2000年5月27日第一回植田実さんと建築あそび記録 HOME 

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・・山本理顕の設計・・
 
これね山本理顕さんという方なんだけど、葛飾にある。道路に面してお店みたい、これ実は個室なんですね。これでいうと 道路があって、子供の個室が直にむき出しにある。玄関入って中庭という、今で言うリビングルームですよね。ここを通って個室に入ることも出来るし、ここから直に入ることも出来ます。

でその奥に家族のパブリックスペースがあって、あと主寝室、お年寄りの部屋。この奥にご主人の家族が住んでらっしゃいます。で山本さんという方はまたこれ、原広司さんのお弟子さんが多くて困っちゃうんだけど、原広司さんのお弟子さんです。

彼はまず日本のその居間を中心として、個室が付く。お客さんが居間に入っていく。これはアメリカ的な考えであってね、「何処でもこんなことやってないよ」と言うわけ。

彼は地中海地方をズーット調査して、集落調査をして、実は最も一般的は形は、個人がまず社会に対して直接開かれてる。そして個人というチェックを経て中に入ると始めてそこで家族の、共有スペースに招き入れられることが出来る。選ばれた人ですね。図式的に言えばそういうことです。

例えばそういうことをやってみたらどんな住宅になるだろうか、しかも住み易いだろうか、どうだろうか、ということで作り出したわけですね、こういうプラン。基本的にまず、個室が社会に開かれてる、その中に中庭がある。というのがこの人の形です。

どうして彼がリビング中心の住宅に反発したかと言うと、彼はね横浜の薬局の息子なんですね。今でもお母さんが薬局やってらっしゃるんだけど、お店やっている。

薬局屋さんそんなに忙しくないし、でもお客さんが何となくやって来るお店があるとその奥に自分たちの部屋があるんですよね。4帖半とか6帖との。

お客さんが声かけるとそこから下りてきて、お煎餅をボリボリかじりながら下りてきて、目薬一つ売ってくれたりするわけですね。そこで食事もするし、親しいお客さんはそこに上がってもらう生活で。

彼は芸大の人なんだけど。芸大の先生とこに行ったら、まず居間に、サーどうぞーって居間に通され、そこでお話があって それから「みなさま食事が出来ました」みたいな、みんなぞろぞろと学生が食卓の方へ行ってね、食事を頂いて、皆さん、又コチラへどーぞー(笑う)、また居間に帰ってコ−ヒーかなんか飲んだりして ウィスキー呑んだりして、それで「あの君は最近どうかねぇー」。

ああいうの何で恥ずかしい様な、というような具合の人なので、「僕んちは薬局なのでそんなの出来ないよ」みたいことを元々言っていた人なんです。それは一つの彼の説明なんだけれど、本当はもっといろんな計算した人なんだけど、そういう住宅を勿論作ってます。

 さっきの居間に当たる所は半屋外ですね。こういうスペースに成ってます。だから玄関も個室と同じ広さなんですね。だから面白い使い方がきっと出来るかもしれません。
 
これお風呂とトイレです。ここと同じように別に切り離してあります。過激に切り離してます。

個室ですね。ここから上がってトイレ。

あの昔の都市型アパートもっと平たく言えば木賃アパートとプランが非常に良く似てます

個室が有って昔はここに井戸がある。共同洗面所があってトイレ共同。ああいう作り方というの実は、あれを一軒家にしてしまうと 意外に住みやすいんじゃないかということ。意図が有ったかもしれません。これはたまたま見学会があり人が一杯いるわけです。

 それは主寝室だけは個室と言ってもかなりちゃんと奥が深くて、ゆっくり休めるか…説明であります。

これはこの主婦が一番働いてるわけですね。この奥の人の面倒も見なきゃいけないし、おじいちゃんの面倒を見なきゃいけないので、一番休める個室でもあるよう強調して作っています。
 




これは岡山にある同じ山本理顕さんの設計した住宅です。これは農家型です、言ってみれば。

これは玄関が 門がここにあります。全体囲われてます。門があって、門を入るとそれぞれの個室。親子三人の家なんだけど。個室そこに入って台所に行く人はそこから台所に行く。トイレに行く人は行く。これ結局何かと言うとね、これも必ず、昔だったら動線的に全くだめですよね

第一雨の日どうすんだとか、(笑う)直ぐそういう話がでてくんだけど、僕は雪の日は最高だと思いますね。だって個室に入ってる時間、大切にしてしかも、今だったら個室に飲み物も自分の部屋に持ち込めるしね。問題はトイレでしょう。極端だけどね。

お母さんは食事もしなきゃいけない。でも歩いてるから気にならない。そんな距離はないわけだから。如何にむしろ三人がね。お母さんもお父さんも息子んもここに直ぐ手を洗いに行ったりなんかしないで、ここでじっくりと腰を落ち着けて本を読んだり、考えに耽るためには、実はこういう住宅というのは結構良いのではないか

でもそれをものすごくはっきり図式化しちゃう。この人はね、容赦なく図式化してしまう人ですね。ほんとはもう一寸ここまでやんなくて良いんじゃないか。もう一寸こう、使わなくても良いから、何となく砂を、此のへんに砂をあっさりと敷いてくれるとか、ようやるんだけどね建築家は。この人はね、バンと切ってしまう。とても面白いデザインです。これは最近ね、この人は実はそういう人なんだと良くわかったわけですが。
 ここから入って、これが共通の玄関でここを入ってそれぞれの縁側に続いて入る。

精神科のお医者さんで、彼に聞いたらもう全く満足されていて、その後自分の医院も作っています。

自分のもう一軒家を作りたい。冬、そこに隠れる様な家を作りたい。ただ問題はね、酔っぱらって帰るとこれに頭ぶつける(笑う)、それだけは問題だと

 割合におっとりとした生活空間が、これは先生が気に入って、此の住宅作った後にディケアー。老人のための施設を作った。ここではむしろ何にも仕掛けは無くて、ここでは明るいスクリーン。これは彼がデザインしたスクリーンなんだけど、それを全面的に扱ってとてもこー、一日ここであのーお年寄りがゆっくり過ごせる、スペースを作ってる。

つまりこれは巨大な居室でもあるわけですね。共同部屋なんだけど個室である。如何に長くここにじっくり居られるかということを、この人は考えているんじゃないかと思います。
 

これは千駄ヶ谷にある同じ山本さんのハムレットという、4家族住宅これ又明快図式で いち にい さん しいと、親の世帯、子の世帯、その兄弟の世帯、孫の世帯4世帯が、親族が全員各階に別れて住んでいる

全体は工場みたいなストラクチャーでつないでましてね、こう工場って感じなんですけども。ただ面白いのは例えば3階の子供達は離れた所に個室があんですね。また例によってブリッジを通って、自分たちの部屋に行く。でね下の子供達2階の子供達もブリッジを通って、この真下に子供部屋があるんです、要するに多世帯の子供達同士がここで交流するようになる。だから垂直関係では世代で繋がっている。だから子供達は一緒に遊べるように、ここにサロンもあります。贅沢過ぎますけれども、そういう形でつまりどうやって家族を、パズルで組んでいくか、ということをやった一つの回答ではないかと思います。


れ埼玉大学。山本さんという人は最近住宅だけじゃなくて、デッカーイ、巨大な施設大学を作ってるわけだけど、つまりこれは如何に図式的かと、明快過ぎるほど明快なんですね。ここに巨大な教室をドンドーンと、ただ二つ並べてるだけです。その真ん中に研究室棟、いろんな実験棟なんかを中庭におくという。これは設計が次々と例外が出てきて大変だったらしいけど、とことんシンプルさだけで、もう図式的にしか見えないくらいのシンプルさを貫き通した、キャンパス計画です。

これまー住宅じゃないですけどね。あのー一寸飛行場のウイングみたいな感じなんですね。ここに大きな数字が書いてある。教室の何番ゲイトに向かってこう、歩いていくみたいな感じで。まー未来に飛び立つわけですからね、若者は。これは看護学校。埼玉県で始めての県立大学です。埼玉県としては看護という特性でもって、一発やろう…ということでした。

ここに二つ長いウイングが続いてまして、まさに飛行場から飛行機が飛び立つような…その間に庭がこう作ってある。庭の中に実験室が入ってます。

一目でどういう構成になっいるかが解ります。まーだからこの建築は、理屈をキチッと形にしてみせるという。今こういう建築が一方ではスゴク求められてるような気が僕はします。
 
これは同じ建築家で、やっぱり似てますね。これは函館に新しく出来た。函館未来大学。

函館っていうのはかなり落ち込んでいて、ここで函館市の生き残りをかけた大プロジェクトであります。

もー実に単純なんです。今の埼玉大学の比じゃない。ほんとにこのぉー、同じグリッドで四方を全部出来てる。全体が。


 ここまでやって良いんだろうかー、みたいな。これで人間的と言えんのかぁー、みたいなこと言いたい人いるかもしんないが、

とにかくそういうことお構いなしに、全くのプレキャスットコンクリート、工場で作ってきたコンクリートをダーッと連鎖して階段状に、研究室棟を作ってそのテラスの部分を学生達が自由に使うというスペースを構成してるわけですね。 

一つかなり大きなものでも、あれこれあれこれ一寸優しい家の形にしたり、ここは一寸曲げてみたいなこと、絶対この人はやんない。できるだけ要素を単純化しようとする、でもいわゆるモダニズムの再評価とは一寸違うような気がします

 これは発表されてるかな。これね、見上げた所なですけど、正方形グリッドで、建物、キャンパス全部つなげて、おおーきな屋根をかけただけ。









 これは妹島さんかな、まー・・だから柱と柱の間にこういった寸法の決め方、二つか三つのバリエーションで全部決ちゃう。

ここもそうですね。ズーツと。それでどこまでキャンパスが作り出せるか、実験のようです。

一つは山本さんみたいな人が、出来るだけ建築を単純化する。そのためのテクニック、技術をどういうふうに蓄積するかという、そういう人が山本理顕です。


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