最近すっかり出不精になって、本を読んでいたりします。いつ止まるかもしれないシトロエンのせいですが、乗らないとよけいに悪い印象ばかりが残ってさらに乗るのが嫌になるので、昨日岐阜の釣具店に買い物に行きました。よく考えたら行き帰りに通った国道21号線は午後全日本実業団女子駅伝のコースだったので、もし車が故障して長時間立ち往生したら全国中継されるところでした。 (2009/12/14)

 でまあ、面白かった本をいくつか。

 いきなり「さまよう刃」、ミーハーやなあ。なるほど面白いです、話は。でも、なんだかこの人の小説は、ここは「だった。」じゃなくて「だ。」だろうとか、この文はいらんだろうとか、そういうことがやたらに気になってしまいます。私の文章感覚がおかしいのでしょうか?

 「わらの人」は「あたり―魚信」「ばす」の著者による釣りとは関係のない小説。短編で読みやすくって面白い。この本と「かび」を見ているとこの著者は企業性悪説にちょっと染まっていそう。このへんが私と波長が合うのかも・・・。「かび」と同じように普通の人がトラブルに巻き込まれていくのが「とげ」ですが、悪いやつとはいえ市長に一服盛った主人公にこのすがすがしいエンディングはどうなのよ。「かび」と「とげ」のエンディングへの評価で人間のひねくれ度がわかる?

 「今ここにいるぼくらは」は、少年の成長物語。この著者の本では、マイペースで生きているようで実は悩みや影を持っているキャラクターに感じるものがあります。私がそうだとは言いませんが。

 「ウェブはバカと暇人のもの」はそのとおりやろね。(最近見てないけど)ヤフーなんかのニュースのコメント欄の書き込みとそれらに対する「そう思う」「そう思わない」の票とかも、普通の人が働いてる平日昼間や普通の人なら寝ているはずの深夜のものと、普通の人が家にいそうな時間帯のものは、はっきり異質ですからね。これがネット世論の正体なんでしょう。某巨大掲示板といい、ああいうものを「世論」だと思っちゃう人も少なからずいるんだろうけど、怖いことだよねえ。

 「差別と日本人」は重たいです。いつか亀井静香氏を右だか左だかハトだかタカだかわからないと書きましたが、野中広務氏もクリーンなんだかダーティーなんだか誰とでも組む寝業師なのか信念の人なのかわからん感じです。でも、亀井氏と並んで保守政治家の中では嫌いではない人です。いずれにせよ、かつて日本人がやったことについてちゃんと考えているこういう政治家が減ってきつつあるのは、恐ろしいことです。

 「襲われて―産廃の闇、自治の光」は、産廃処理場建設に反対して殺されかけた岐阜県御岳町の元町長本人による手記です。事件から13年犯人はまだ捕まっていません。業者の申請が不備だらけなのに岐阜県は町に建設受け入れの圧力をかけます。知事は建設官僚OBの梶原拓です。初動捜査が甘く動きの鈍かった県警は、産廃業者にOBが天下っています。映画でもここまでの癒着はないぞ。

 産廃ではありませんが、今年長良川の支流・武儀川で魚が大量死する事件がありました。でも、テレビのニュース映像では、県の担当者は原因究明を求める漁協に対し「死んだ魚を調べてもわかりません」とにべもなく答えていました。50万尾も死魚があるのに原因物質が検出できないなんていうことがあるのでしょうか。しかも、その映像を見たのは大量死の翌日くらいですから、そもそも検査に回したと思えません。ある支流の合流点を基点に魚が浮いていたのですから、原因がわからないはずがないと思うのですが、このあたりいかにも岐阜県やなあというところです。

 なに? 本の写真がない? だって持ってないもん。上に書いたのは朝日新聞の書評欄に書いてあったことだもん。だいたいさあ、2205円もする本なんて、岐阜の本屋にはありません。社会になにか訴えるなら、「差別と日本人」みたいに一般の人にたくさん売らなきゃ。日本の良識派って、正論言ってりゃいいと思ってて、伝え方を考えてません。だからダメなんだよね。

 「しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール」。香山リカ女史の考え方には共感する点が多いです。ただ、治療の話から政治など社会の話への持っていきかたがちょっと強引っぽいような気がするのは私だけ? それはさておき、この本の中に、国際競争のため成果主義導入とともにすべての会議を英語にして改革を図った会社でうつ病の休職者が続出したという話が出てきます。これ、90年代の初めにシマノがこうなっちゃったって聞いた話とそっくりなんですね。同じようなことをやっていた会社ってたくさんあったのね。

 でもまあ英語で会議って日産あたりもやってたと思いますが、いくら国際化したって日本人のほうが多い会社で、何を考えとるんだろうね。たとえば私がワープロを覚えかけのころ、よく文章がちんぷんかんぷんなものになったものです。頭のメモリーには限りがあるのに、キーの場所を探したり変換を直したりすることにメモリーを使ってしまって、肝心の文章がわけわかんなくなっちゃうわけです。会議だって、日本語を英語に変換するのにメモリーを使ってしまったら、会議自体がわけわかんなくなっちゃうでしょうに。

 「無理」。普通の人がトラブルに巻き込まれていくのは「かび」「とげ」と同じですが、これは横綱相撲です。読むのが止められず、3日で読んでしまいました。舞台は東北ということになっていますが、岐阜県人の著者の岐阜に対する見方も入っていそう。衰退していく地方都市の有様がめちゃくちゃリアル。5人の主人公のうち、市議会議員(しかも二世)の土建業者との癒着ぶりなんか、ほんと岐阜県だよ。

 2009年11月20日、天竜川の巨大ニジマス・・・が釣れたら良かったのに(安尾信乃助か)。完全なボーズではなくて、午後放流があってなんとか1尾釣りましたが、実質ボーズですわな。これでかれこれ足掛け3年4連続ボーズです。いかんなあと思うのですが、最近渓流以外の釣りをしなくなってしまいました。そんなわけで10月以降ぱったり外に出てません。でも、こういうことは精神的にもよろしくないので、天竜川まで行ってきたというわけです。ストレスがたまり気味だったので、この日は一日携帯もオフにしていました。携帯というのはポケットの中まで電話がかかってくるのがいけません。と、言いつつ、自分が人の携帯にかけて相手が出ないと「なんで出んのや!」と思ってしまう私は悪い人でしょうか。 (2009/11/25)

 携帯が嫌いならなぜ持ってるんだって? そんなもん、シトロエンが壊れたときにJAFを呼ばなあかんでにきまっとるがや。今年はなあ、もう5回も積載もしくは牽引してもらったんやでえ。

 先日の故障で接触不良の箇所がわかり、完治したと思っていたのに、この日も朝暗いうちに2回エンストです。いきなり気分が落ち込み、もう1回エンストしたら帰ろうと思いつつインターに着いてしまったのでそのまま行ってきました。そういう状態で高速に乗るやつも乗るやつです(三角停止板は先日買いました)。出不精になってきたのは、車のせいもあります。帰って来れないかもしれないんだから・・・。

 でまあ、何について書こうかしら。予備ロッドのつもりで買ったもののなぜかしぶとく使ってるマジカルトラウトのこととか、フィールドメイトの弱さに困ったのでリーダーをなんとかしたいなとか・・・。

 そういえば、2ヶ月くらい前にストラディックCI4・1000の写真だけ載せておいて、また次回とか書きましたな。次は408に戻っているかもと書きましたが、はたしてそのとおりになりました。そのストラディックCI4ですが、いわばレアニウムCI4のアメリカモデルです。ただし、ギア比がレアニウムの5:1から6:1に、スプールが浅溝から深溝になっています。

 どうしても川の釣りは軽いルアーを使ったりロッドアクションでラインがふけたりしますから、ラインを控えめに巻きたくなります。しかし、国内向け浅溝はC2000Sでも1号100mです。さらにC2000Sはスカートにラインが巻くのが意外にうっとおしいものです。1000Sはさらにラインキャパが不足しますし、巻き取りスピードが落ちます。そう考えたとき、米国向けの深溝ハイスピード1000番がぴったりだったというわけです。

 それでカベラスで取り寄せたのですが、巻きの感触がいまいちでした。オシュレーションが速すぎるからです。巻き取りギア比を上げるとオシュレーションまで速くなってしまうのはクロスギア(ウォームシャフト)方式の欠点ですが、ストラディックCI4・1000の場合それ以上に高速化しています。理由は「三段腹巻き」を避けるためです。

 同サイズのアルテグラAD1000のクロスギアは、クロスギア5回転でスプールが1往復するように溝が切ってあります。恐らくギア比が同じレアニウムCI4・1000も同じでしょう。ところが、ストラディックCI4・1000のクロスギアは、4回転でスプール1往復になっています。これは、ストラディックはピニオンギア5歯、クロスギア用ギア9歯なので、5回転1往復のクロスギアを組み合わせると、スプール1往復間のローター回転がぴったり9になり、「三段腹巻き(4.5段?)」になってしまうからです。クロスギアの溝を6回転1往復にすれば巻き上がりはいいはずですが、恐らく落下衝撃などがクリアできなくなるのでしょう。

 アメリカ向けだからいいかとこうした? でも、メイン市場はアメリカのはずですから、どちらかというとストラディックをメインにギアを決めるはずです。アメリカ人は回転フィールをあまり気にしないのでしょうか。

 いずれにせよ、こういうギア比のリールができてしまう点からも、クロスギア方式はアカンと思います。10ステラに続く次のシリーズはどうなるのでしょうか。

地方分権反対!?
 83%の市民が反対の事業をこぞって推進する首長って・・・。

 2009年9月11日、キーナイ川のレッドサーモン(・・・を10日にアップしたのですが、あの魚を釣ったところはフックのゲイプ3/8インチ以下というレギュレーションがあったため、ディープクリークのシルバーサーモンに差し替えました)です。この釣行は8人のメンバーで行ったのですが、その中にお医者さんのKさんという方がいました。セントレア空港で私が食後の薬を飲んでいると「何の薬ですか?」と聞かれたので、私はアルファベット3つで病名を答えました。するとKさんは「ああ、いま多いんですよね」と言いました。私はてっきり「イワイ・バスサーフェース・システムですか?」と言われるかと思っていたので、さすがはお医者さんだと感服しました。 (2009/11/10)

 当たり前だろって? それがねえ、当たり前じゃなかったんだよね。7、8年前になりますが、私は症状が悪くなるたびに大垣市内の某胃腸科にかかっていました。

 でも、薬をもらったときは一瞬治ることもあるのですが、ほとんど症状は改善しません。で、ちゃんと検査をしようということになって、バリウムを入れて(上からじゃねえぞ)レントゲンを撮るやらなんやら大検査をしました。

 で、結果発表の日、院長は私の腹のレントゲン写真を見せてこう言います。

 「ハイ、異常ありません。健康です」

 でも、実際に調子が悪いのにそんなことを言われても困ります。それで、「でも、調子が悪いんです」と私が言うと。院長はこう言い放ちました。

 「こんな立派な腸を親からもらっているのにお腹を壊すのは、あんたの飯の食べ方が悪いの。ほら、どんなにいい車に乗っていても、運転手がめちゃくちゃやったら事故るでしょ。それと同じね」

 な、な、なんやこいつは、と思いつつ「そんなことはありません!」(私は胃腸が敏感なのを自覚しているから本当は好きなアルコールも普段まったく飲まないくらいなのだ)と食い下がると、院長はレントゲン写真を指差しつつこう言います。

 「ハイ、ここが上行結腸、横行結腸、下行結腸、直腸・・・。きれいなもんです。異常ありません」

 「いや、そういうことではなくて・・・」

 「上行結腸、横行結腸、下行結腸、直腸・・・」

 「でも・・・」

 「上行結腸、横行結腸、下行結腸、直腸・・・」

 「だ、だから・・・」

 「上行結腸、横行結腸、下行結腸、直腸・・・」

 「じゃなくって・・・」

 「上行結腸、横行結腸、下行結腸、直腸・・・」

 「あの・・・」

 「上行結腸、横行結腸、下行結腸、直腸・・・」

 よしもと新喜劇か!

 ダメだこりゃ、というわけで、他のお医者さんを探し、適切な薬をもらうようになって、現在なんとか症状を抑えられるようになったというわけです。

 IBSという呼び名こそなかったものの、この病気自体は近年「ためしてガッテン」とか「たけしの本当は怖い・・・」とか普通のテレビでもやるくらいですから、知っている人は普通の人でも知っています(今思い出しましたが、20年前シマノの診療所でも「自律神経が弱ってるからだろう」と言われたことがありました)。それを2000年代の胃腸科の医者が知らなかったのですから、世の中には恐ろしいお医者さんがいるものです。これが命にかかわるような病気だったらどうなっていたでしょう。

 え? IBSってなんだって? だから、イワイ・バスサーフェース・システムだよ。

 2009年5月5日、横山ダムのニジマスです。朝揖斐川にサツキマス狙いで行ったものの人の多さと殺伐とした雰囲気に嫌気が差し、横山ダムに逃げたらこれが釣れました。ダム湖はこういう風に、きれいな写真にならないのが嫌ですね。ここ何年か御母衣ダムとかもあまり行っていないのはそれも理由のひとつです。でも、やっぱり、なんといっても釣れる気がしないのが一番です。御母衣ダムのガレ場で釣っていても、水中に生き物の気配はほとんどありません。魚はいるはずですが、あの広大なダム湖で岸からキャストして釣れるほどの量の魚を養う栄養分はないでしょう。やはりよく言われるように、ダム湖はできたばかりのときに水没した木や草などの有機物が分解されて一時的に富栄養化し、そのとき豊かになるだけなのでしょうね。この魚もペラペラですし。 (2009/10/26)

 で、この日もこのニジマスが釣れた後は何の反応もありませんでした。こういうときは、足下でスプーンを泳がせて泳ぎを見ます。水もきれいなのでちゃんと泳いでいるかどうかをチェックしやすいからです。

 写真のスプーンはナントカのひとつおぼえ、バイト7.5gですが、このスプーンには4番の太軸平打ちスプリットリングを付けています。シングルフック装着時はこのほうが泳ぎが安定するからです。大きめといえば大きめですが、昔のダーデブルはもっと径の大きなリングが付いていたものです。ダーデブルはバランスを崩さず安定して泳ぐスプーンでしたが、あれは大きなリングで動きを安定させていたのではないかと思っています。リルデブル(3.5g)のトリプルフックをペンチで切ってシングルにしていたことがありますが、限界スピードは落ちたもののちゃんと泳いだものです。今思えばリングのせいだったのかもしれません。

 このほか、シングルフックは下向きにしたほうがより大きく尻を振って安定して泳ぐように見えます。この日もスプーンの動きを見ながら上にしたり下にしたりして泳がせてみましたが、やはり下向きのほうが安定してしかもキビキビ泳ぐように見えました。上向きだとスプーンが尻下がりになっているように見えます。下向きだとそういう感じが減ります。フトコロに生じる水の抵抗がそうさせるのかなと思いますが、本当の理由は分かりません(ただ、下向きはハリ先がすぐダメになるので、実際にはあまり使いません)。

 スプーンにはハスルアーみたいにバランスを崩して食いを誘うものもありますから、必ずしも安定しているのがいいとは限りません。でも、安定して泳ぐスプーンのバランスを崩すことはできても、バランスを崩すスプーンで安定した動きは出せません。特に、流れの中で使うならば、どんなに安定して泳ぐスプーンでもバランスを崩します。

 どんな動きに魚が反応するかはそのときどきだと思いますが、私は規則的に尻を振る動きこそが魚を誘うのではないかと思います。一時期よく使っていたスミス・ヘブンがよく釣れたのは、極端な肉厚のためあまり流れに影響されずに尻を振って泳ぐからではないかと思っています。

 だから、スプーンの泳ぎは安定しすぎて悪いということはないのでは、と思います。だから、私はフックのサイズや向き、スプリットリングで、できる限り安定して泳ぐセッティングを探します。

 そんな私から見るとスプーンのフックについて悩んでいる話をほとんど聞かないのが不思議です。ミノーをトリプルからシングルにするとき、動きを気にする人は多いようで、ミノーの腹に貼るオモリもありますし、軸太のシングルフックもあります。しかし、トリプル標準のスプーンをシングル化したときの動き(不安定になり振り幅も減る)についての話は聞いたことがありません。トゥイッチの強弱でカバーできるミノーより、そういうことのないスプーンこそ地の泳ぎが大切ではないかと思うのですが。

 私が考えすぎなのか、世の中が無頓着なのか、はたまたミノー全盛でスプーンを使う人自体が少ないからなのか・・・。

あったりまえの話だあ

 2009年9月9日、ディープクリークのピンクサーモン(カラフトマス)です。まだ原稿も書いてないし、フライングですが、まあこの写真は使わんでしょうから。スプーンはバイト7.5gシルバーにマジックでピンクとイエローを入れ、がまかつ細地チヌ5号のスイミングフックを付けたもの。シルバーもスチールヘッドもこれで釣れました。今年銀山湖のイワナも釣ったし、おととしは忠類川のシロザケも釣ったし、もちろん岐阜でも実績があります。ワタクシだけの秘密の色なのか、ナントカのひとつおぼえでこればっか使ってるから釣れたときはこれなのか・・・。 (2009/10/15)

 秘密も何も、もともとはスミス・ヘブンSPカラーのパクリですけどね。そんなにお気に入りの色なら、せめてスプレーラッカーか何かできれいに塗ればよさそうですが、マジックですませるあたりがワタクシらしいところです。

 リールはミッチェル・クォーツ330。ここ20年に発売されたリールの中で最もカッコ悪いリールだと思ってきましたが、現場で見るとカッコいいんですね。ステラやイグジスト、セルテートは、カタログや部屋で見るとカッコよく見えますが、フィールドで見るときらきらぴかぴかが場違いな感じです。これに対してフィールドで見るクォーツは、まじめな道具という印象です。

 このリールを持っていった理由のひとつは、ベールの強さです。釣っている最中よりも他の荷物といっしょにバッグに詰め込む関係上、普通のベールのものは嫌だったのですね。もう一台予備で持っていったのは、ベールがたためるカーディナル44でした。

 あらためてクォーツのベールを見ると、よく考えて作ってあります。ぶっとい強化プラスチック製ですが、それだけではありません。これだけ見ると閉じるときの衝撃が悪影響を及ぼしそうです。初めて見たとき、どうしても細くなるラインローラー支持部が疲労破壊するのではないかと思いました。

 しかし、実はこのリールのベールは、ベールアーム反対側の支持部がストッパーの役割をしておりベールアーム側はフリーのため、ラインローラー支持部には力がかかりません。それはバッグの中で圧縮されても同じなので、携行時の強度も心配ありません。

 このリールのベールは、支持部がローターのセンターから大きくオフセットしています。バランスを取るためでもありましょうが、同時に回転時のベールの張り出しを最小限にとどめています。そのため、現在のリールのように長いベールワイヤーをぶん回している感じがなく、コンパクトに回ります。

 恐ろしく軽いベール返しは、へんな投げ方をしたら一発でベール返りを起こすでしょうけれど、まっすぐスイングする限りは大きくオフセットした太いベールが逆回転方向の力を生むため、そうしたトラブルは皆無です。

 このリールが出たころ(98年ころ?)、日本でのミッチェルの販売は終わってしまいました。日本人のミッチェルイメージとはかけ離れていて、仮に出回っても日本では売れなかったでしょうけれど、ヨーロッパではどうだったのでしょうか。いずれにせよ、これを製品化したミッチェルは、面白い会社だったのだなあといまさらながら思います。

 2009年9月27日根尾川のアマゴです。小さい? まあ、小さいといってもぎりぎり15cmくらいはあるからいいかなと。サイズにかかわらずオールリリースなので制限体長は関係ないのですが、なんとなく制限体長を上回っていないと釣った数に入れにくいのはなぜなのでありませうか。 (2009/9/30)

 ルアーはバイトの3g。忠さんのスプーンのうち3g前後の小さいものは、87年にこれを含めて数種類、99年と04年に1.5g、1.8g、2g、2.4g、3.7gと出ています。2000年前後に出たグループは、コンデックススプーンやダーデブルみたいにコンスタントに尻を振って泳ぐタイプです。

 これに対し87年組はちょっと変わっています。平板にS字形のカーブを付けただけで、すぐにバランスを崩してしまいます。バイト3gは出たときに1個買って使ってみたもののうまく泳がないので、根掛かりでなくしたっきり持っていませんでした。

 で、先日取材中、アートフィッシング(忠さんのスプーン発売元)の小田氏に、あのスプーンは何なんだと聞いてみました。すると、あれは勝手にバランスを崩して魚の食いを誘うようにしてあるのであるぞという答えが返ってきました。

 確かにハスルアーなども勝手にバランスを崩すタイプだし、ふむふむそういうことなのかとあらためて買って使ってみたのでした。

 でも、10年ぶりに使ってみると、やっぱり尻を振る前に回ってます。流れの緩いところで泳がせても、ゆっくり引くと(ぐるぐるXみたいに)横にスライドしていきますし、速度を上げると回ります。ハスルアーどころではありません。

 ところが、なんじゃあこりゃあと思いながら流れの中を引いてくると、そこそこアマゴが出てきました。魚は写真のクラスですが、9月の終わりで真っ昼間、車横付けの横着ポイント、しかも大減水だったことを考えると、けっこう出たほうかもしれません。

 考えてみれば、スプーンの動きはアップストリームキャストで使うとどのみちバタバタになってしまいます。往年のハスルアーはアップストリームキャストとフルスピードのリーリングで使うとされていましたが、恐らくそうした使い方ではほとんど規則的な動きはしていなかったはずです。

 バイト3gはバタバタというより、ほとんど回っていたように見えましたが、スピナーだと思えばいいのかもしれません。小田氏はギジーでこのスプーンを「沈むフローティングミノー」と文学的(?)に表現していましたが、これは「ボディーのないスピナー」なのかもしれません。

 では、本物のスピナーと比べてどうかというと、かえってよさそうです。この日、私はバイト3gをアップストリームキャストし、ロッドの操作でストップ&ゴー的に引きました。こういう操作をする場合、普通のスピナーはブレードの立ち上がりがついていかない可能性があります。しかし、このスプーンなら、キラキラッ、キラキラッと反応します。

 なかなかルアーは奥深いものです。というところで今シーズンも終わってしまいました。ストリームタイプのエリアもありますが、続きは来年のお楽しみというところです。

 ところでこそっと写真左下に写っているのは、シマノ・ストラディックCI4 1000F。長くなったのでこのリールについては次回。もっとも、次はまた408に戻っておるような気もするが。

 たいした期待をしていなかった民主党政権ですが、いきなり八ッ場・川辺川ダム中止と飛ばしています。このまま進んでいけば、長良川河口堰のゲート開放、撤去・・・までは難しいかもしれませんが、もしそうなったとき、私は再び長良川でロッドを振るのだろうかと考えました。もし長良川から河口堰が消えても、私はもうあの川には行かないような気がします。私がロッドを振っていたのは本州で唯一本流にダムを持たない天然河川、ふるさとの誇りの川だったからです。 (2009/9/21)

 私にとって長良川とは、京都と堺に住んでいる間心の支えであったふるさとの誇りでした。河口堰反対運動の過程で美化された面があるとはいえ、岐阜を離れて初めてこんな川は他にはあまりないのだということがわかったのでした。

 だから、堺に住んでいた間も5月の連休には岐阜に帰ってロッドを振りました。岐阜に帰った90年は毎週のように長良川に行ったものです。私は、足もとの水面が海までつながっていることを感じるだけで満足で、誇らしい気持ちになったものです。

 しかし、このように、私は徐々に誇るべきふるさとの正体に気づいていきます。

 土建で成り立っている岐阜の行政はそろって河口堰推進でした。治水のためだと涙ながらに河口堰推進を訴えたある町の町長はその裏で町民に「俺が河口堰の補償金を取ってきてやるから今のうちに漁協に入っておけ」と言っていました。その町の川漁師は「俺は河口堰なんてどうでもええんや。銭さえもらえりゃあな」とうそぶきました。一般の人たちは総じて無関心でした。当時入っていた岐阜市のルアークラブには「河口堰ができたほうがシラメ(サツキマスの幼魚)が海で天敵に食われない分釣れる魚が増えていい」という馬鹿までいました。河口堰反対の署名を集めていると「たくさん署名を集めると会の中で偉くなれるのか」と言われたこともあります。

 現在、民主党前原国交相が表明した八ッ場ダムや川辺川ダム中止に対し、地元住民から反対の声が上がっているそうです。

 もともと反対だったはずだしせっかっく中止の方向が見えてきたのに、中止はけしからんダムを作れとは理解しにくい反応です。ゼネコンと癒着した政治家ならともかく、自分のふるさとをダムの底に沈めてくれと住民自ら(*)主張するとは、どうなっているのでしょう。

 でも、私には少しだけその心理がわかる気がします。私がもう長良川に行かないかもしれないのは、ふるさとの正体を知ってしまったからです。

 八ッ場ダムや川辺川ダム周辺の住民はこんなものではないはずです。国による懐柔策で分断され、住民同士が対立しいがみ合ったのです。もうこんな場所は見たくない、ダムの底に沈めてしまってくれ。そう思ってしまっても不思議はないでしょう。

 自分の生まれたふるさとをこの世から消し去ってほしい。そんな風に人の心を変えてしまった自民党政権によるダム政策は、本当に罪深いものだと改めて思います。

(*)ただ、「住民自ら」かどうかは怪しいものでしょうね。自民党や土建業界とべったりやってきた首長や地元のボスがテレビに出てわめいてるだけのようにも見えます。長良川河口堰だって行政は推進でも世論調査をしたら補償金にみんなでたかった某町以外はほぼすべての地域で建設反対が多数でしたからね。それにしてもテレビのニュースは建設推進派の声ばかり取り上げすぎじゃないか。野党になったとはいえ自民党や財界から圧力でも受けてるんじゃないのか。

 「怪しいもの」と書いたらこんなのも見つけちゃったぞ。

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