに聞く (2010/04/03 pm13〜16) その 01 02 03 04 05 06 07 08 その05 ベラ:それはメキシコだったか本当に何にもない古い 佐藤:名の知られた建築家が作ったの ベラ:そうでもない、全然知られてない 佐藤:話だけ聞いてても お洒落な感じがするね ベラ:そうですね。中庭もちょっと芝生があったりして白いスチールで、写真は抜群に綺麗で。それをどうしても見たいんですけど、どこに行っても無くって。ようやくここの建物の中かなと 佐藤:既存の建物に隠れているわけだ ベラ:隠れている、誰も判らない コンコンコンって叩いて ようやく一人出てきてこれ見せてって ああ中だよ。基本的に今はだめだと 佐藤:そこを なんとかしてくれと ベラ:実は簡単でちょっと金をこう 佐藤:はははは、袖の下を支払う、出すと ベラ:出すと すぐじゃあ10分だけいいよと。ほとんどそれで入れるんですよ南米は。で色々入っちゃって 佐藤:建築を見学しつつ社会勉強もして やっぱ四の五の言わず銭だと ベラ:金だな〜と思って 佐藤:たいしたお金じゃないんでしょう ベラ:たいしたお金じゃない。それで、遺跡も見たんですけど。割と現代建築に興味があって。南米に建っている現代建築ってアメリカだったりヨーロッパだったりで勉強して帰って来た建築家が自分の国で独立して作るっていう 佐藤:近代のイズムと地元の風土・思想が融合して在るわけだ ベラ:そうですね、で何か自分も半分ラテン人っていう、何か共通点が有るんじゃないかというのを確認したくって。自分も結局似たような背景で作っていくんだなーと思っていたんで。何かそうい処で何か発見があるかな〜と考えながら旅していた 佐藤:体の中にはベネズエラの血も日本人の血も流れている、アイディンティーが何かをね ベラ:微妙ですね。基本的に南アメリカの人達はヨーロッパの移民なんですよ元を辿ると。スペインだったりイタリアだったり。フランスだったり。なのでその連中がこう 佐藤:混血するわけね ベラ:そうですね、混血社会なんで。南アメリカにちょっと開拓しに行くんですよね。占領して行くっていうか。で、原住民ときどきインデオが居て。それと段々混ざっていって。また途中の段階で黒人の奴隷をカリブだったり、色々ブラジルだったり連れて行くんです。そこでもまた混血。黒人と白人とインデオの 佐藤:難しいよね。そうだよね征服された人間と征服した人間の両方の血が混じっているからね。奴隷と奴隷を使った人間との両方血が 自分の体を流れているからどうすんだ問題があるよね ベラ:どうすんだ。あるんですけど。まあ基本的にみんなそんな悩んでないですね。征服した人、されたっていうのは無くって。人種差別無い 佐藤:宗教対立のよな感じは無いと ベラ:ないですねわりとみんなあっけらかんとして 佐藤:日本も古代史にあった。制服した神とされた側の神、両方祀るよ、今でも両方の神社が在るしね。 ベラ:あるていど時間経つとそれ消えると思うですけどね。 佐藤:宗教対立はなかなか消えないみたいだね ベラ:そうですね、そんなに宗教心もはっきりもってなくって。気候なのか分からないですけど。ずーっと暖かいとあんまり悩まなくなるのかな〜と 佐藤:アルゼンチンは経済破綻して ヨーロッパの人々の血が流れているから、ヨーロッパ各地へ出稼ぎ、外貨稼ぎに出掛けて行くという若い人が多いようだけど。銀行も潰れて預金は煙と消えて、メチャメチャな状況下だったでしょうからね 対立どころではない ベラ:そうですね 佐藤:ヨーロッパ移民の末裔であると証明できれば働きに出掛けていけるよね ベラ:そうですね。ブラジルもありますし 佐藤:混血社会であると同時に多民族社会であるんだね ベラ:そうでうねです、割とだいぶ時代が経っているので、そんなに。アメリカに行くとアメリカの方がよっぽどこう民族で分かれているような気がするんですけど。 佐藤:自由主義競争社会なんで貧富の階層がはっきりしてしまうから 守り合うかな ベラ:はっきりしているのと、分かれていますよね、確かにピスパニックはお金持ってない。それでけっこう階層が出来ちゃってるから。あまり混ざりにくいのかなと。思うんですけど。 佐藤:スポーツの世界は誰でも実力があれば参加OKだから ビジネス部もじょじょに開放されていくだろうけど。ビジネスの社会とか教育の世界ではなかなか階層を越える繋がりは難しいよね。 ベラ:慣れている 自分に近い人間とビジネス。どうしても していくんで。 佐藤:貧困の差異をつくりだして稼ぐような手法もあるから。スポーツのように見て分かる物差しがあるようなら壁はなくなていいけど。政策的な手当てなしではビジネスだと壁や差を撤廃しするの難しいものね ベラ:そうですね 佐藤:分からない世界だから壁を作って嫌な者を排除するのはし易いからね。じょじょにあと何世代か過ぎれば、階層も崩れちゃうのかもしれないけど甘いかな。今は移行期だから。 大学3年生はダブったけど大学の中に居るより社会勉強を沢山してしまったと。ダブったというよりは休学して南米旅行した感じだね ベラ:まあそういうことですね! 佐藤:社会勉強して自分のアイディンティテーを調査したがレポートは書かなかったとふふふ ベラ:書かなかった自分の中に 佐藤:余った時間でヨーロッパには行かなかったの ベラ:ヨーロッパはチョコチョコ単発で2週間とか、そういうのでピンポイントで行っていて。 佐藤:学生時代に沢山行っていたんだ ベラ:そうですね割と、それでもそんなに多くは行ってないですね、行くようになったのがだいぶ後になって。20代のときは年に3回ぐらい。けっこう向こうにも友達が増えて、旅費さえあれば 佐藤:寝る所と飯ただ、みたな関係が出来てしまったと ベラ:ふふふなんとなく段々ネットワークが広げることができて、それでだいぶ行けるようになった、20代のときは 佐藤:行けば友達泊めてくれるし 自由に部屋を使わせてくれるような感じがうまれたと ベラ:20代後半から、丁度南米のときは全然まだネットワークも無いし。単独で行くしかないという感じだったんです。 父親に会いに行く 佐藤:そうか。ここまでの話の中身だと 大学3年生までだよ ベラ:あそうか ふふふ。そういうのがあって、また大学も戻ってきて。ディプロマをやっていくんですけど。ディプロマの内容は自分の・・・あと一点あるんですけど一回父親に会いに行くんですけど。2ヶ月3ヶ月ぐらい。 佐藤:それは何時ですか ベラ:2年生か3年生 南米旅行と 同じぐらい 佐藤:そのとき自分はベネズエラのことをどう思っていたの、どういう印象だったんですか。10才で日本に来てはほとんど忘れちゃうよね、10年経っていたわけだし。22才ぐらいか。青春している時期だし日本の記憶の方が大きく成っていただろうし ベラ:おっきですね、ちょうど人生を振り返ると半分半分ぐらいなんでちょっとタイミング的に 佐藤:産まれた国に行ってみようと ベラ:タイミング的に行ったらなにか面白いかな〜と思って、行ってみて。で父親に 佐藤:いきなり殴られたとかですか ベラ:いやいやいや。全然、もう着いたとたんもの凄い歓迎で!親戚中が集まって。もの凄い人数なんで。ベラ家が。 佐藤:ふふふなんでそんなに一杯いるの ベラ:マフィアみたいな感じで 佐藤:あそうなんだ、元々どこに出身なのベネズエラの人なの移民なの ベラ:元はイタリアとフランスで。ベラって名前はコルシカ島が多いらしい。そこのルーツなですけど 佐藤:ベネズエラにベラ・マフィアが出来ていると、そんなに濃い集まりでどどっと来ちゃったわけだ、 ベラ:日本から来たって言うんでもの凄い人数が集まって。 佐藤:もの凄いってどにぐらい ベラ:50数人 佐藤:そん〜んなに!一気に来られても名前覚えられないよ ベラ:親戚の名前覚えられない!レストランぼんと貸し切ってわーっと大騒ぎですね。 佐藤:いきなり何を喰うんですか豚の丸焼きですか何が出て来るんですか食いものは ベラ:牛を一頭 佐藤:牛一頭潰して喰らう!?!その場でとさつし血抜きして皮はいで焼いてくらう! ベラ:そうですねそういう感じです 佐藤:豪快だね ベラ:それが昔から家族だった、ちっちゃいときの記憶、お祖母ちゃんが 佐藤:ゴットお祖母ちゃんが仕切ってみんな!!牛潰して喰うぞとふふふ ベラ:ふふふそういうのがあって 佐藤:それは一日では牛は解体出来ないね、大騒ぎだね ベラ:大騒ぎですね。子供とかもきゃーっと大騒ぎですね〜 佐藤:3日三晩呑んで歌って踊って、そんな歓迎されると思ってました ベラ:思わないかった 佐藤:ビックリしたでしょう ベラ:ビックリですね 佐藤:目の前で牛潰した焼いちゃったよ??ふふっふ ベラ:だし、もう2ヶ月間のスケジュールが全部ビッシリ決まっていたんですね。ここ行ってあそこ行って誰に会うとか。 佐藤:御神輿に載っけられて連れ回されてしまった! ベラ:自分で動きたかったのに全部決められていて。 佐藤:口 あいたままでね ベラ:そうですね2ヶ月過ぎてふふふ 佐藤:2ヶ月間も なにやったの親戚廻りですか ベラ:そうですね親戚廻りだったり、色んなジャングル、アマゾンに行こうとか。色々ですね。 佐藤:ベネズエラからアマゾンって簡単に行けるの ベラ:そうですね割とオジサンが (カラカスの建築) 佐藤:人口はどのぐらいいるの ベラ:2千万人ぐらいです、大きさは日本の1.5倍から3倍ぐらいある。 佐藤:人がぱらぱらって感じがするね ベラ:なんですけどもう8割が都心に集まっているんですね。一応石油が採れるようになって60年代に。いきなり農村部から都市心へ大移動みたいな、いきなり都市化が、近代化が進んだんで。カラカスの町のおもしろいところは70年代に一気に出来上がった建物、町なんで。 カラカス ねっとより 佐藤:モダニズムの建築だらけなんだ ベラ:そうですね。 佐藤:学生が同じ模型を並べたみたいな町が単に古くなってしまったようなもんだ ベラ:そうですね。それがちょうど僕が小さい頃すごく綺麗だったんですね。モダンなミースだったりコルビュジェだったり影響を受けた建物が一杯在って。田舎に行くとコロニアル建築なんですけど。カラカスは完全にモダンな町で。当時70年代一番カラカスが栄えてて 佐藤:近代建築のイズムだけがそのまま残っているんだ ベラ:そうですねそれが90年代にいくと、そのまま何の発展もなく何て言うんですかね、手も入れてない、20年経ったモダニズムの建築がこう、本当に荒廃したモダニズムの建築がボワーット在って、それはそれでまた力強いんですよね。汚れきったスラブの木口見えているですけど。全部雨だれでダラダラに汚れてるのが、またこう格好良くって。そんなのを見ながら。 一番確認したかったのは自分が漠然と思っていた造形の何て言うんですかね、美学的な感覚っていうのは、基本的にそれをいかに共有するかというのが、何かを作る上では大事な。 佐藤:自分がどのような造形に反応して、自分の造形の源泉を、造形を生み出す感情の源泉はどこかと、そこを発見したと言うことでしょう ベラ:そうですねそれを父親に会いに行って。彼の仕事をちょっと見ようかなと。 いうのが一つの目的でもあったのでずっと1ヶ月ぐらい付いていたんですね彼が。弟子みたいな感じで。ふふふ 佐藤:お父さんはどんな彫刻を作っているのデカイの ベラ:そうですね 佐藤:素材は石ですか ベラ:色々ですね、基本的には金属 動く金属の彫刻を作って、それを重ね合わせて何か音を出したりとか。そんないわゆるキネテックアートがベースで。そのまま延長ですかね。で徐々に建築に何かアタッチメントをしていくような彫刻に変わっていっている段階でしたね。で、そんなのを見ながら彼の作品を見ていくと完全に感覚が一致しているのは凄く分かるんですね 佐藤:親子だな〜ってもんで ベラ:ばっちり分かるんですねふふふふ 佐藤:俺と一緒のところに反応するなと ベラ:そういうのをかなり感じれて。それだけでもだいぶ、基本的に何も教わってないですけど父親からは。充分これは良いプレゼントをもらったんだ!なっていうのを 佐藤:ふふふふ気が付いたと ベラ:それで感謝 更に言えば それが本当に他人ともっと共有できるのかなと 佐藤:自分の造形感覚の源泉に辿りつき 他者との共有を見渡せ考える地平に立つことが出来たと。造形感は父親が作ってきた感覚であると ベラ:で会話も楽なんですね 佐藤:分かるんだ すーっとね ベラ:あまり会話しなくっても 大体分かる これって言いながら、良いねって 佐藤:言葉を介して説明せずもダイレクトに分かると 45:15 その06へ |