2009年8月2〜9日 ことば悦覧in京都 記録集    home 

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 森田一弥さん編   8月05日 Am10〜  晴れ 

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 その12  

 プリミティブな素材で世界展開をめざす

森田ドームの建築はですね、空気膜にしろスタイロにしろ型枠でバンバン量産出来るのがいいんですけど。形は変わんない。そのドームの組み合わせでしか空間のバリエーションが作れないっていうのが僕の。限界だな〜と思って。それをどうしたらいいのかっていうのはずーっと考えていたんですけど。スペインに行ったらね。カタラン・ボールト工法っていうのがあって。ガウディーが建築作ってる工法なんですよ。左官職人が、型枠無しでドームを作っているんですよね。
佐藤:これはブロックじゃないの

森田:ブロックです。ブロックを積んで。一回積んでしまうとそれがドームやアーチとして成立するので構造的に。ドンドン分厚くする。
佐藤:地震は大丈夫なですか
森田:地震はスペインは大丈夫ですね、地震無いから。地震のある国には、行くとこれは型枠捨て枠として使って、上に鉄筋コンクリート打つんですよ

佐藤:なるほど。
森田:この技術は左官技術だけで型枠が作れてしかも造形が自由に出来るっていう。さっきのドームをさらに発展させるのはこれだな〜と思って。
佐藤:左官帝国から型枠帝国を目指している

森田左官でカバーできる世界の面積はかなり大きいですからね
佐藤:そしたら左団扇だぞ〜
森田:左団扇ですよ、ボランティアかもしんない

佐藤:成功モデルと失敗モデルの落差が激しいですね。左うちわかボランティアか。団扇の数が多すぎて困るみたいな
森田:ははははは

佐藤:それでこれですか
森田:これなんですよ〜
佐藤:これはCGで、森田さんやる
森田CG最近やり始めたんですよ。これは先月まで、

佐藤;これは何か計算させるんですか
森田:これはもうシェル構造で、どんだけ自由な造形を作れるかっていうのをなんか
佐藤:これはキャドで勝手に書いてくれる
森田:これは構造の解析まではやってないんですよ。ただ力学的にキチンと成立するだろうという形でつくっていて

佐藤:感ですか
森田:感ですね。 これから構造の満田さんの所に行って色々相談しようと思って居るんだけど。これは全く仕事の当てはなく、シェル構造でどんなことが出来るかとっていう個人的なスタディー
佐藤:満田さん 迷惑な話だろうね
森田:迷惑な話 ははあはは、将来 左うちわだから! 団扇一枚ぐらい分けてやるっていう話で。
佐藤:なるほど!!巻き込むと。満田さんもそういう団扇一つぐらい おれもほしいな〜と。
森田:うははあははは

佐藤
:とりあえず右団扇あるし とりあえずは
森田:そう そう。
佐藤:なるほど、すいぶんバリエーションありますね
森田:色々やっているですよ。こういうドーム形式のバリエーションと。
佐藤:こういう絵をパソコンで作ったことないんですが、簡単に出来るんですか

森田:これは先月(2009年6,7月)アメリカ人の研修生が家に来てて。2ヶ月ほど。彼がこのソフト使えるたんで。彼にやってもらったんですよ。うちの事務所にも導入して勉強はじめようと思ってるんですけどね。
佐藤:何ていうソフトなんですか、飛行機とか設計するソフトですか

森田
ライノーセロっていう、主にプロダクトデザイン用のソフトですね
佐藤:飛行機ではないのね
森田:飛行機も出来ると思う

佐藤:
みんな知っているソフトかな
森田:日本だと建築で使っている人はあまりいない
佐藤:高額なソフトですか
森田:それねネットでダウンロード出来るんですよ
佐藤:ほんと

森田:いま評価版を出していて向こうが。
佐藤:今だとただで使えて
森田:まだトラブルがあるかもしんないから、使って皆さん教えてくださいっていう
佐藤:なるほど。日本にもあるんですね
森田:日本のもありますね 
佐藤:win版ですね
森田:最近マック版も出たです

佐藤:これは填ってしまうんじゃないですか、ネット空間仮想空間を旅しちゃうんじゃないですか大丈夫ですか。
森田:大丈夫です。基本的にこれ使っている連中というのは、好き勝手形作っていて、さっきのスペインもそうなんですけど。あとは鉄骨とコンクリートでなんとかしようという感じですよね。
佐藤:暴力的ですね

森田:暴力的です、でも伊東さんのやていることもとそういうことですよね。形つくって、佐々木さんが構造解析して「こんだけ形をかえてくれたら、持つよ」っていう処をだしているのが佐々木さんの仕事じゃないですか。僕は、ああいうコンクリートとか、鉄骨とか強すぎる素材に頼りたくないんですよ。こういレンガとかもうちょっとプリミティブな素材で。だけどレンガで


佐藤:型枠はレンガでね そのうえにと
森田鉄筋でも出来るし、国によってはレンガだけでも出来るし。僕がやったガラス入りの左官のモルタルでも出来るし。何とでも展開は出来る
佐藤:派遣村の人達家がなかったからこれ仮設で作って
森田はははみんなで住めと

佐藤:おおきな屋根は作ってあげて、建築基準法の壁が立ちはだかるか
森田:そうですね。その場合はコンクリート打ちますけどね、上に。

佐藤:伊東さんの台北建築には批判的ですか
森田:あれは本当に極限られた、国でしか出来ない、形も面白いけど合理的じゃないし
佐藤:そうですよね。
森田:例えばあの形が合理的だったとしても、型枠を作るのにもの凄い手間を掛けますよね。建物一個 出来るぐらいの手間だけで。

佐藤:型枠無し じゃないんですか
森田たとえば伊東さんの各務原の葬祭場は型枠ですよ全部
佐藤:モルタル型枠じゃない!
森田:あの台北のあのオペラホール、オペラ座みたいなやつはあれは鉄骨にモルタル吹きつけでやるそうですけど施工者を見つけるのが大変だと聞きました
佐藤:CGの世界だけでとめたおけばいいものを
森田:あの仕事は施工も構造的も合理的じゃない、力業ですよね

佐藤:作る意味がわからない、一等に選ぶ人も選ぶんだよな〜
森田空間の型としてはもちろん。今までに無いんだけど。それの成り立ちを支えてる物質の性質がちゃんとフィードバックされてないですよね。無理矢理コンクリートで作るって発想だから。僕は作る場にいた人間なので、ちゃんとそれが出来た上で新しい空間ができてないとおもしろくない。
佐藤:作る人がいないか。そういう情報がなれたなかで作り側の情報が飛ばされたなかで育つ人が一杯出て来るっていうことですよね。

森田これでやっているといくらでも形作れるんですよ
佐藤:でしょうね
森田:でもどうつくんねんっていう。あるから。僕は彼と一緒に2ヶ月スタディーしてて。ちゃんとこの技術で出来るだろうというなかでやろうと。で今までシェル構造って。フェリックスキャンディラとか色んな人がいるんだけど。メキシコとかでやっている人たちも。今見るとそんな自由じゃないんですよね。凄い形が幾何学的で、幾何学が勝っていて。敷地にもっっと自由に対応できたら、もっと色んな可能性があるだろうと。

佐藤:今自由って言葉が出ましたけど、森田さんは自由のなかには作りやすいとセットになってるわけでしょう
森田そうです
佐藤:作りやすさから離れた自由は無い、その形式が森田さんの主義ですよね。作りやすいっていう条件を入れてCG内の暴走を制御するんですよね。さっき森田さんた大丈夫と言ったのは
森田そうです
佐藤:何が大丈夫か 解らなかった
森田ちゃんと作れる。それが何かどっかの国のスーパーゼネコンじゃなくって。ネパールの学校の職人がやっても出来るっていうのが 僕の前提なんですよ

佐藤:派遣切りに遭った
森田:オッサンたちでも
佐藤なるほど
森田:構造解析に関してはガウディが逆さ模型で10年かかったところをパソコンが一個あれば出来るので。ネパールいっても出来るわけですよ。
佐藤:凄いな本当に左団扇になりそうだ、ちょっと分けて欲しいよ
森田:ネパールで左うちわっていってもね ふふふっふ向こうでカレー食べ放題ぐらいにはなるかもしんないけどねふふふふ

佐藤:食いものさい 喰わしてもらえればどこでも行きますよ
森田そうですよねうん。それですよ僕は。うん
佐藤:そうだよね。なるほど。自由って言葉の建築用辞典みたいなものを作っておかないと話がゴジャゴチャニなってきますね
森田:はい


 父親について

佐藤:地域との関係もあるし、PCの中では好き放題の形が出来るし。作り方なんかそっちのけで、本当に気持ちがいいのかどうか分からないけど。何でそういう形体を作りたいのか分からないような形体が一杯になりますよねPCまかせだと。森田さんの自由は見たことはない形を追求しするんだけどそのうえに、どこの地域の人々の簡単な技術で作れるを条件にして、手枷足枷をはめている。

自由に暴走して幻想にふけって、どこかの宇宙にいって彷徨う仙人のようにならないわけだよね。作れるっていう素朴な、誰でもどこでも作れるっていう条件があるのでそれがはいいですね。スーパ・プロが作れるんじゃない。誰でも作れるっていう到達の仕方が、最初の大陸横断が効いているのかな〜

森田はははははは
佐藤:金魚養殖している町からそういう考えを持った人間が生まれて来るって、想像できないんですけどね。なんだろうね。そいう発想に行けるっていうのは。凄い自由じゃないですか。

森田
家の父親がまあ美術教師なんだけど。ちょくちょくそっやって、海外に奨学金もらって留学してたんですよ

佐藤:お父さんがモデルなんかな
森田:オヤジの血ですね
佐藤:なるほど

森田:ふははははは
佐藤:留学して帰って来ないの!?、絵描いている
森田帰ってこない僕が子供の頃チェコスロバキアに行っていて。2年半ほど居なくって

(森田さんの家の昼食にまねかれました)


僕が小学校のときにメキシコ行っていたんですよ。で、そんときは僕らも連れていってもらって
佐藤:小学生で!メキシコ行った!
森田:え、そのときに全然日本と違う社会を見てたっていうのが、なんとなく大きいんじゃないかな〜
佐藤:それはおおきそうだ。そういう体験あるとね
森田今思うとそれがあるのかな〜と気はするんですよ。

佐藤:森田式自由な形体、そんなふうに思うのが不思議だったけど、分かった気分。多くの人は小学校の時から答えは一つで励んでいるから それが極普通の日本人だったら。問題をいかに早く解くかみたいなもとばっかり仕込まれていて。京都大学だって 偏差値高くってお父ちゃん金持ち!みたいな学生ばっかりしか入って来ないって話があるんだから。その中で森田さん見たいに考える人が産まれるのは不思議だと、それが謎でしたけど。だんだん分かりましたよ。

森田:そうですかね〜
佐藤:おとうさんがいいかげんな、これでいいのだ〜をちゃんと暮らしていた
森田ははあはははあ、そうそう。
佐藤:絵は巧くないけど、暮らしかたが上手い、それで世界を旅していたと。
森田:そうそうそう
 共にふふふっふう
森田:今もふらふらしていますよ。

佐藤:ふらふらするっていうことは動物の原点だから、非常に好い生活をしているわけだよね。なるほど。

建築家の性

森田建築家が新しいものっていうのはね、やっぱりほとんど無駄になると思うんだけど、建築家の人間の性だど思うんですよね。新しものを求めるっていうのは。
佐藤:新しい建築って言ったとたんに建築に回収される、建築という考えは古いと思うんですよ。森田モデルは建築と言われれば建築にも見えなくもないしラウンドスケープのようでもあるし。なにか唯の土に塊にも見えるし、所属しにくい、建築って言いにくいじゃないですか。この状態の在り方は。何て言ったらいいかわからりませんけれども。何か膝を打つ様な言葉をここで言えないんですけど。若い建築家が言っている新しい建築とは違うと思うんですよね。

森田:新しいものを目指したというのは人類っていうか生物ならだれでも持っている欲求だと思うので。見たことのないもの作りたいっていうのは。だからそれをどうやって求めるか?っていうときの方法論で、その人の言っていることがリアリティーが有るのか無いのかって差があると思うんですけど。

佐藤:新していう構えの中から生まれて来ないように思うんですよ、ふとした間違えや誤配で、観念から産まれるのが少ないと思うんですよ。なんか誤配や間違えの糸口を見付けて観念の段階まで昇華させるというのは分かるんだけど。新し建築を目指すための 新しい建築って どうも今一分からないです

森田建築家って新しもの作らなければ価値がないみたいな事って刷り込まれるんですよね。 18:07

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