Road to FRANCE(その2)

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■■ 日本vsウズベキスタン(国立競技場) (1) ■■

  9/7    日   本 6−3 ウズベキスタン [東京/国立]

本日9/7(日)のPM7時、対ウズベキスタン戦。ついに幕が切って落
とされる。電車だと帰りの最終に間に合わないため、車で行くことにした。
途中でオージを拾う。オージの出で立ちはジーパンに緑のTシャツ。

  「おいお〜い、青いシャツ着ようぜぇ」
  「いいんだよぉ、これで。関係ないさ。」
  「君が代唄おうっ!」
  「いやだよ恥ずかしい。俺は共産党なんだよ(笑)」

どわぁ〜・・なんてこと言うんだよぉ。高まる気持ちを殺ぐようなセリフ
吐くんじゃないよ。ったく天の邪鬼だなぁ。
今、今日応援しなくていつ応援するって言うんだ。いや応援じゃないぞ。
ともに戦うんだよこれから。苦節10数年、共に歩んできたんじゃないのか。
まぁいい。応援のスタイルも人それぞれ。でも俺は歌うぞ君が代を、あらん
限りの声を張り上げて・・・

途中のCOCOSで昼食。げんを担いでカツ丼でもと思ったけどメニューに
ないのでネギトロ丼を注文。 オージは目当てのハンバーグがメニューから
消えているのでさい先悪いと頭を抱えていた。(風邪を引いて頭も痛いようだ)
食事を済ませて13時にCOCOSを出る。

しばらくは景色も良く快適なドライブ。一時サッカーが頭から離れオージと
談笑するが、しだいに空模様が怪しくなってきた。

  「今日は雨中決戦になるのか?」
  「雨は日本にとって有利なのだろうか?」
  「ウズベクは雨での試合経験が少ない?」
  「いやいや雨が降らずに蒸し暑い方がいいんじゃないのか?」

やはり話題は今日の試合にすぐ戻ってしまう。
日本に有利な方に働いてくれれば、風が吹こうが雨が降ろうが関係ない。
天をも味方につけようじゃないか。

新青山ビルガレージへ駐車。30分250円。やはり田舎の駐車場に比べる
と高いが、国立まで歩いていける距離。近すぎず遠すぎず丁度いい場所。
途中サンドウィッチ店SUBWAYで腹ごしらえ。ここでチャカポコと落ち合う。
チャカポコは青いTシャツで現れた。かなり気合いが入っているようである。

  「君が代唄おうっ!」
  「おぅ! 唄おう!」

チャカポコは国立へ向かう足も早い早い。

  「ちょっと待ってくれよぉ」(笑)

開門の16時を30分程過ぎた頃だろうか国立へ到着。青山門の光景は初めて
だったが、それでも異様な雰囲気であることはすぐに察しが付いた。
アウェイ韓国戦ツアーのビラを配る雄志。荷物チェックの警備員。ダフ屋。
そして何より長蛇の列。 国立を退場するときに時間がかかった経験はあるが
入場するだけでこんなに並ぶなんて・・・やはりW杯。 単なる国際Aマッチ
ではない。サポーターの意気込みがひしひしと感じられる。

レプリカを来た女の子3人組が「次回ホーム韓国戦チケット譲って下さい」の
プラカードを持って徘徊している。 首都圏では2晩徹夜する程のプラチナチ
ケット。(君らのようなサポーターには是非、競技場で一緒に見て欲しい)

  「ニッポン!ニッポン!」

既に入場しているゴール裏自由席サポーターの声が響き出し、並んでいるのも
苦にならなくなる。

ゲートでナップサックの中身を調べられる。 ビン・カンは勿論今回はペット
ボトルも持ち込み禁止。こりゃ税関なみだ。
そしていよいよ入場。バックスタンド38入口K列50〜53番。
レッズ命は社内旅行から直接国立へ来るためまだ到着していない。 指定席は
まばらだが両ゴール裏は既にびっしり。普段は人混みの中にはいると人に酔っ
てしまうのだが、これほど心地よく感じられることはないだろう。

アウェイ側ゴール裏にはウルトラス。ホーム側ゴール裏には各Jサポの集まり。
両サポは対立している話を良く聞くが今日ばかりはそうでもないようだ。
両サイドから息のあったコールが響きわたる。

17時30分。まだ試合開始まで1時間半もあるというのにサポーターの応援は
ボルテージが上がるばかり。ウェーブも始まり我々もじっとしていられなくなる。
まだ、まばらなメインスタンド指定席(我々の正面)でもウェーブが途切れない。
勿論バックスタンド指定席で途切らせるわけには行かない。
 『オォ〜オォ〜』
波が来る度にライドオーン!

指定席サポーターが増えるにつれさらにビックウェーブに。嵐が近づいている。
日本代表は控え室でミーティングをしている頃だろう。 ビックウェーブとは
対照的にきっと静かに、これから始まる戦いに備えて。

18時30分。やっとレッズ命が到着。社内旅行から会社へ到着後そのまま来た
そうだ。 宮ニィ、扇パイたちは聖火台を挟み少し離れたSA席。
既に観衆は5万を越えているだろう。当然こちらから宮ニィ達は確認できない。
カオリちゃんたちも来ている、S席の何処かにいる筈だ。

「カズはもういらないっ。」チャカポコが呟く。
「いやっ。まだまだカズの力は必要だ。」と俺は反論。 この時点では、この日
カズのスパーパフォーマンスが展開されることは会場の誰一人予想していなかっ
ただろう・・・
辺りは暗くなり照明に灯が入るとますますボルテージが上がってくる。

  「オッオーバモニーッポン、ニーィッポン」
  「オー フランスみんなで行こうフランス」
  「アーレアレー、アレアレア ニイーッポン」
  「カモ・シュー カモ・シュー」

地鳴りのような雄叫びが両ゴール裏から響きわたる。
そして選手入場。日の丸、ジャパンブルー、全ての旗が揺らめき国立全体で
うねりをあげる。

国歌斉唱。つのだひろの独唱だ。俺は両手を後ろ手に組みあらん限りの声を
張り上げる。

  「君がぁあぁよぉおぉは〜」

右隣のチャカポコは左胸に右手を当てている。カズの真似?
左隣のレッズ命も唄っている。歌いたくないと言っていたオージはどうだろう
かすかに唄っているようだ(笑)

  「こ〜け〜のぉ〜むぅすぅまぁぁぁでぇぇぇ〜」

どうだぁ参ったかぁ!

  「ドドドン! ニッポン! ドドドン! ニッポン!」


■■ 日本vsウズベキスタン(国立競技場) (2) ■■

両チーム選手がグランドへ散らばる。キックオフは日本から。センターサ
ークルでカズと城がしゃがみ込みボールに祈りを込めている。

  「ピィィィ」

試合開始。これから2ヶ月に渡る長き戦いの幕がついに切って落とされた。
紙吹雪が舞う。素晴らしい光景だ。まるでアルゼンチンのスタジアムのように
ターフ上に紙吹雪が積もる。

開始早々日本が攻め込み立て続けにコーナーを得る。そしてコーナーキックの
こぼれ玉を井原が奪い大きな切り返し。思わずウズベキスタンDFの足が出る。
反則、しかもペナルティエリア、開始4分でいきなりのPK。

  「ウォォォ」

のっけから総立ち状態。
PKを蹴るのはカズ。駆け引き無しで思いっきり蹴られたボールがゴールネッ
トを揺らす。

  「よぉぉぉし。やったぁぁ。」

会場のボルテージは最高潮。
今この瞬間のナショナルスタジアム、世界中の何処よりも熱い。

さらに日本の猛攻が続く。プレッシングが機能しウズベキスタンにサッカーを
させない一方的な展開。幾度となく決定機を迎えるが城がことごとく外す。

  「ブゥゥー」

ブーイングの後に

  「じょうぉぉしょおぉじぃ」

のコールが城を奮い立たせる。
オバーラップした相馬からゴール前フリーのカズへパス。カズは難なくこれを
決めて2点目。
3点目は城から右足アウトフロントでのチップキックパスを受けた中田が胸で
トラップ、そして思い切りよくハーフボレーでのミドルシュート。DFをかす
めてゴール左上隅に突き刺さる。ゴール後のパフォーマンスは中田らしい(笑)
   


調整不足のウズベキスタンの足が止まりますます日本の攻勢になる。
前半ロスタイム。カズからタイミング良く城が飛び出したところへスルーパス。
キーパーと1対1。今度は落ち着いて城が決めサポーターに応える。

  「やったぞぉぉ」

ここで前半終了4−0。最高の出来だ。

選手達のすがすがしい笑顔の中で唯一キャプテン井原の気合いの入った顔が印
象的。『まだ後半がある。うかれるな』という心中なのだろう。

ハーフタイム。
すばらしい展開のサッカーに場内の興奮は冷めやらない。
サポーターは皆、満足気な顔をしている。両ゴール裏の応援はハーフタイムと
言えど休むことを知らない。今日はもう大丈夫だ。

  「帰りが遅くなるから後半40分で切り上げよう」

とオージと決める。


■■ 日本vsウズベキスタン(国立競技場) (3) ■■

  「ピィィ」

後半開始。立ち上がり日本の攻勢が続くが時間経過と共にマークにずれが
見られるようになる。幾度かディフェンスラインを破られる。 決定的な
ピンチを迎えるが相手のシュートミスに救われる。
前半飛ばしすぎだろうか?プレスが効かない。こうなるとボランチが山口
一人では厳しい。

ここからノーガードでの壮絶なボディーブローの撃ち合いとなる。
ついに後半11分、1点返される。今日始めて場内が静まり返るが、再び
コールが沸き上がる。

  「ニッポン!ニッポン!」

一人気を吐くカズがやった。西澤がカットしたボールを受け相手マークを
引きずりながらの3点目。ハットトリックだぁ。苦しいときの神(カズ)
頼み。再び場内総立ち。

しかし不本意なPKで再び3点差(5−2)。 そしてマークのずれから
ヘディングシュートを決められ、なんと、なんと2点差(5−3)。

  「おいお〜い。これじゃぁとても後半40分に国立出れないぞぉ」

ついに尻に火がついた。
しかし日本の窮地にまたしてもカズが立ちはだかる。センタリングを胸で
トラップ。これを執念で押し込み今日4点目。(6−3)

  「カァァァズゥゥ。カァァァズゥゥ。カァァズッ。カァァズッ。」

ぶっちぎれダンスでコールに応えるカズ。

  「凄い。凄いよ。凄すぎるぅ」

一度ならず二度までも・・・降りかかる火の粉を振り払う八面六臂の活躍。
何なんだ今日のカズは、まさに神がかり的。
西澤に替え本田を投入。ドイスボランチとなり壮絶な撃ち合いを避けガー
ドを堅める。もう大丈夫だろう。南葛へ帰らなければならない俺とオージ
は後半40分に席を立つ。横浜のチャカポコを含めた3人は後ろ髪引かれる
思いでバックスタンド38入口へ向かった。

場内は依然大歓声に包まれている。38入口から通路へ出るとスタンドとは
対照的に閑散としている。通常の試合では3点も開いていると混雑を避けて
早々に席を立つ人が多いのだが今日ばかりは違うようだ。
皆この瞬間を少しでも味わいたいのだろう。終了のホイッスルで再び喜びを
分かち合いたいのだろう。

勿論、我々も思いは同じだがあえて国立を出た。まだ国立で3試合ある。
そして最後の試合では夜通し喜びを分かち合えることを確信しているから・・

青山門を出て駐車場へ向かう途中、オージの携帯が鳴る。ウーさんからだ。
普段サッカーを見ないウーさんも今日ばかりはTV観戦したらしい。

  「TVでも凄ぇ盛り上がってたよ」
  「そうだろ、そうだろ、凄いだろ」

と自己満足(笑)。ウーさんに6−3のまま終了した事を確認し南葛への
帰路についた。


■■ ロペス帰化 ■■

ついに呂比須の帰化申請の許可が下りた。早ければ9/28韓国戦(国立)
出場の可能性もある。代表に呼ばれるかどうかは加茂さんのみぞ知るところ
だが・・・
小倉が長期欠場中の現在、日本で最高のFWだと俺は思う。FWとして代表
に選ばれているのはカズ、城、西澤、岡野(あるいは高木)でスタメンとし
ては今のところカズと城が使われている。

いずれにしても日本の持ち駒が増えたことは事実。 今後、日本の切り札と
なる可能性も極めて高い。

  「加茂さ〜ん。使おうよ呂比須をっ(笑)」

豪華なハーフ陣に比べ手薄と思われていたトップに呂比須が加わることで不
安は一気に解消される。あとは右サイドバック。

  「柳本はまだかぁ。安藤も面白いんじゃぁないの?」


■■ 日本vsUAE(アウェイ) ■■

  9/19  UAE 0−0 日本 [アブダビ/ザイードSC]

アウェイでの嫌がらせが懸念されていたが、日本での試合を残しているため
だろうか選手の環境は快適そのもの。オープンしたばかりの軍事関係の保養
所はTV映像で観ただけで素晴らしさが判る。 プールは勿論、映画館まで
あるそうだ。
選手の不満としては「UAE選手も同じ施設に宿泊している」「秘密練習が
できない」くらいだろうか?

日本のサポーターは在留邦人を含めて約1000人。 一方UAE側は例に
よって白装束。企業が5万人分のチケットを買い取り無料で配布したらしい。
(なんちゅう強引なやり方・・)
キックオフ直前の気温38度、湿度60%。
TV画面からも暑さがひしひしと伝わってくる。日が当たっている観客席は
空席になっている。熱くて座れないのかも知れない(笑)。

キックオフ。消耗を避けるためボールを持たない選手の動きが極端に少ない。
日本が身上とするプレッシングは今日ばかりは敢えて避けているようだ。
前線からのチェイシングも殆どなし。双方手探り状態が続く中、数少ない決
定機を迎えるが得点するに至らない。

一見しただけではモチベーションの低い凡戦のようにも見える。しかしピッ
チ上では暑さとの壮絶な戦いが繰り広げられているのだろう。

UAEのカウンター、緩急の使い分けがうまい。日本DF陣が置き去りにさ
れる場面が出てくる。
日本のCK。中田が名波にグラウンダーで流すが一瞬反応が遅れる。名波の
意識がもうろうとしているようにも見えた。
前半30〜40分。日本の足が止まりこの試合で最も危険な時間帯だったが
川口が立ちはだかり、このピンチを防ぎきる。

後半戦。
日本は点を取りにでた。前半に比べアグレッシブなアタックが見られる。
地力に勝る日本が優位に立つが得点するまでには至らない。
UAEも切り札の7番を投入し盛り返す。こいつは危険な奴だ。一人で突破
できる能力を持っている。胃が痛くなるようなピンチを何度か迎える・・・

城を本田と替え7番にマンツーマン。 今日ほど本田を心強く感じたことは
ない。エースキラーの密着マークが見事に的中。再び日本に流れを引き寄せる。

この試合最大の山場。右からのFKを井原が頭で合わせ、小村がプッシュ。
「ゴォォ〜ル」と思われたが無情にもオフサイドの判定。小村が触らなくても
ゴールへ入っていただけに悔やまれるが、勿論小村は非難できない。あそこで
足を出すなという方が無理な話だ・・・

中田に替え森島を投入。豊富な運動量で掻き回すが0−0のまま試合終了。
スコアレスドローで勝ち点1をもぎ取るにとどまった。
アウェーで、しかも異常なまでの暑さの中、引き分けで致し方なし。 川口、
本田そしてこの日30才を迎えた井原、UAEのGKが今日の殊勲者だろう。

次は国立での韓国戦。大きな山場となることは間違いない。


■■ B組経過 ■■

  9/20   カザフスタン    1−1 ウズベキスタン   [アルマトイ/セントラル]

中央アジアのライバル対決は痛み分け。カザフは2戦を終えて勝ち点1。
ウズベクは3戦を終えて勝ち点1。ウズベク早くも脱落か?
   
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