03 人と PC による ハイブリツト行
s:本当に重要な事は、アウトプットされたものではなくって、プログラムを作ったときの条件。なにをどのように選択するかという初期設定が重要なわけだけれども、結果は出ちゃっているわけだから、ここでは。この地に建っている建築。
松川さんがつくられたプログラムによって世に出た 具体的なカタチ・結果がこの建築であるわけで、結果の内に入りて インタビューをしているわけでよね。
松川:はいそうです
s:それについて、この経過やカタチを反省してまた、新たなプログラムの作成に戻っていって、それを何度も繰り返して。目指す松川建築というのもがあればですね、そこへ行き着くだろう という話だと思うのですが。 将来どうなっていくのかは判りませんけれども、今回の条件としては先ほど説明されたような、面積と機能と関係性を与えれば、自動的にダイアグラムが出来ていって、敷地の中に収まってたという、認識でいいわけですか。
松川:ま〜・・そうですね。
s:もうちょっと違うのですか
m:このときは実装出来なかったんですけど。 今 佐藤さんがアル条件をやったら、これが定まったという言い方されましたけど。これが出来たら反省してまた設計にフィードバックするとおっしゃいましたけど。実は「それすらも この中でやりたいな〜」と思っていたんですよ。で〜
s:ここでやったんじゃなくて、これからやりたいのですね。
松川:このときは出来なかったんですよ。正直いうと。 コンピュータが僕が要求した制約条件を満たすカタチですね。 それを100案 出してくれたとするじゃないですか。それを100案 出してくれた中で、上位10案を選びたいわけですよね 僕は。そうすると上位10案を選ぶための基準というのが必用になるじゃないですか。評価基準みたいなものですね。 ここの段階では、その評価基準を与えるプログラムが書けなかったんですね
s:なるほど。
松川:それを 今後やりたくって。その10案を導き出す為の 評価基準のプログラムを組んで、その評価基準に合致した10案をさらに、そいつを人間みたいに交配をさせて・・さらに100案。
s:吹き出し わらう・・・。 「それはナイスだぜー」の データベースみたいなものを作って それをクロスさせて交流させて、やらないと上手くいかないんじゃないのですか。そうでもないのですか〜。
松川:ん〜いろいろやり方が多分あると思うんですよね。100案 出てきたら。もう何が良いかわからないけど、その100案 良い悪い、良い悪い、一個一個点数つけてあげたりするじゃないですか。そうすると当然点数が付くので、10案上位選べますよね。
そうすると その10案選ぶときに、いろいろそれを生成するためのパラメーターって必ずあると思うのですけども、10案選んだと言うことは何処かのパラメーターが良かったわけですよね、。そいうのを何回か繰り返して行くと、僕自身は何が良いのかわからないんだけど、コンピュータのほうが逆に
佐藤 笑っている
「パラメーターここが良いヤツが点数がいい」というのを計算してくれるやり方も一方ではある。 予め凄く沢山の母集合とかサンプルが無いと良い物が作れない訳じゃなくって。、良い物を作りだす為の評価基準って沢山あると思うんですよね。 それを将来、ま 次か・・次か 判んないですけど。一個ステップとしてはあるなと。
s::それは何て言うのかな。経験的いわせてもらうと、建築関係者が学会を作ったり。協会を作ったりしますね。 知のストックしてきたと思うんですけど。 パソコンの中に入ってなくて。 建築的 アーカイブが無いので、個人個人の脳味噌の中に入っている、体験だとか経験だとか言われてしまったものが運用されているんだと思うんですけど。 それとの違いは どんな感じなんですかね。
松川:違わないというか。むしろ こちらの方が信頼出来ますよね。
佐藤 笑う
m:ある意味、建築家が言う 経験って怪しいですよね。その経験が第三者に伝えられないから、色んな処で問題が起こるのであって。これだけ真摯にアルゴリズムを組めるということは、要するにその思考回路を外部化している訳なんですよ。ということは第三者に説明 できうる。
s:なるほどね。
松川:第三者に説明 出来うる 思考なんですね。
電話が鳴り出す
建築家が経験と言ったときに その経験というのが、その人しか判らない経験が多分に多くって。御施主さんには松川であるかどうか、 それすらも判らないような経験で、ここがアールなのか平面なのか、。「僕はアールがいいと思うんだよ」と・・
s:笑う なんでアールがいいんだと応えられない。 こいつ パソコンはモット冷静に判断出来るかもしれない。という状況ですね。今の段階では。
松川:「だめだ」とも言えないし、「いい」ともまだ言えないので、まだどちらが良いのかも解らないけれども、将来に向けて試行錯誤してる段階。
s:それはなにか 僕は嘘くさいような気がするんですけど。 やっぱり人間が生みだしたパソコンは、コンピュータが人間の歴史的な積み重ねをアッという間に計算し尽くし乗り 越えてしまうようには思えないんですけどね。 オヤジの僻みとしてはね〜 (笑)。
松川:別に経験を全て否定しているわけでは なくって、こういうコンピュータプログラムも経験の内に積み上がっているはずなので。さっきも言いましたけどハイブリットだと思うんですよね。過渡期なので。
s:そうですね
松川:全部コンピュータに任せている訳じゃなくって。コンピュータには判断が出来ないようなところを人間の経験でその都度アドバスして・・。
s:取りあえずですね、現段階で 先ほど「良い」とか「悪い」とかで選ぶと話されたじゃないですか。それは。
松川:これは 凄くアナログでやりました。一個一個。
s:自分でね 判断し積み重ねた。
松川:このシステム。コンピュータプログラムが無かったら、100案作るのが凄く大変だったと思うんですけど。この建築に至までは実際100案以上作って。
s:自分で見て 「いい」 とか 「わるい」とか判断した
松川:一個一個やりました。
s:それを判断した基準は何だったんですか
m:それは一言ではやはり言えないですよね。普通の建築と同じで一個建てたら一個建たないような状態。
s:とうことは松川さんの内でも まぜこぜ状態。ハイブリット状態でそれが段々段々、コンピュータと連動していって、自分の頭の中が整理されていったり プログラムもクリアーに成っていったりと・・・ 同時進行。、プログラムも整理され、洗練されていくと。
松川:そうです。洗練されていくと思います。
s:そのときに「いい」とか「悪い」とかというのは非常に難しいというか、何に向かっていいと言っているんですか。
松川:それはその都度違うんじゃないですか。
s:違っていいの 良いと悪いとは、その都度違ってよろしいと。
松川:全然いいと思います。それは違う方が自然
s:複雑なやり取りというか、自分の中での応答の仕方というのは 千年とか100年とか10年とか掛かる思考の中身が、1時間とか2時間でコンピュータと組むことによって経験出来る 可能性があるかもしれないということですかね〜
松川:それはそうだと思いますけどね。「同じような経験が出来るか」と言われると違うと思いますよね。違う経験ができると思います。
s:過去のコンピュータが無い時代から これからは コンピュータという事態と一緒に生きていくわけですよね。 道具が無かっただけですから、知のストック関係は同じような気がするんですけども。 あまりその話をしていると、使わせていただいているこの建築の話しにドンドン行かなく〜 なってしまうので。 それで出来上がったようなカタチに決まったと。
松川 笑う
松川:あとはご覧になって(笑)いだだいたとおり。
s:アレゴリズムを整理され そのなかで作って。提案時には 高低差、天井や床の高さってバラバラな わけですよね。それはどのような経緯で整理されたのでしょうか。
松川:高さの関係ですか。高さは・・。その辺はあまりロジカルじゃないです
佐藤 大きく笑う
松川: 最初はですね。全部面積 当然変わるんじゃないですか。体積 同じにしていたんです。各部屋の体積が同じで、平面の面積が違うので当然 各領域の高さが凸凹になるじゃないですか。狭い部屋ほど天井が高くなる。そうすると部屋の質は当然かわりますけど、部屋の価値。ボリュームとしての価値は等価であると。
s:設定したインターフェース集合内では 全てのボリュームは等しい。建築的価値であると。
松川;なぜそれを選んだのかというと、全然ロジカルじゃないですけどね。
共に 大きく笑う
s:単純で判りやすいですよね〜「ぜんぶ同じです」。何が?「体積です」と。どの部屋も平等ですと。
松川 大笑い
s:なにかを作り出す初頭として 良かったんじゃないですか。
松川:なにか全部違うと、比較対象が生まれないので、何かを律して。
s:詩作において 文字数を決めてしまえば無限の表現が可能で、判断しやすいように。同じ体積で、無限の可能性を提示すると。高さもバラバラにならず、床も凸凹に成らずというのは。
松川:それは単純明快に予算の問題で。
s:予算の限界で平らにしてしまったと
松川:そうなんです。そこはあんまり強く言えないところで。
s:それは 現実社会の中での 松川建築の具現化過程の問題であって。異なる位相では 思考して来た経過があれば良いと思いますが。 高さが違う案とかモデルは作ってあるんですか。
松川:はい、それを今お見せします
s:その案は発注者の方々にも提示し 見ていただいたのでしょうか。
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