2000年5月27日第一回植田実さんと建築あそび記録 HOME 

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室伏次郎さんの設計 スタジオK 東京都目黒区

これはね1940年生まれ、もう大ベテラン。しつこく建築を作ってる。室伏次郎さんという建築家です。元々打ち放しのコンクリートを作らせたら、安藤忠雄なんかと一寸別な感じのとても巧いです。

この建物は何を見ていただきたいかと言うと、全部コンパージョンです。転用、モノを転用、ある機能のために作られたものを転用して住宅に使っているという。これも一つの流行なんですけど、それが徹底して良く出来ている。言って見ればコンテナを三つ持ち込んで部屋にしてるわけですね。

 下は枕木です。ここにも積んでありましたけどね。枕木を使っている。それからエキスパンドメタルを使って、これもみんなやるんですけどね。建築家なんかっていうとエキスパンドメタル。 それと外の、船で使うランプ。 後は設備配管出来るだけむき出し。隠してもいいところでも全部むき出しにして、つまりハイテック風を誇示するっていうのかな、こういうもの一つも、全部むき出し主義
枕木を徹底して使っています。

これはイタリア産かなんかのガラスブロックだそうです。普通の日本製 、国産のガラスブロックだとこのくらい沢山使うと、全体にブルーがかるらしいですね。光が。

でそれを嫌って世界で最も透明度の高いブロックを選んだということです。

と言うのは小暮さんと言って、有名なコマーシャルの写真家なんです。その人のスタジオです。

 小暮さんというのは篠山紀信なんか、目じゃないぐらい巧い人なんだけど、彼は絶対「アートはやらない、俺はコマーシャルから出発したんだから、コマーシャルしか絶対撮らない。」なぜか「篠山とか荒木みたいなことは俺はやんないよ」と言う人なんだけど、格好いい人ですね。

その隣にいるのが名前ど忘れしちゃったけど奥さんイラストレーターで、スゴク本も売れてる人ですね。それから白いシャツがとてもクールな感じて 似合うのが 

室伏次郎ですね。

勿論コマーシャルだからモデルさんも全部使う。

モデルさんの控え室からお化粧室から全て完備してます

それでね、面白いのは、これが下にあるスタジオで、これが中二階、ここに小暮さんの居間みたいのがあんですね。

このへんに控え室なんかいろいろあるんですけども、三階にあるこの楕円形はこれは食堂なんです。勿論お二人が使っている。お子さんがいないんですね。勿論質素。ところが奥さんと、小暮はお互いに「あんたんち、おれんち」言いあってるわけ。

使い方は一緒になったりするんだけど、ここは完全に小暮さんの好みで全部デザインしてる、建築家に頼んで、この一番上だけはイラストレーターの奥さんであるなんとかさんのアトリエがあるんだけども、この辺は奥さんの趣味で統一してる、徹底してやってるわけです。こことここは全然違って、小暮さんここは「オレノ家、きみんちはあそこはどうしたんだっけー」なんて話をして、それぞれ、「こっちは知らないよ」みたいな。(笑い)半分冗談でしょけどね。そういう作り方をしてる。だから大きな二軒の家が上下にバンと重なっちゃったみたいにね。 個室同士、個の住宅二つある、ぐらいに極端に言ったら 言えると思います。
 
これは小暮さんの居間です。非常階段もこういう感じでエキスパンドメタル、裸足で三階まで上がったら足の裏が痛くて痛くて(笑う)参っちゃったですけどね。暑いんですね夏はここは。でもクール、暑いけどクールですねここは。
 
これは一番上の、奥さんが注文を付けた。だから設計が始まって半年ぐらいの間に奥さんがヨーロッパ中を、元々はコーディネーター的な、コーディネーターでありイラストレーターなですけどね。

タイルとか一つ一つ彼女が見つけて来て、全部新品なんです。

でもすごいきわどいですね。なんか趣味的て、言いたくなるんですが、あまりにも全体のバランスがいいのでなかなか悪くないな、みたいな気分になってしまうし、最近の傾向から言ってどうでしょう、こういうものは、昔の建築家はこういうものは「軟弱だ」みたいなことで排してたんだけど、今は受け入れて、で建築家の室伏さんとても面白がっている。こういうのを組み込んでいる。きちんと設計している。
 
 例えば変なとこなんだけど、これ洗面所ありますね。ここ透明ガラス、でここインドから買ってきた、こんな小さな扉付きの鏡を張り付けてある。

変なオツサンが写真撮っていますが、要するのこの同じ鏡が真裏にも付いているんです。今のこっち側の写真にあったんですけども、鏡と鏡をこう裏返しに付ける。透明ガラスに。そうすると向こう側から見るとここが抜けて見えるんです。こっちから見てもここが抜けてて、その印象がだぶって来ると、ほんとにここに穴が開いてるんじゃないかと…みたいな、扉が付いた。そう言う細かいことをやって、色んなところで。彼女のアイデアだと、室伏さんが言ってました。かなり決定的な、これがないと実につまんない。洗面所に洗面コーナーになっちゃいます。回りのタイルの使い方、なかなか小憎いです。
 
これは軍用のフランスの軍隊で使っているなんて言うか 亜鉛じゃない、そういう材料を使った、ものすごく入り難そうな、バスタブなんですけど、慣れてるんですね。買ってきてズーッと使っているそうです。

小暮さんという人はずいぶん体が大きい人なんですね。まあ、こういうキッチュぽい、ゴルフのモチーフにした鏡なんて、かなり危なっかしいけれど実に巧く合ってますね。コーディネートの一つと言えば恣意なんで、でも建築空間全体と関わっているんです。

このスタジオはほんとに二種類に染め上げた合板をただ単に張ってるだけで、地下室があってあとは完全にクール、ガラスブロックですね。彼のボードが一寸置いてある。

これは奥さんのアレンジ。スゴク巧い、いいカーテンを見つけてくるなーと言う気がしたわけですけれども。こういった線が建築の、あるいは住んでる人の、私製、私的領域化してるという傾向がよく見て取れるんではないかという気がします。

カーテンというのは普通、ハウスメーカー、ここでは佐藤さんに頼んでいる御施主さんばかりでしょうからハウスメーカーに頼んでいるような方はいらっしゃんないんだと思いますけど。 

ハウスメーカーに頼んだ人は住宅を頼んだ人は、必ずカーテンだけは選んでくださいと、ハウスメーカーに言われるんです。ハウスメーカーではカーテンとか、最近は流行らなくなっちゃったけど昔はジュウタンですね。それはとても完備してる。

見本がそのためのコーナーがちゃんと部屋が有ります。あらゆるハウスメーカーが持っています。ここで御施主さんが「自分でやったんだ」みたいな気持ちを持たせないと、悪く言うとガス抜き出来ない

なんか結局「ハウスメーカーに全部決められちゃった」みたな、気持ちにならないよう、出来るだけ要所要所では御施主さんに参加してもらうというやり方があるんですが、これはもうそれより一寸ハイレベルと言うのかな、自分で世界中捜してきて、これはというものをいくつか見つけてきて、根性の中で、決めてるわけですから、建築家が建築素材のサンプルを見ながら決めるのとエネルギー的にはそう変わらないんじゃないかという気がします。

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