ことば悦覧in 神奈川大学 2009年10月29〜11月01日  home    

 学生 小金丸信光 村上敬祐  長谷川明  坂本友里恵 杉山聖昇   

 社会人  丸山美紀・新田有平 本間義章  松野由夏 
 番外編  松田朋春  

  丸山美紀新田有平さん マチデザインにて 29〜30日 真夜中
 その(01 02 丸山さんについて) (03 04 新田さんについて)
    (05 06 07 色々語り)   (08骨董コレクション) 

 その08

  (新田丸山コレクション) 

佐藤:骨董品の話 第5部です
丸山:第五部
佐藤:止めて寝ますか、どっちでもいいですけど、今何時でしょうか
新田: (am)2時ぐらい

佐藤:じゃー3時に寝ましょう
丸山:はい  
佐藤:せっかく持ってきていただい品物の話を

丸山:形式だけじゃなくって物
佐藤:説明していただいて、並べてから
丸山:これは、我々の、古い建築技術とか、こういう古い建具とか
佐藤:出して並べてみて、写真撮っていいですか
丸山:ああどうぞどうぞ

佐藤:これは金物じゃないですか
丸山:これ興味があって
佐藤:飾り金物も、これはなんだ

丸山:集めているんですよ
佐藤:どこで収集してるんですか、骨董屋さんかな
丸山:骨董屋さんとか、どこどこで買いましたよと

佐藤:これ何
丸山:開けてみましょうか、こういう昔の金物って今無い感じで面白いんですね、これペタってくっつけて、ぱかって開く、素材も真鍮の
佐藤:金物を一杯集めているわけね、ちゃんと写るか分からないけど撮ろう、これらみんなそうじゃん、こんな物が売っているんだ

丸山:物もいがいと面白いですよっていう
佐藤:形がね、京都には建具とか古材とか一杯あるって言ってましたね
丸山:京都は行きたいですよね〜
新田:行きたいですね

佐藤:僕の名前を言うと集まってくれるから
丸山:じゃー誰かの家に泊めてもらおう
佐藤:ああ泊めてくれると思うよ、
丸山:皆さん京都のどの辺なんですか

佐藤:おれも初めて会ったばっかりだけど、皆さんっていっても10数人だけど、東山の裾野あたりから北山のあたりが多かったね、東側が多いね。西の方は一組しか居なかったね。これ全部手作りじゃないですか

丸山:そうですよ、そうです。
新田:そういうのが、いいな〜って思うんですよね〜
丸山: 今だからもう〜技術的にはちょっとむずかしいって言うような、
新田:だから高いんですよ

佐藤:高そうだ
新田:当時は安かったと思うんですけどね〜、今は 何かこういうのが似合うような設計、こういうのが付いてもちゃんとバランスがとれるような住宅を設計したいな〜と思うんだよね。付けるかどうかは別として。

佐藤:茶室を設計していた建築家は居たけど、新田さんのいう仕事はむずかしいよね、復元とも違うし、
新田:復元というかまあ、こういう物に負けないくらいのっていう意味なんですけども。
丸山:何かハリボテみたいな物じゃなくって
佐藤:これは 瀬戸物か
新田:陶器じゃないの

佐藤:陶器だね
新田:金属の上に釉薬かけた
佐藤:七宝焼みたいにだね、そうか〜、よくこんなに綺麗に並べたね芸が細かいね〜
新田:細かい、昔の日本人は本当凄いと思うこれ見ていると。これももう一種類ずつあって お金があたら買いたかたんですけどね〜。お金が無かったからこれしか買えなかった。
佐藤:こういうきめの細かい感覚って無くなっていない と思うけどね
新田:でも僕らの周りに見渡してみても設計やっている人でこういう

佐藤:森田さんという人が言っていてけど技術が在ることすら知らないので図面に描けないっていっていた
丸山:左官の
佐藤:左官技術の事を、技術的なことや材料など知らないから、設計図に描きようがない、金物も同じだろうね。真鍮でこういう金物作れと言っても、何て表記したらいいか分からない。

丸山:粘度でつくるかみたいな
佐藤:どうやって作るのか作る方法まで書いておかないと、技術が途絶えているわけでしょうから
丸山:そうなですよね、まだかろうじて作れる所って在るんじゃないかな〜って思ったりはするんですよね、完全にもうあと数十年とかで途絶えちゃうと思うんですけど。
新田:たぶん問題は深くって、知らないっていうよりも、興味がない

丸山:知らないっていうよりも感覚がもう完全にモダンな感覚になっちゃっているから。見たことがあっても特に興味が誰も持たないというか
新田:何ていうの皮膚の感覚みたいなの、こう机があったときに、この角っこにこういう感覚が、こういうふうには出来ない。こういう感覚なんだけどっていうのが無いんだよ。キット。思うんだけどね。
丸山ピン角
新田:そうそう、ピン角。それしか分からない、知らない。ピン角そうじゃなくって、ここのこう何かって言うのが たぶん無いんだと思うんですよね。幾つか理由があって、ピン角でもよくなったんですよね。建材が丈夫になったから。昔の建材はたぶんボロイからピン角にすると、ぱりんといったと思うんですよ。だからぱりんといってもおかしくないように ここに予め模様を掘っておくっていう文化があったんだけど。今はそんなことしなくっていいから、ドンドン廃れていったと思うんですよね。

丸山:逆に今やるとそれがフェイクになっちゃうから、必要無い物を完全に装飾の為に意味がないけれども、高級感出すためにやるっていうくらいな。事でしかなっていないっていう。 それでもピン角って指定するのはまだましだと思うだけど。この感じっていうかそういう発想がもう既に無いっていうところで、こういう世界とはたぶん断絶しちゃっているんだろうと思うんですよ。

佐藤:これはむずかしい話だな〜。なんて言ったらいいんだろうな〜、こういう物が持つ質に建築の質を上げることによって建築家が持つ能力を万人が受けるって、むずかしい。それを落とすことで受けることが出来る豊かさもあるじゃないですか。これを懐古的に語るのか、この物から何を学び発展させるのか。どううふうにこれからつくる建築、誰でも王様!金持ちの別荘に使うような金物を使うってなかなかむずかしいな〜て、よく分からないな〜これは

新田:これで何か社会に提案しようつもりなくってこういうのが良いと思って今は集めてますみたいな、話なんですよね。
佐藤:それはいいんじゃなですか、手作りで隅々にまで愛情込めているとは作っている 人は当時考えてなかった、この質が普通だったと思うから。普通に作っていたんだと思うだけど。

新田:これも面白いんですよ、これ。
佐藤:これを無くしたことで僕たちは何を手に入れたのかっていう
新田:これ鍵なんですけど、魚なんですよ。何で魚かって言うと、
丸山;目が開いている目を閉じないから、金庫とか

佐藤:ああ そうかそうか
新田:見張ってるっていうことなんですよね。つまり装飾に意味があったんですよ、我々は意味のある装飾っていうのもう、無くなっちゃってますよね。そうすると何かぺらぺらな感じがするんですよね。我々の社会もぺらぺら
佐藤:モダンデザイン発生史、 形を作り出す根拠が共有できてないって話かな
丸山:だからやるんだったら、出来るだけデティール消すみたいなピン角か目地は消すか枠消すか。出来るだけ細くするかみたいな方向にしか今いってないから。 それ以外の方法は細部を作る方法にあるだろうって言うのがあて。逆にそういう処に手を掛けることで、建築に対して使う人もそうだし、作る人も情を込めたいっていうか

佐藤:将来のお二人の建築に対する、5年後こういう建築を作っているよっていう課題の表明だよね。今の話はね、これはね。

僕にはよくわからないな〜。これをやる質を再度求めることによって、どういう建築が産まれ来るか

丸山:そのまま付けていたら、ダダのレトロ趣味みたいな
新田:でもほっとけば、さっきの話だけど ピン角で目地消してみたいな建築に陥り易いじゃないですか。今の世の中だど建築志すとそうなるじゃないですか、それを乗り越えるためにも、
佐藤:世界の潮流があるからどうにもならないって気がするけど。20年に一回遷宮する伊勢神宮みたいな事になっちゃうじゃないですかそれって。20年に一回遷宮することで技術を親から子へ伝えられるために遷宮する。非常に狭い処で生きのびる技術、営々と引き受け続けられるていう世界になりわしないか。っていう感じもしないでもない。 これはお二人が持っている課題だから、こんなになりましたっていう事を取り合えず見せてもらわないと、よく分からないな〜、やろうとしている事が。物の質が良いのは解るけど。これって良いけどどうするのよ〜これを建築の

丸山:ケラケラ笑う
佐藤:これを建築のスケールにしたらどうなちゃうのって想像は
新田:付かないですよ
佐藤:付かないから、例えばネツケとか一杯あるじゃないですか、刻みタバコ入れるタバコケースだとかに煙管に鍔に色々細工を凝らした近世の物達があるじゃないですか。ああいう品々は面白いよね

新田:ネツケ集めてもいいんですよ 使いたいんだよねこれを。
丸山うん
佐藤:設計してその建築に付けるまでは毎日さわり続けて考えてみるとか、でいいんじゃないですか
新田:今の建築には付かないんですよ、やっぱり
丸山:バランス的にね
新田:バランス的に

丸山:さすがに今のこういうオルフィンバリの建具にこれ付いてると異常ですもんね。
佐藤:異常さを繋いでいくことが必要なんだから、異常なままを見てて良いんじゃないかな
丸山;これは異常だっていう
佐藤:バランスを元に戻すのは毎日異常を見続けないとさ
丸山:うん
新田:だからこういうものは昔は沢山在ったのに、知らず知らずの内に、こういう物から我々切り離されてるじゃないですか。それはやっぱり我々の住宅がさ、こうなったから、だろうな〜って

佐藤:それは政治の問題だよね、日本の在来の木工技術をつぶして、アメリカに車工業品を売って、買っていただいて、その代わり米材を一杯輸入して、在来工法を、へなちょこ2バイ工法に代えて 日本全国を覆い尽くし、大工さんが消えてしまった。当然大工さんと共に暮らしていた数々の職人さんの中の飾り職人んも消えて無くなると。政治が起こした結末だから。社会全体が、そういう意思でぺらぺらな物を選択してってことだから。職人の末裔たちは工業製品・車売れなくなっって自己責任で脅かされて派遣切りに遭っているわけだから。このような飾り金物と1個作り、1月掛かると、それでは飯は喰わせられないと言う話になって、プレス機械で押して安く作るほうが、いいみたいな話との比較だから、どうしてもそうなるんじゃないかな。

新田:我々が今住んでいる住宅はこんなんだから、こういう世界とは今縁が切れちゃっている。
佐藤:それは新田さんがそのような課題を設定してホームページで明らかにして、問題提起してくれれば、提示しないと分からない 事や動きは始まらないよね

丸山:町並みの話と同じで
佐藤:ここで喋ってても、おれが取り合えず文字起こしするから、ちょっとダケ読む人が居て 興味を持ち始める人は出て来るかもしれないけど。やっぱりもうちょっと社会化する方法を模索してみると、

新田:骨董市とか行くと 高いのと安いの分かるんですよ。安いのは
丸山:みんな 型押しだよね
新田:プレスしてるから
丸山:ペラペラの
新田:ぺらぺらなんです、高いのはこれどうやって作っているんですかね

佐藤:鋳物で仕上げているのかな
新田:重くてね  
丸山:鋳物でさらに高いのは、
佐藤:叩き出した金物ね
丸山:叩き出したやつですね〜

佐藤:こういう骨董品が出て来るとは思いませんでしたね〜
新田:楽しみですよこういうの、探しに行くのが
丸山:こういうのは、時々見るだけでも楽しい

新田:この椅子
佐藤:この椅子ね
新田;あれもアンティークなんですよ
丸山:これトーネット
佐藤:これが骨董市に出てた、コルビュジェの椅子とかも出ているんですか

新田:コルビュジェの椅子は今でも売っているんじゃないの
丸山:骨董屋にもあるし、
新田:アルフレックスとかで売ってない
丸山:ああまあね

新田:これ座ったことあります
佐藤:ないです
新田:座ってみてくださいよ
佐藤:ヒックリ返らないんだ
丸山:後ろがちゃっと、大丈夫ですよ

佐藤:ヒックリ返りそうないね
丸山:ひっくり返らないし割とグラグラやれる
佐藤:軽快だね、見た目はなにか仰々しいけど、座ると意外に羽根みたい感じだね
新田:けっこ後ろに倒れますよね〜
佐藤:倒れるね〜ひっくり返るかと思うほどだけど、ひっくり返りそうない

新田:ロッキングチェアーって言うけどどっちかと言うゆりかごに近いんですよねこれ。
佐藤:これは今は秋田木工とかで作っているのかな、どこで作っているんですか
丸山:これはデンマーク
新田:トーネットなんで
佐藤:秋木でもこうう曲げ物やっているよね

丸山:そうですね秋田木工がトーネットのこれ真似て
新田:曲げ機を最初に始めたとか
佐藤:木を茹でて曲げる型に固めると

新田;これはアメリカで売られてたやつなんですよ
佐藤:アメリカまで行って買ってきたのえらい高くつくね〜
新田:インターネットで
佐藤:ネットで手に入れた凄いね〜米のネットオークションに参加してね
丸山:オークションでした、普通のヤフーオークションで

佐藤:代引きですかやっぱりふふっふ
丸山;これは知り合いが向こうに居て

佐藤:じゃー記録はここでやめましょう、課題がはっきりした処でね




  丸山美紀さん新田有平さんの記録はこれで終わりです
  読んでいただきありがとうございました。 公開日 2009年11月14日
  2014年に続く 

  文字起こし・文責:佐藤敏宏