大阪 ことば悦覧 ことば紀行 2008年5月12〜18日   home 

 井戸健治さんことば悦覧 2008年 5月13日午後 高津 ビルの5階井戸さんの事務所にて   
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その08 

佐藤:ミニマムな力業やりたいことも んだけども,コストもかかるしね
井戸:衝突もあると思います
佐藤:そんな事に努力しているよりも形式の展開を考えているほうが現実にあっているし楽だ。田舎に生きているし力業やってもしょうがないでね。形式の展開を沢山つくったほうがいいので、ディテールには拘ってないね。ミニマリズムの精緻を極めるようなデティーリストではないね。それは面白いと思うし出来ると思うんだけども。現代人だからね、それは暴力的だよね。みんなホドホドに暮らせる中で実践すればいいわけであって。

形式はやりたいね。形式はおもしろいよね、人間の感情を最も抽象的に表せる。文字も似ていると思うだけど

井戸:うん、文字と書ね
佐藤:千万家のときはこれを提示すればみんな笑うだろうと。笑って先に進まないだろうと。笑う人はそれで終わるだろうが、笑わせる形式が現代の社会に内包されている。形式や機能の分解の様を提示しているんだけど笑うことでそれらが消えたかのようになる人も居る。笑いが可能性を食いつくしてしまう人も居る。プラン面白いわけでもないんだけどね 誰でも出来るね〜っていう人がいるけども、なんで出来なかったか。コロンブスの卵じゃないんだからね。やれば良いんですよそう思うなら。

井戸:雑誌で 初めて見たときに全然分かんなかったですけど、今になってなんとなく佐藤さんが今仰っていることは何となくわかりますね。
佐藤:建築が形式や機能に加えて笑えるレーヤーがあるのは面白いんじゃないかな

井戸:それはなかなか良いカウンターパンチというか。身のこなし方というか。
佐藤:笑えるけども機能的でもあるし、近代の家族制の問題を照らし出すし。多重な意味が在るからね。千万家も多様な問題を提示してて噛みごたえはるんですよ。地元の新聞で事件扱いされたので やること無くなったな〜って感じがするよ。

仕事が無くなって金がなくなったら、やりたいことが無くなるかと思ったら、そうではなかったね。千万家は2000年にできたのかな

井戸:もう8年ですね
佐藤:工事はじまるまで4年掛かったから、12年前に考えた
井戸4年ですか設計
佐藤:設計はすぐできたけど 開発許可などおりなくって、工事が始まるまで4年掛かったからね
井戸:すごいすねそれは。でも逆に言うとそれぐらいほんま欲しいですけどね
佐藤:4年待っているのは辛かったよ

井戸:ほんでも、実際の実務考えたらあった方がいいじゃないですか
佐藤:でも依頼しする人がモチベーション下がるからね
井戸:ああ、ああそうか御施さんがね

佐藤:普通は建てられない地域だからね。
井戸:市街化調整区域ですか
佐藤:農家の次男某だから建てられる。敷地150坪だったかな。分家は大丈夫なんだよね。千万家が住宅に見えないじゃない
井戸:はい

佐藤:これが住宅なのか? 揉めていたらしい、何年も
井戸:家族間で
佐藤:そうじゃなくって役所で
井戸:役所で
佐藤:申請したんだけどこれが住宅に見えないらしいだんだ

井戸:ああ役所そういう事いうんですか、住宅に見えるかどうかって、住宅って言ったら住宅違いますの
佐藤:おれもその許可基準がわからないんだけど、違うって言っていたな〜
井戸:なんですか工場とかですか

佐藤:なんじゃこれってことじゃないの 建て売り住宅のパンフに載っているような奴なんじゃないかな〜、または農家のようなもの
井戸:わかります
佐藤:あれが住宅だと思っているじゃないの。

井戸:ほんでも それは法文上どこにも書いてないじゃないですか
佐藤:書いてないから裁量権が発生するんじゃない。でもめたけど、前例がないけど許可するってことだった。前例が無いんけど問題がないだろうと。それが出るまで時間が掛かった。住宅か?論争が終わったら。こんどは残地の土地の形状論争になった。長い形状なので 残地がL字型になった。農地の残地は四角じゃなければ駄目だ論争が起きた。

井戸:それは別にいいじゃないですか
佐藤:それは駄目なんだな残地が四角じゃないと、そう言うんだからしょうがない

井戸:大阪そんもんなの幾らでもありますよ。
佐藤:それも許可する人の主観的な話なので、解決する術はない。許可行為だからね。L字型残地はだめだ四角残地ではないと許可しないと

井戸:それが判らない
佐藤:それでどうしようかってことで、長さが違って角で農作業を休めるこれが良いですよとか言い張ってね、屁理屈合戦でね。四角の土地だと何時もおなじ作業になるんで飽きるとね

井戸:はいはい
佐藤:L字型だと長さを全部変える事が出来るじゃない、長さ違うから農作業が飽きないと
井戸:そういう説明をした
佐藤:いろいろ屁理屈言っていたら。しょうがないと、それで4年かかったんだ。確認申請はあっというあに、おりたけどね。農地転用と開発許可に4年掛かった。おれにも判らない あちらの世界の話だった。

井戸:誰が申請したんですか
佐藤:発注者
井戸:図面は書いたんでしょう
佐藤:書いた、大工さんも捜さなかった 発注者に任せた。4年の間に模型3つ位つくったかな。

井戸;模型はいつも学生さんかだれか
佐藤:福島に建築系の学生いないから 漫画家の斎藤君にたのんだ・漫画書き方判ってるんだから図面を見ることができるっていうことだから、作り方を教えて。模型1こ作るのに数ヶ月かかっていたんだけども、丁寧に作るからね。何も判らないし他の模型を見たことない漫画家だからね。指示通りに作るんだね

井戸:フォトコラージュにあったあのアクリルのやつもそうんなんですか
佐藤:そうです、鋳型作って透明素材を流して作るもともやた、紙でまず作ってシリコンでめ型をつくりそこに流し込んで型抜きする。
井戸:めちゃくちゃ金掛かってるじゃないですか

佐藤:原料は高けど、時間が3ヶ月くらい掛かるね
井戸:うわーすごい
佐藤:模型はスチレンボードで作ってないのよ、厚紙で作っているから、スチレンボードは光を透すじゃないですか。
井戸:そこに拘束されるんですよ

佐藤:厚い紙を使って切り出して小口を研いで無くして、紙を磨くんだね、色も薄塗りして10回ぐらいヌルね、ツルツルに磨いてね

井戸:工芸品ですね。
佐藤:俺の作品ではないけども、学生は勉強して来てるから知っていてそれに合わせてしまうだろうけど、漫画家は建築は知らないから そういう密な作業が出来る。

球の作りたや卵型の作り方やいろいろな曲線も作れる。作り方を教えるけど俺は作らない。ノンビリ作ってもらう。組み建てる順序間違えると完成出来ない。建築を知らない人だから出来るんですよね。先を見通して見ないからできるんですよ。

知っている人は次の展開が判るから手が動きすぎで出来ない。巨大なピラミット作るときもそうでしょう、小さなレンガを単に研いで積み上げてるだけだ先は見通さないから出来るんですよ。全体を知ってしまうと人間はそこのこを出来ないと思うだよね。 俺は建築系の学生と交流が無かったので 漫画家の人が模型を作っていたんですよ。

井戸:千万家とかやっているときは自分一人で図面を書ていたんですか
佐藤:そうです、全部自分で書きました、社員雇ったことないんですよ
井戸:え!〜! 一杯建ててはるじゃないですか

佐藤:1年に一個ぐらいだから、自分で図面かけるよ
井戸:凄いっていうか何ていったら良いんだろう、みんな雇いはいますよ
佐藤:福島には建築設計に興味を持った人が居ないのかもしれない、出会わなかったね。出会った事がないんですね。一人でやっていると気楽だったし。

ワイワイガヤガヤ

佐藤:
間違い直さなくていい
井戸:形式さい出来ていればからか
佐藤:プランを間違いえたらそれは問題だけども、細かいデティルはね間違えてもね。丸いプランが四角に出来たら問題だけども

井戸:ははははは
佐藤:間違いはいいじゃないおれは形式さえ残れいいだから
井戸:それは確かにわかりますね。


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