野ざらし紀行

 冨士川のほとりを行に 三つ計なる捨子の 哀氣に泣有  この川の早瀬にかけてうき世の波をしのぐにたへず  露計の命待まと 捨置けむ 小萩がもとの秋の風  こよひやちるらん あすやしをれんと 袂より喰物なげてとほるに 
猿を聞人捨子に秋の風いかに いかにぞや  汝ちゝに悪まれたるか 母にうとまれたるか  ちゝは汝を悪にあらじ 母は汝をうとむにあらじ  唯これ天にして 汝が性のつたなきをなけ 
大井川越ゆる日は 終日雨降ければ 

  秋の日の雨江戸に指をらん大井川  ちり 

  馬上吟 
  道のべの木槿は馬にくはれけり 

廿日餘の月かすかに見えて 山の根際いとくらきに 馬上に鞭をたれて 数里いまだ鶏鳴ならず 杜牧が早行の残夢 小夜の中山に至りて忽驚く

  馬に寝て残夢遠し茶のけぶり



奥の細道 鹿島詣
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