2011年6月12日、魚野川のヤマメです。本当はプライベートでアートフィッシングの小田さんと行く予定でした。ところが、小田さんにギジーの取材が入り、13日朝広島から走ってきた小田さんに養老あたりで乗っけてもらい、当日午後新潟に到着して常見忠氏宅を訪れ、翌14日午前中魚野川で釣りをした後、小田さんはギジー編集長とフェリーで北海道取材に、私は新幹線で帰路に、ということになってしまいました。そんなわけで、私は12日から別行動で新潟に行ったのでした。しかし、おかげで小田さんは広島から新潟まで900キロをひとり運転するはめに。薄情者? だ、だって、釣りがしたかったんだもん。(2011/6/16)

 人間こういうときに本性が出るもので・・・。

 ロッドはチタンフレームSiCガイドに換装したザウルスフィリプソン・スワンプフォックスSS70Mです。いまのカーボンロッドと特性があまりに違うので、投げるタイミングをつかむまで大変でした。

 ところで、私は、このロッドやテーパーアンドシェイプのバックリバー76のようなロッドとミッチェル408をたまに組んでいます。フィリプソンはともかく現在のカーボンロッドは軽いので、自重200gの408は十分バランスします。現在のラインは1.5号くらいでも十分強いので飛距離も気になりません。

 ですが、こういう組み合わせは十分注意した上でやってください。308/408にしてもカーディナル33にしても、基本的にこれらのリールは“ウルトラライト”の釣りのためのものだからです。往時の日本でもこれらのリールは基本的に渓流用にウルトラライトのロッドと組み合わせられ、湖のマスやバス釣りでライトクラスまでのロッドと組まれるといった使われ方でした。

 ウルトラライトといっても、現在はエリア用バス用と基準が釣りごとに異なってしまっていますが、408の時代のウルトラライトとはルアーウエイト2〜7gくらいの釣りをいいます。昔のウルトラライトロッドは1/16〜1/4オンスのルアー表示が一般的だったからです。現在のトラウトロッドなら、ライトに分類されるくらいでしょう。

 フィリプソンはべろんべろんのロッドですし、バックリバー76は「M」ということになっていますが、適合ルアーの上限は10gですから、昔でいえばライトアクションでしょう。昔はライトといえば3.5〜14g(1/8〜1/2オンス)が適合ルアーだったものです。だから、私としては、408はこのあたりのロッドを上限として組み、その上でムリ巻きをしない、ストッパーはオフにしておくなど、注意して使っています。

 いままでいちいち書かなかったのは、408はけっこう強いリールで、“普通”に使っていればギアが飛ぶようなことはないと思っていたからです。でも、よくよく考えたら、世の中にはインスプールのベールを手で閉じて壊すような人もたくさんいます。あれだって、これくらい力を加えたら壊れるだろうと、“普通”の人間は感じるのにと思っていましたが、数ある中古インスプールが壊されているところを見ると、現実にはそうじゃないみたいです。

 私の場合、昔リールを壊す仕事をしていたから、物が壊れる感覚を手が覚えていて、無意識のうちにそれを避けているのかもしれません。耐久性や強度をテストするといっても、すべてがマシンテストではありません。非常階段の上から重いオモリを巻き上げてギアを飛ばしたり、バネばかりやトルクゲージで部品が壊れるまで引っ張ったりねじったりしたものです。

 もしかすると、そういった経験のない一般の人は、“普通”に壊れるまで力を加えてベールを閉じたり、ギアが飛ぶようなゴリ巻きをやっちゃうものなのかもしれません。

 前回、408のドライブギアには材質不良もしくは変更があったらしいと書きました。実際今回の魚野川釣行ではギアに異常のない2台を持っていって私なりにハードな使い方をしましたが、真鍮の磨耗粉はまったく出ませんでした。だから、持って行かなかった408のギアがおかしいのはおそらく間違いないと思っています。

 しかし、だからといって、限度を超えた使い方をすれば、どんなリールでも壊れます。それは十分考えて使ってほしいと思います。33と違って408はおそらく今後も再生産されることはないでしょう。いま世の中にあるものがすべてなのです。

 2011年5月19日、坂内川のアマゴです。いいのか人の撮った写真を勝手に使って・・・。というのは、これは私が撮られる側で釣った魚だからです。最初根尾川に行ったのですが、ミノーにヒットしたアマゴをあっさりバラし、一か八かで川を変わって1投目でこの魚が出ました。ミノーのバーブレスシングルはやっぱバレますね。昔西山徹氏が、“普段はバーブレスフックを使っているが撮影のときはバラせないからバーブつきフックを使う”と書いていました。撮影の釣りまでバーブレスを通した私は、テツ西山を超えたわけですな。無謀なだけやろ。(2011/6/4)

 無謀どころか撮影をフイにしかねないからあかんことなのか・・・。

 ところでリールはいつもの408ですが、どうもこのリール、ギアが怪しいのです。408のスパイラルベベルギアはなじみが出るまで真鍮系のドライブギアの磨耗粉が出て、グリスが金色の塗料のような色になります。ある程度使うと歯面がなじんで金色の磨耗粉は止まるはずなのですが、写真のリールはいまだ収まっていません。

 408はこのリールのほかに、読者の方にいただいた60年代ものらしきものと、90年代に雑誌の個人売買で買ったものを持っています。後者はボディーがあまりにボロボロだったのでギアを308のボディーに移植、その後408A、308プロと組み替えて、現在ふたたび308のボディーに入れてあります。

 これら2台(片方はギアだけですが)はいずれもかなり使い込まれた状態で手に入れ、洗浄後グリスアップしました。どちらもギアが完全になじんでいて、グリスアップ後のグリスに金属粉はほとんど混じらず、黒く濁っていくだけです。鋼のピニオンギア表面に施された黒い表面処理が落ちて鏡面状に光っています。

 ところが、写真の408は、購入以来40回も釣りに行っているのにまだ金色の磨耗粉が出ています。しかも、ピニオンギアの表面が黒いままです。さらに、ドライブギアをよく見ると他の2台のギアに比べ、歯が薄くなってきているように見えます。ここから推測されるのは、ドライブギアの材質が軟らかく、ピニオンがなじむことなく、ドライブギアばかりが磨耗しているのではないかということです。

 ときどき408や409のギアが飛んだという人がいます。2年くらい前、ギアの飛んだ409を見せてもらったことがありますが、ギアボックスの中は金色のグリスでいっぱいでした。Q&Aのページにも書いてありますが、80年くらいのルアー入門書に「408は不良品が流れて評判を落としてしまった。私のものもギアが半分くらい削れてしまった」と書いてあるのを読んだことがあります。小モジュールのギアですから、磨耗はギア強度に致命的な影響を与えるはずです。こともあろうに写真のリールがそういったリールだったのではないかという疑いが出てきました。

 写真のリールのフットナンバーはD330111です。Dは1974年製を表すそうです。

 ここで問題になるのは、1974年に材料間違いで不良品が流れたのか、この頃コストダウンでギアの材料を変えてしまったかです。前者ならばD刻印のものに気をつければいいということになります。しかし、後者の場合、Dより後のリールは全部アウトということになります。大森製作所のマイクロセブンDXがシェイクスピアから販売され始めたのが1969年です。ミッチェルが日本の安いリールに脅威を覚え、コストダウンを考えたとしても不思議ではありません。

 もっとも、だいじょうぶな2台がどのくらい使われてから私のところに来たのかは不明です。写真の408をさらに使い込むと同じような状態になるのかもしれません。でも、40日の釣行です。思いすごしならいいのですが。

 ギアを飛ばしたことのある方は、足の裏の刻印を調べてみてください。

 6月3日の東京新聞(中日新聞社の東京版)によると、突如提出された内閣不信任案など菅下ろしの後ろには、浜岡原発停止や自然エネルギー重視を打ち出した菅首相に反発する原発推進勢力がいるのだとか。

 確かに、政権の不手際を責める前に、地震国日本に原発を作りまくった連中の責任はどうなってんのよってことですよね。

 2011年5月22日、坂内川のアマゴです。ネットでかすぎ・・・いや魚が小さいのか。セルテート2004CHが水没してます。防水とはいえ本当はいけないのでこういうことはやめましょう。でも、こうしても油がほとんど浮いてこないので、やっぱり密閉されているんですね。このリールのベール支持部は前アップしたように真鍮パイプを入れました。まだ2回釣りに行っただけですが異常ありません。まねして改造した人はいるのだらうか。 (2011/5/27)

 同じような改造は08ツインパワーでもやりましたが、10セルテートはローターを外せないので、ローターはそのままにしてベール関係の部品を取っ払いました。

 で、ボスを削って部品待ちをしている間、ベールまわりの部品を外したままハンドルを回してみて「おおっ」とうなってしまいました。当たり前ですが、回転レスポンスがめちゃくちゃにいいのです。元々このリールはハイスピードを意識させない使用感ですが、まだこんなによくなる余地があるんだと思いました。新構造で軽量化したという「エアローター」ですが、やっぱり回転慣性に大きくかかわるのは中心から離れた位置にあるベールやベールアームなどの部品なのだなあと再認識しました。

 回転慣性に関していうと、最近しばらくミッチェル408を使っていたのですが、回し始めの重さはセルテート2004CHと比べてそう悪くないと感じたものです。ミッチェルのローターは回転バランスを取るために大きな鉛のオモリが入っていて軽いわけがないのにです。これは、小さなラインローラーでベール関係が軽いからでしょう。

 で、思ったのは、セルテート(のみならず現在のリール)のラインローラーを小さくしたら、大変な回転レスポンスのリールができるのではないかということです。ラインローラー部の重さは、回転バランスを取る関係で、2倍に効いてきますからね。

 糸がよれるんじゃないかという人がいそうですが、そもそも巨大なラインローラーでなければ糸ヨレが防げないのかどうかは分からないのです。スピニングリールのラインローラーは、88年のトーナメントEXがBBラインローラーを打ち出したのをきっかけに巨大化しました。その後、90年代になってツイストバスターなどの糸ヨレ対策ローラーが生まれたので、トーナメントEX以前のサイズのラインローラーで糸ヨレ対策品は作られたことがないのです。ミッチェル408の糸ヨレは、最新のセルテートやツインパワーに比べてもけっして多くありませんから、研究すれば小さなラインローラーでも糸ヨレの少ないものは可能なはずです。

 しかし、障害になるのは、一般ピープルのベアリング信仰です。ボールベアリングを入れる以上、ラインローラーはいまより小さくできないからです。どこのサイトかは忘れましたが、BBの入っていないラインローラーは、管釣りでスプーンを引いているだけでラインが伸びてダメになるというのを見たことがあります(ミッチェルとかではなくて現在の大きなローラーのリールで!)。「ちぬ倶楽部」ではダンゴ名人が「BBの入っていないラインローラーのリールは糸がしごかれてコイル状になってしまう」と書いていました。

 ありえません。

 私は、固定式ラインガイドのミッチェルで3Lbラインを使って管釣りで1日釣ったことがありますが、何も起きませんでしたしラインがひどく痛んだ感じもありませんでした。ローラーガイドの408は4Lbナイロンを(リーダーを付けていたとはいえ)1シーズン使ったこともあります。だから、ラインダメージは全然問題ないと思うのですが、こういう釣り人の感覚は理屈でない分、覆すのが難しいものです。

 メーカーがテストしていいと判断して出しても受け入れられない可能性は十分にあります。たとえばシマノがステラで打ち出して下のモデルに下ろしていこうとしても、下手をするとスピニングが総ゴケするかもしれません。じゃあ、どれか1機種だけ出して様子を見たら・・・ヘンなリールがあるなで終わっちゃうでしょう。

 で、ふと思ったのは、ダイワはこういうときにメガバスブランドを使ったらいいのではないかということです。これならメインブランドと違うものを出してもおかしくないし、影響力もあるはずです。

 ローター慣性を小さくできればリーリングの感度も上がりますし、ローター軽量化で振りバランスもよくなります(ミッチェルプリビレッジ20の初期型は小さなラインローラーで後期型は大きなラインローラーでしたが回転のみならず重量バランスも明らかに初期型のほうが優れていました)。さらに、今後スピニングのハイスピード化が進んだとき、巻き始めにぐっとくるローターの慣性の大小が使用感に大きくかかわってくることも考えられます。ITO氏を知っているわけではありませんが、彼がフィッシャーマンなら違いがわかるはずです。

 もっとも、いいものが売れるとは限りませんし、リスクも相当あるでしょう。でも、どんなに回転系を軽量化しても、(トーナメントEXや初代ステラの時代よりは小さくなっているとはいえ)巨大なラインローラーやそのバランスを取るパーツをぶん回していてはなにをしているか分かりません。なんとかできないかなあと思います。

よく言った

 2011年5月14日、長良川のバスです。長良川でバスというと以前アップしたコレみたいですが、サツキマスを釣っていたわけではありません。ルアーがCDラパラというあたりでも分かるとおり、シーバス狙いでした。長良川河口堰の補償金でばら撒いたシラメが成長したサツキマスなんて原発補助金のごとき毒饅頭ですからね。 (2011/5/21)

 というのはあくまで私の意地というか偏屈というかまあそういうものであって、いま長良川でサツキマスを釣っている人を批判するものではありません。いまも長良川に立つ人はこの川が本当に好きな人なのだと思います。

 長良川にバスが増えたのは河口堰が川の流れを弱め、潮の満ち干による水位の変動をなくし、塩水の遡上を止めたからです。その証拠に隣の揖斐川でバス釣りなど聞いたことがありません。反対側の木曽川は河川敷にワンドがあったり木曽川大堰(馬飼頭首工)があったりで以前からバスがいますし、有名な大江川をはじめ周辺には30年以上前からバスがいたのですから、長良川に入っていなかったわけがないのです。それが90年代の終わりから増え始めたのは、95年に運用が開始された長良川河口堰の影響以外には考えられないのです。

 でまあ、これも前書いたことがありますが、ちょうどバスが増え始めた頃、名古屋テレビ(メーテレ)で、長良川でブラックバスが増えているという特集ニュースが流されました。作ったのはアアクエイトテレビという名古屋の水中映像制作会社です。とてもひどい番組で、長良川河口堰にはまったく触れず、バスが増えたのは「釣り業界による密放流だ」と結論付けていました。

 たまたま知人にアアクエイトテレビの社長の友人がいたので、「こんな馬鹿な番組をやっていた」と指摘したところ、その場で電話してくれました。知人が「バスなんか30年も前からいる。それが増えたのは河口堰のせいだぞ」と指摘すると、アアクエイトテレビの社長はこう言ったそうです。

 「ええっ、そうなんですか !?」

 さらにここの社長は、釣り業界で流されたデマをさもトクダネのように私のところへもってきたことがあります。これは本当なのかと複数の人に聞いて逆にこっちが恥をかいたものです。ちょっと名が知れた人に関してあることないこと言いふらす人が世の中にたくさんいるのは、現在のネットを見ればよくわかるでしょう。メディアにかかわる人がそんなことも分からないようでは・・・。

 話は変わりますが、最近橋下徹がほえているのがニュースでよく流れます。「北風と太陽」を知らないのだろうかと思いますが、この男の目的は旅人にコートを脱がせることではなく、旅人を叩いて自分の支持者を喜ばせることなのでしょう。「愛国心は悪党の最後の隠れ蓑」とはよく言ったものです。西川、ノックときて性懲りもなくこういう人を選ぶ大阪が「物言えば唇寒し」になるのは勝手ですが、他の地域にまで飛び火するのはごめんです。

 「愛国心は悪党の・・・」とは物騒ですが、愛国心を「誰もが反対しにくいもっともらしい事柄」、悪党を「ちょいとばかし残念な人」くらいに置き換えると、なかなか深い言葉に思えてきます。きっとこの言葉を言った英国の文学者も、そういう意図なのでしょう。

 外来生物はいけない、日本古来の生態系を守れ、というのもこれに似ていないでしょうか。こういっただれもが反対しにくいスローガンに乗っかって、安易な番組を作るメディア、固有種の純血を守るためだと交雑してしまったハリヨやオオサンショウウオ、ニホンザルの駆除(殺処分)を主張する生物学者、会議の結論をひっくり返してバスを特定外来種に指定することで売名をはかった当時の渡り鳥環境大臣・・・。

 ミッチェル308/408/508用のベールスプリングです。先日フランスから20本ほしいというメールが来たのですが、もう数本しか残っていなかったのでまた作りました。でも、連休を挟むなどして1ヶ月くらいかかったのと、こっちよりも安いアメリカのサイトを教えてあげたのとで、もう連絡は来ませんでした。どーするんだ100本。 (2011/5/15)

 以前のスプリングは80年代のリールをベースにしていましたが、今回のは70年代のものに合わせました。

 手前に立ち上がるカギ部を、80年代以降の2.5mmから70年代までのワンピースベールに合わせた2mmにしました。これにより、70年代のリールに使うときカギ部を削る必要がなくなりました。

 70年代のスプリング同様にコイルにすき間を空けました。70年代のものにすき間が空いていたのは、組み立てやすさ、カギ部が外れないための保証、線材同士の接触を防いで寿命を伸ばす意図ではないかと思います。

 細かいところでは、手前に立ち上がるカギ部をコイルの平均径上から直接立ち上げるのではなく、線材の直径分くらい外周側に出しています。これも70年代のスプリングに合わせたものです。スプリングの平均径は8mm、ベールアームのカギ部の入る穴の位置は中心から4mmです。しかし、スプリングが使用されるときはコイルを引き絞るので、平均径は8mmより小さくなります。だから、カギ部は外に出しておいたほうがいいというのが設計者の意図だろうと思い、それを踏襲しました。

 カギ部は、80年代のものより70年代のもののほうがわずかに緩め側にあります。したがって、前のスプリングよりもわずかにソフトな感じになっています。

 コイルのすき間がオリジナルよりも若干(0.15mmくらい)広くなっていますが、問題はありません。4400シリーズはベールアームのネジを外すとビヨーンとベールがとび出すくらいすき間をあけたスプリングですが、4400シリーズのころのミッチェルのベール耐久規格は10万回(Mitchell reel museumのギャラリー/ミッチェルヒストリカルギャラリー/ファクトリーフォトグラフの写真07)とされているほどなので、すき間が広いことによる悪影響はないはずです。

 コイルにすき間を設けたのとカギ部を外周側に振り出したのは、上記のような意図なのですが、じゃあその設計意図通りの効果があるかというと、不明です。前のすき間を空けずカギ部がコイルから直接立ち上がるスプリングでも問題は生じませんでしたし、当のミッチェル自身80年代になるとそうしているのですから。でも、そういうところにこだわってしまうのが、ヘンタイのヘンタイたるゆえんであります(すき間が0.15mm広かったのがまだ心残りなほどで・・・)。

 ここ2年くらいスプリングに関する問い合わせは2〜3ヶ月に1回くらいなので、もう欲しい人はいないかもしれませんが、ご希望の方は連絡ください。以前は送料込み2本1000円で、4本以上もそれを適用していました。まさか4本も5本も欲しいという人がいるとは思わなかったからですが、今回より送料込み2本1000円、それ以降は1本増えるごとにプラス350円でどうでしょうか。発送は封筒に入れて普通郵便で送ります。お支払いは以前は現金書留にしていましたが、銀行振込みもOKにします。ペイパルのアカウントがあるので受け取りもできるらしいのですが、やったことがないので最初の人は少しもたつくかもしれません・・・。

 なお、取り付けできないリールは、フランス製のうちスプリングが写真より1巻き少ない4巻き弱のもの(60年代のもの)と中国製の308/310UL(足の裏にMITCHELLとだけある。310ULは名前のみで物は同じ)です。ベールが2ピースになったフランス・台湾製のものは取り付きますが、2.5mmだったカギ部が2mmになります。70年代までのワンピースベールが2mmだったのですから問題はないはずですが、不安でしたらまだ若干数前のスプリングもあります。

 2011年5月4日、坂内川のイワナです。最近、ツインパワーとセルテートを持っていくとボウズをくらうというのがジンクスになってきました。今年そろって買った最新モデルなのに、やっぱり使わなくなりそうです。こういうリールはあるもので、カーディナル44なんかもなぜか魚が釣れません。反対にこの408とかクォーツとかバンタム100とかはゲンのいいリールです。単に使用回数が多いからという気がしないでもありませんが。 (2011/5/7)

 ロッドは、マジカルトラウト・・・に見えますがバックリバーの66です。やっぱりグリップを替えてしまいました。マジカルトラウトに見えるのは当然で、スミスから別売りされていた同じグリップを渡辺つり具店で寸法変更してもらったものです。

 見た目にもっと違和感が出るかと思いましたが、けっこういい感じでしょ。バックリバーは、グリップ直前のブランクに施されたムラムラ模様や凝った飾り巻きにシマシマのウッドスペーサーやナミナミのスクリューが合わさってちょっとクセのある雰囲気でしたが、シンプルなデザインのグリップで全体が程よい感じになりました(と自画自賛)。

 見た目以上に良くなったのは使用感です。オリジナルのネジむき出しダウンロックシートは、親指のすわりが悪く、特に濡れるとキャストが決まりませんでした。さらに、寒い季節に使うと人差し指と親指がどんどん冷えて、キャスティングもままならなくなったものです。グリップを替えてあらためて使ってみると、このロッド、カーブの頂点が先から元へスムーズに移動するブランクが実にいい。ルアーの重さやスイングの強さの変化に柔軟に対応します。せっかくのブランクの良さをあのリールシートが覆い隠していたのがよくわかりました。

 たとえば、2、3年前けっこう使っていたフェンウィックHMXの6フィートなんて、比べ物になりませんもん。ティップがいきなり中ほどを頂点にしたカーブを描き、バットはバットでアールの違うカーブを描きます。しかもそれらをつなぐジョイントは補強が過剰で一直線に突っ張ります。2種類のカーブが複合されて独特の特性を生む・・・ということはまったくなく、今年あらためて使ってみましたけど、少しルアーの重さが変わっただけで投げる感じがガラッと変わってしまいます。カーブの頂点移動が起きないからでしょう。

 それにしても、バックリバーのグリップは残念です。リールの脚を薬指と小指ではさむとフロントグリップに親指が届いたのでそういう握り方の人が仕様を決めたのかもしれません。あれは確かアンリパ・シルファー時代からのはず。さてはイーダさん・・・と思っていたのですが、最近ギジーの古いのを見たらちゃんと中指と薬指の間にリールの脚がありました。となると・・・。

 そうはいっても、グリップの良し悪しなどたいしたことじゃありません。替えちゃえばいいんだもん。さっき挙げたHMXなんかチタンフレームSiCガイドにしてグリップも交換してロッド本体より高いお金をかけてしまいましたが、やっぱりブランク以上のロッドにはなりません。

 参考までに、写真のグリップは、足の短いリールでもスクリュー部に足の後ろがかかるようにスペーサーをギリギリまで短くしています。足の短いリールとは、足を削りすぎた308のことですが、ダイヤモンドのマイコンSSと同じくらいの長さです。足の後ろがスクリューに乗らないと、締め込んだとき足がコルクスペーサーにめり込んでしまいます。もちろんギリギリといっても現行シマノ・ダイワの足が入るようにはしています。全長はリアのコルクを長くして合わせてもらいました。グリップをオーダーするときは、原寸大もしくは縮小して図を描くと出来上がりのイメージが狂いません。図は最近イラストレータで描いています。今回はマジカルトラウトを持っていたので特に上手くいきました。ただ、ひとつ悔やまれたのは図を描くのに集中しすぎてユミたんの出る名医にQを見逃してしまったことでありませうか。

 2009年4月21日、銀山湖のイワナです。なぜ2年前の写真かというと、翌年春のギジーに載せようと、アートフィッシングの小田さんと行ったときのものだからです。しかしギジーは翌年2月に休刊、写真もハードディスクの中で眠ってしまったというわけ。最初に小田さんから銀山湖に行ってくれと電話があったとき、頭が真っ白になりました。いつかも書いたように、私はIBS(イワイ・バスフライ・サーフェースシステム・・・じゃねえよ)もちだからです。電話で話を聞きながら、実は頭の中では銀山湖のボート上でズボンをずり下ろして(以下略)という場面が浮かび、ほとんど上の空だったものです。 (2011/5/1)

 常服薬、頓服薬、新薬のフルコースを飲み続けたおかげで、そのようなこともなく無事に釣行取材は終わりました・・・けど、ひとつ間違ったらやばかったかも。私のおなかのことではなくて、湖上でボートのエンジンが止まってしまったのでした。幸いバックウォーター近くにいたときで、強風が上流方向に吹いていたおかげで浅瀬に乗り上げて助かったのですが、さんざん湖上を走り回っていましたから、湖のど真ん中で止まっていた可能性もありました。湖を回っていたとき、なだれが湖にどどーっと落ちていったこともあったので、そんなときに下にいたらおしまいだったかも。銀山平はちょうどこの年携帯基地局のためのケーブルをシルバーラインに引く工事が行われていたほどなので、当然携帯も通じませんし。

 アートフィッシングとは、忠さんこと常見忠氏のスプーンを売っている会社で、現在は金型を引き継いで全面的にここでやっています(ただし、忠さんのところからも買えます)。

 それにあたって、今年アートフィッシングはカタログを新しく作りました。18ページにも及ぶ立派なもので、忠さんが初めて銀山湖のイワナをスプーンで釣った頃の話などが詳しく載っていて、読み物としても面白いものとなっています。表紙のレッドサーモンと、最初の見開きの忠さんの写真は、私が撮影したものです。

 そういえば、たまたまネットを見ていたら、このカタログ中、銀山湖が出来た頃村杉小屋の親父がゴロ引き(ヒッカケ)でイワナを捕っていたという記述に引っかかっているブログがありました。この点に関して、忠さんの著書『ルアー野郎の秘密釣法』には、「村杉の名誉のためにいえば、遡上する魚をゴロ引きで引っ掛けるのも生活の糧を得る手段と考えてほしい。往時の銀山はそれほど厳しい生活環境にあったという事実をよく理解してほしい」とあります。開高健が『フィッシュ・オン』を書いた頃もまだ電気が来たか来なかったかというところです。

 小田さんはなかなか豪快な人で、このカタログを1万部作ったのだそうです。カタログ1万部と聞いてもぴんときませんが、1メートル四方のパレット4枚分くらいになるそうです。納品の日4トン車が1台貸し切りで現れ、運転手が「下ろすからリフトを貸してくれ」と言います。そんなものはないので、人手で小田家に運び込んだところ、部屋がひとつカタログ置き場になってしまったそうです。

 カタログはアートフィッシングのサイトから申し込めます。申し込みが増えてカタログが掃ければ、小田家の居住スペースを確保することにもなりましょう。

 セルテート2004CH改造なう。前回書いたようにベール支持部が減ってしまったので、ボスを削って外径6mm内径5mmの真鍮パイプをかぶせました。こんなものを載せるとグローブライド社ににらまれそうですが、2010年8月11日付のここ(バックナンバー38)に08ツインパワー(ローターは11TPと同じ)のボス磨耗の修理写真をでかでかと載せているので・・・。こうしてちゃんと中立を保つあたり、非武装中立・原発反対の日本社会党に(長良川河口堰で裏切られるまで)投票し続けたわたくしらしいところですな。それにしても、セルテートといいツインパワーといい、ちゃんとベール耐久テストをしているのでありましょうか。ポト、ピチャ、ベト・・・うへえ! (2011/4/23)

 て、天に向かって唾してしまいました。もう前世紀のことなので忘れかけていましたが、20年前私はまさしくそういったリールの耐久テストをする仕事をしていたのでありました。当然、ベールの開閉耐久テストもやったのですが、マシンテスト後のリールをチェックする際、ベールスプリングが折れていないかとか、反転機構が作動するかとかは見ましたが、支持部が磨耗しているかどうかまではしっかり見た記憶がありません。ただ、ツインパワーにしてもセルテートにしても、一桁の釣行回数で明らかな磨耗が生じるものを数百回の釣行に相当する規定回数まで耐久テストしたらとんでもないことになりそうなので、その辺はやっぱり謎(買ったのがたまたま異常品だったとか)でありますが・・・。

 ベールの耐久テストだけでも、いろいろやらかしましたねえ。89ナビでは、ベールスプリングガイドAがポキポキ折れてきたものです。ベールスプリングガイドAの材料がもろい充填剤入りのジュラコンで、低温時さらにもろくなったのが原因だったのですが、特に1000番はベール反転機構のアタリ位置がベールを開くあたりにあったので、そこでベールを開かれてすぐに壊れてしまったのでした。しかし、これも通常のベール開閉耐久テストはクリアしていたのでした。

 予期せぬところでベールを開いてしまったときのことまではなかなか気が回らないものなのです・・・と言いたいところですが、少なくともベールアームが手前から右に30度くらいのところで反転機構に当たってしまう1000番が(壊れる以前にリール操作の上で)ダメだという認識はありました。琵琶湖に実釣テストに行った後「いいんじゃないの」と設計担当者に言いましたけど、正直コストダウンばかりの(当時の)シマノスピニングなんてこれでいいんじゃないのという気持ちが半分くらいあったのは懺悔しなければなりますまい。

 95ステラのベールワイヤーがポロポロ折れた(そうです)のも、退社後のこととはいえ私にまったく関係がないことではありません。いうまでもなく、ベール開閉耐久テストはハンドルを回してベールを返すのを何万回も繰り返します。じゃあ、なぜ95ステラのようなことが起きたのかということになりますが、私がやっていた頃もテストでベールワイヤーは折れていたのです。しかし、当時、試験機によるテストでベールワイヤーが折れるのは、鉄でがっちり作られた試験機が衝撃を吸収しないからで、人間が使うのなら折れないのだと言われていたのです。だから、試験中にベールワイヤーが折れると、新しいベールに替えてテストを続行し、あくまで結果はベールスプリングや反転機構だけを見ていたのでした。

 ところが、実は、私は、ML1やカーボマチックEX2000を使って、ベールワイヤー折れを経験していたのでした。しかし、事なかれ主義というか、すでにかなりしらけた社員だったこともあって、社内で言われていた通り、唯々諾々とベールワイヤーの折れを無視してテストを続けていたのでした(ただ、ちょっとだけ言い訳させてもらうと、当時市場から目立つクレーム修理はありませんでしたし、それがないのに個人の経験だけで社内基準をひっくり返しかねないことをするのはなかなか難しいのも事実であります。なお、現在のワンピースベールは耐久テストで最後まで折れないそうです)。

 なにやら懺悔大会になってしまいましたが、20年も経てばたいていのことは時効なのでなにとぞご勘弁を。でも95ステラってまだ使っている人多いのかな・・・私にクレームを送ってこないでね。

 ともあれ、現在のリールのベール支持部が磨耗するのは困ったことですが、自分の胸に手を当ててみるとさもありなんとも思えます。昔々、ルーチルドレの社長が「ベールはスピニングの必要悪」と言ったというほどベールはやっかいな部分なのです。それは今も変わっていないということなのかもしれません。

 (なお、セルテートを写真のように改造するのはご自身の責任で。2004なら使用ラインが知れているのでだいじょうぶだと思いますが、ボスが細くなる分強度が落ちることが考えられます。ボスの負担、支持部の磨耗、反転が元々重いこと、ZDCのベール反転レバーなどなどを考えて、ベールスプリングを閉じ不良にならない程度にカットしています。閉じ不良とはベールの先を5mmくらい持ち上げて指を放したとき元の位置に戻らない状態のことです。ボスを削るときは磨耗粉がリールに入らないようにポリ袋などでしっかり覆います。ネジ穴にもちぎったティッシュなどをつめます。ベールアームは新品に換えますが、その際、安いものなのでベール反転レバーとベールスプリングも買っておくといいでしょう。ベールスプリングはカットしすぎることがあるためです。金ノコで真鍮パイプを切るときはカットする両側をマスキングテープで巻くとまっすぐ切れて傷も付きません。切断面は目の細かいペーパーで仕上げます。パイプが回るとガラスの浮いた加工後のボスで磨耗することが考えられるのでつらつらかやや長めにします。パイプの奥側の口は細い丸ヤスリなどで面取りします。このリールのラインローラーサポート固定ボルトは緩み止め剤が使ってあるので、取り外し可能な緩み止め剤を用意する必要があります。なお部品名はベールアームが「アームレバー」、ベールスプリングが「アームレバーSP」、ベール反転レバーが「キックレバー」となります。ノーマル2004ともども長く使ったわけではないのでこうしたからといって磨耗が起きないとはいえませんが、最悪磨耗してもパイプを交換すればいいので、現状よりは安心です。ツインパワーの場合、寸法的にパイプが入らないので2010年8月11日付のように金属板を巻くかさらに薄いパイプを探してください)

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