大阪 ことば悦覧 ことば紀行 2008年5月12〜18日   home 

 井戸健治さんことば悦覧 2008年 5月13日午後 高津 ビルの5階井戸さんの事務所にて   
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その06

井戸:
大島さんとこで
佐藤:最初なに見たんですかね
井戸:大島さん処で最初見たのは櫓が4本建っていて

佐藤:ああ表紙になったやつね
井戸:大島さんが凄く佐藤さんの事言っていたので 、初めてで判らん
佐藤:判らないようね、コンクリートボックス11ですね 表紙に採用してもらった、あそこに書いた文章が評判良かった仏文の友達には(笑)

井戸;文章覚えてないですよ
佐藤:建築家が普通に書く文章。書けないから、好きな文章スタイルで書いたら面白がってくれた。その前に文化で特集してくれたときに植田実さんが来てくれて、いろいと批評してもらって 文章がうまいって書かれたけど、そんなもんかと。 建築家の文章って読み比べた事がないので、猫に小判の評価になってたけど。建築を作る時に感情を書いただけだからね。おれは何を書くかしらなかった自由に文章を書いたら植田さんに書かれて驚いたね。文章って感情をアウトプットするために書くのかと思っていたら、どうも違うらしい。

井戸:
最後の1本ですけど。
佐藤:おればっかり呑んでてわるいですね
井戸:いいですよ。全然

佐藤:最初施工会社に就職したんだよ。西宮に本社があるね。そこに入って10年間設計部にいたのね。
井戸:大阪に居はったんですか?
佐藤:東京の恵比寿の支店にいた。
井戸:東京ですか

佐藤:建築家になるとは夢にも思ってなかったんだけど
井戸:ああそうなんですか?なんでそんでまた
佐藤:居場所が無かったんだね。10年経っても居場所がないから自分でやるしかないじゃないですか。
井戸:独立したのは何歳の時ですか
佐藤:32才 建築家になるためには大学卒業して紆余曲折あって、30才前後が岐路だと思うんですよねたぶん。体力もあって無理も利き寝ないで頑張ることも出来るし。

井戸:確かに
佐藤:50才になって独立出来ないよ 、30才の頃は2、3日に寝なくっても大丈夫だったけど、今は無理だよね。今の30才前後の人は大学でPCを自在に使った最初の世代だと思うんだよね。俺が30才の時と全然存在の意味が違う。で、独立するときに建築を作るっていうことを考えると思うんですよね。なんで独立するの?。

井戸:うん 、したくなかったですか?
佐藤:したくないね
井戸:佐藤さんの作品見てたら、こんだけ強烈なもの作る人って、作らんと居られへんのやないかと思い、なにかそういうふうに想像します
佐藤:そう見えるよね おれは作らんといられないなんて思わない。そういう事はない。簡単に作っていた。作り方簡単なんだね。

そういうふうに誤読されるのが面白いと思って作っていたんだね。 寺山修司に悪影響ですよ。言葉が先にあって人が存在する。建築が先にあって建築家は存在が保証される。ああいう事を作っていると肩に力入れて作っていると思われるんだ、その誤解が思う人の思考をしめしてたオモロイんだよね。そういうふうに思われるように 作為的に遊びながらつくっていたんだよ。笑えるでしょう

井戸:スライド見せて頂いたときから、えーと思って。冗談だろうと思って、出来た写真見せてもらったら結構いいすよね〜 お世辞で言っているんじゃないけど。なんていうかプランはあざといかなと思ったら 出来たものがあざとくないですよ。よっぽど抽象的に作っている建築家の方が出来たものなんか 見えない強制力があって嫌なだなと

佐藤:
それは最初から建築家の概念のレーヤと機能のレーヤと分けて作っているので、遊べるんだよね。概念のレーヤでつくるのは実建築にならなくっても出来るけど、実建築の仕事は機能のレーヤーを重ねればできる。仕事が無かったら、その時は概念のレーヤーだけで作ったり行為をすればいい。それをやっていたんだけども 煮詰まるし概念の拡張も少なくなって来たので。自分の家をパブリツク化する建築あそびを行って機能のレーヤーも拡張するための行為をしていた。

建築を作ると機能が自動的に発生して、持続し生きている機能の方が面白くなってそちらに目が奪われてしまう事が一般的だ。その方が楽しげでもあるしね。でいつもそのジレンマに立たされているわけね。そういう戦略だからそうなる。

建築あそびのゲストの話を記録して公開したこと、その内容が面白いから。記録の地にある プライベートをパブリックにする行為は霞み見えない人が多んだよね。

運良く、悪くかな 諸事情が発生して建築あそびは できないんで、これ幸いと自分が出て行く事にした。言葉だけで繋がる空間、2008年の現在、30才前後の独立系建築家がつくりだす言論空間はどのような様なのか観察しに出掛けてきたんです。臭いや場所や顔つきや振る舞いなど身体的な具体的な事をインタビューを通して観察したいと。

観察するだけだから、感想は書かないですよ、井戸さんはこんな事言ってましたとは書かないんだよ、それを書くと読み手がそう思い込んでしまうから佳くないんで。

井戸:
フンフン

佐藤:
まとめる行為はしないで、単に話した言葉だけを文字にしてWEBに公開しておくと。やっていると面白いんですよ、インタビュー擬きをしながら記録を続ける。各人を繋げば言論空間が出来ているかもしれない。建築家的な欲望というかね、記録して何かに定着しようという事が底流にあるんですけど。

そういう事を劇的にわかりやすく現せるように成ったのはパソコン使い始めてからだね。

井戸ああああ
佐藤:本を作った事があるんだけど、お金掛かったんですよね、本作るのに。
井戸:チャントした出版社から出しですか
佐藤:いや俺が出した
井戸:自費出版ですか
佐藤:そうだね、ぜんぜん売れなかった。苦労のわりには。売れないっていうのは凄い行為だね、売れない本を作ってしまうはははは そこで本にして記録するもう止めようと。記録すうるのは面白かったんだけど。売れないから、売る場所を知らないのかもしれないんだけど。本作りは継続出来ないかったね。

井戸:うん

佐藤:売れなくっても作り続ける根性が無かったんだな。売れなくっても作り続けるほうがもっと面白かったんだと思うんだけども。本にすると売らなければいけないと思い込むんだね。近代的なストレスが溜まるじゃない
井戸:うん

佐藤:自主的にイベントはいろいろやっていたが記録してない。パソコンを使い始めたら、記録のコストが圧倒的に安い簡単で速報性にが優れているじゃないですか。これだと。これで今まで出来なかった事がスイスイ出来る!!と言うことで、全部記録を残しはじめた。 音声や画像や資料を集めて、まとめてwebに載せて置けばいい

井戸:観る人お金払わないでみれますしね〜
佐藤:おなじ内容でも字体を選び紙質を選定し本をつくると全く異なる媒体になると思うだけどね。 本に換えると全く違い意味を持ってしまう。文字にした素材が無いと加工しようがないので、取りあえず素材を集め一時加工=文字にすることに一生懸命になってしまった。本への加工は100年後の貴方にお任せ〜

井戸:どうですか、今まで何人か東京の人とかインタビューされていると思うのですけども。やっぱり佐藤さんの年代からすると、何か違うなとか ここは一緒ヤナとかありますか。

佐藤:近代の価値に囲い込まれている人と、囲い込まれてないんだけども接近しようと。判ってないけどアンチ近代を行為している人の3種類だね。目的を持って生きているので、男の人が目的主義が多い

井戸:女の人は直感的に
佐藤:直感的でもあるけども 社会的に期待されてない時期が長かったじゃないですか、周縁に追いやられて男女格差が歴然と今でもあるけど 

井戸:社会的に期待されてない
佐藤:建築界ではとくに 女性が女性を主張しないじゃないですか、女性が語る場があんまり無かったんじゃないかな。その辺の所はまだインタビューでは明快になってませんけど。女性の方の方が目的に囚われない生き方をしているような印象を受けた。サンプル数が少ないんでこれからも集め考えますけどね。

男の人は最初にどういう建築の先生に出会うかによる影響が大きいことは判った。
井戸:ああ〜
佐藤:建築家カルガモ説みたいになるけど

井戸:日本の建築家の人ってみんな 師匠は誰だれで って言うのがまずあるじゃないですか、多いでしょう
佐藤:それって境界がハッキリしているっていう事ですよね。私はこの先生に囲まれていて品質保証されて、この先生の価値の中で育って生きている。それはそうなんだけど。境界を自分で作ってはしょうがいないじゃない。歴史的には境界がドンドン消え拡張して来た世界なんだから。境界を溶融させるために俺は横断的な行為をしているし 。 近代の国民国家を脱して地球人の存在へだからねベクトルは。今後2,300年で 簡単に国民国家は消えないだろうが、環境問題やグローバルな経済・物流の動きなどと連動して国家無き人間の活動が多くなって行くでしょうからね。そこで問題も新たに生まれるんだけど 全体としてはそういう大きな動きは止まらないでしょうね。、それが大前提だよね

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